年収700万円の人の所得税はいくらなのでしょうか?
所得税は年収が増えれば増えるほど多くかかりますが、具体的にどれくらいかかるのかについて気になる人もいるかと思います。
また、税金は所得税だけでなく住民税もかかるので、社会保険料なども差し引くと500万円~550万円程度が手取りとなるのが現状です。
お金を増やしたいと考えたときには生活費の節約だけを考えるのではなく、税金を節約することも考えた方がよいでしょう。
この記事では年収700万円の人の詳しい所得税の計算方法と節税の方法について解説していきます。
年収700万円の人の所得税はいくら?
それでは、年収700万円の人の所得税について考えていきましょう。
所得税は課税所得金額を計算して、その金額をもとに所得税を計算するという2つの手順によって計算が可能です。
他の年収も計算できるようなデータも提示しながら計算していきますので参考にしてください。
課税所得金額を計算する
まずは課税される所得金額を決める必要があり、給与所得控除後の金額は年収によって決められており下記の表を利用します。
年収 | 給与所得控除後の金額 |
65万円以下 | 0円 |
162.5万円以下 | 年収-65万円 |
180万円以下 | 年収 × 60% |
180万円超~360万円以下 | 年収 × 70% -18万円 |
360万円超~660万円以下 | 年収 × 80% - 54万円 |
660万円超~1000万円以下 | 年収 × 90% -120万円 |
1000万円超 | 年収 - 220万円 |
以上が給与所得控除後の金額であり、この表を利用すれば年収500万円の人や、年収1,000万円の人の所得税も計算することができます。
今回計算で使用するのは年収700万円の人の所得税を計算するため、年収660万円超~1,000万円以下の人の給与所得控除後の金額である「年収 × 90% - 120万円」を適用します。
よって計算式は、700万×90%-120万=510万円です。しかし、ここから誰もが受けられる税金の控除である基礎控除を引くことを忘れないようにしましょう。
所得税の基礎控除は令和2年までは38万円ですが、令和3年から所得税と住民税が共に10万円ずつ引き上げられるので基礎控除は48万円です。
ここでは法改正後の令和3年の基礎控除を前提に計算すると、510万円-48万円=462万円が所得税の課税の対象となる所得金額となります。
個人事業主の場合は、原価や経費など収入を得るために必要なコストと基礎控除を引いた額が課税の対象です。
課税所得金額を元に所得税を計算する
課税所得金額が決まれば、次は所得税の税率と税額控除を決めるため下記の表を利用します。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~超4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
課税所得金額さえ分かればこの表を利用して所得税を計算することができる仕組みです。
462万円が所得税の課税対象であるため「330万円超~695万円以下」の税率20%の額から税額控除である42万7,500円を引いた額が年収700万円の人の所得税となります。
よって計算式は、「462万×20%-42万7,500円=49万6,500円」となり、1ヶ月あたりの所得税は41,375円になります。
高いと思った人もいるかもしれませんが、この計算には基礎控除以外の控除が含まれていません。
そのため、実際の課税金額は他の控除がある場合にこの金額よりも安くなることがほとんどです。
あくまでこの金額は基礎控除以外の控除が利用できなかった場合の計算であると考えておきましょう。
年収が660万円以上になると120万円が課税所得金額から差し引かれますが、年収の90%が課税の対象となるため節税対策は非常に重要です。
所得税が高いと感じた人は節税対策をして、支払う税金をできる限り軽減するようにしましょう。
ここからは年収700万円の人が所得税を節税する方法について解説します。
また、所得税について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
年収700万円の人の所得税の節税方法
年収700万円の人の所得税の節税方法は5つあります。
- 医療費控除を受ける
- 住宅ローン控除を受ける
- ふるさと納税をする
- 個人型拠出年金(iDeCo)を始める
- 損益通算をする
医療費控除を受ける
所得税には様々な控除がありますが、その中でも利用しやすい医療費控除について解説します。
医療費総額が10万円以上の場合、支払った医療費総額の一定額を所得税から控除することが可能です。
納税者または配偶者、その他の親族の医療費を支払った場合に適用されるのが医療費控除です。
計算式は「医療費控除額 = 支払った医療費の額 - (①10万円 または ②年間所得金額の5%)」となります。
①と②で金額の少ないほうが適用されますが、年収700万円の場合は年間所得金額の5%が10万円を超えるので①が適用されます。
10万円以上の医療費を支払っているのであれば控除を利用しない理由はないので、確定申告をして医療費控除を受けましょう。
また、所得税には他にも控除がありますので、所得税の控除について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
住宅ローン控除を受ける
住宅を持っていて、ローンを組んでいる人は条件を満たせば住宅ローン控除を受けることが可能です。
住宅借入金等特別控除 | |
控除率 | 1% |
控除期間 | 10年間 |
年末残高限度額 | 4,000万円 |
控除率は住宅ローンの年末残高の1%で、残高の限度額は4,000万円となるためそれ以上の残高の場合の控除金額は40万円です。
実際に所得税を控除するシミュレーションを見ていきましょう。
まず、住宅ローンの年末残高、今回のシミュレーションでは2,000万円を前提に「2,000万円×0.1%=20万円」が控除額になります。
年収700万円の人の所得税は先ほどの計算結果を参考にすると49万6,500円ですので、「49万6,500円-20万=29万6,500円」まで所得税が控除されます。
上記の図のシミュレーションのように控除額が残りの所得税の額を上回っていた場合は、上回っている額だけ住民税を節税する仕組みです。
「20万円-13万円=7万円」の控除が余るので、残りの7万円は住民税の控除に使われるので控除が無駄になることはありません。
年末残高から控除金額を求めて所得税を控除し、控除した結果、余りが発生した場合は住民税からも控除するのが住宅ローン控除の手順となります。
住宅ローン控除は住宅ローンを組んでいれば所得税を節税する手段として優秀ですが、控除期間が10年間であるためローンを組んでから11年経つと控除を受けられなくなるので気をつけましょう。
住宅ローンの控除について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
住宅ローンの減税(控除)の条件と3つの注意点について解説します
ふるさと納税をする
ふるさと納税は基本的には住民税を節税する方法ですが、場合によっては所得税を節税することも可能です。
ふるさと納税は確定申告をした場合とワンストップ特例制度を利用した場合で控除の形態が変わります。
確定申告をした場合は住民税と所得税の両方が控除額から控除されますが、ワンストップ特例制度では全額が住民税から控除されます。
つまり、所得税を控除したい場合はふるさと納税を確定申告する必要があるのです。
もちろん、どちらの制度を利用しても実質の自己負担である2,000円を支払うことに変わりなく、控除金額は変わらないので基本的にはどちらでも問題はありません。
ふるさと納税で所得税を控除したいと考えている人は必ず確定申告をするようにしましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を始める
ここからは投資をする上で利用できる節税制度を紹介したいと思います。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は老後資金を蓄えるために自らで作る年金です。
加入者は毎月、一定金額を積み立てて、保険や投資信託などを運用して老後に年金として受給することが可能です。
iDeCoは資産運用の手段として非常に税制的に優遇された制度となっています。
運用益が非課税になるだけでなく、積立掛け金を確定申告することで所得税の控除が可能です。
お金はできるだけ節約した方がいいものですし、所得税の額を抑えられるのであれば抑えたいと考えるのは当然のことかと思います。
お金をできる限り節約したいと考える人には将来に不安を持っていて老後が心配であると考えている人も多くいるでしょう。
iDeCoは節税だけでなく、資産運用によって将来の年金を作ることができるので将来の不安まで解決することができる制度です。
個人型拠出年金(iDeCo)について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
損益通算をする
株などの投資で万が一損失が発生した場合も、損失を確定申告することで節税することが可能です。
下記のシミュレーションで考えていきましょう。
2019年に100万円の損失が発生したとします。
2020年には30万円の利益が発生しましたが、前年度に100万円損をしているので申告すれば30万円の利益は課税対象にならないのが損益通算です。
また、損益通算は3年間繰越控除ができるので、残りの70万円の損失を翌年に繰り越して控除することができます。
2021年に20万円の利益が発生すると、20万円の利益は非課税になり、残りの損失は50万円です。
2022年に30万円の利益が発生すると、3年間の合計の利益80万円の税金がすべて控除されることになるのです。
ただし、2023年に60万円の利益を出しても、繰り越し控除は3年間までしかおこなえないので、残りの控除額がリセットされて控除額は0円になり、60万円すべてが課税の対象となります。
損益通算と個人型拠出年金iDeCoは投資をしていない人には利用できない控除です。
しかし、年収700万円の人にこそ個人型拠出年金iDeCoで節税をしながら効率よく資産を増やす資産運用を始めることをおすすめします。
最後に年収700万円の人に資産運用はおすすめの理由について解説していきます。
税金対策や将来のために資産運用がおすすめ
毎年かかる所得税や住民税の額を知ると年収700万円であっても思った額が貰えず、もう少しお金を増やす手段が欲しい、将来が不安であると思う人も多いかと思います。
そのような人には資産運用がおすすめです。
年収700万円の人はある程度の貯蓄を蓄えることができる世帯であると思うので、毎月の余った給与を貯金するのではなく資産運用に回すことでお金を増やしていくことができます。
節税は資産を増やす手段ではなく資産を守る手段であり、資産を増やしていくうえで資産を防衛することは非常に重要です。
しかし、資産を防衛するだけでなく安全に資産を増やすことをしなければ効率的に資産は増えていきません。
節税対策も兼ねる個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用して資産運用を始めるのはおすすめです。
とはいえ、資産運用の知識がない状態で始めるのは難しいと思います。
弊社では、資産運用の知識や、節税の知識などを身につけることができる無料セミナーを開催しています。
資産運用初心者でも分かるように分かりやすく解説してくれるので、本やインターネットで勉強するよりも早く資産運用の知識を身につけることができます。
また、資産運用だけでなく金融全般の知識についても解説するので、知らなかった節税の知識なども教わることができるので得るものが多いセミナーとなっています。
まとめ
年収700万円の人の所得税について解説しましたがいかがだったでしょうか?
実際に所得税を算出してみると、思ったよりも高いと思った人もいるかもしれませんが、控除やこの記事で紹介した節税方法を利用すれば節税することができます。
使える控除はすべて利用して、支払う所得税をできる限り減らして資産を防衛していきましょう。
また、資産は防衛するだけでなく積極的に増やすことも必要なので資産運用の検討もおすすめします。
資産運用の方法について知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。