株をはじめた人も、はじめようとしている人も確定申告をどのようにすればいいのか気になる人も多いと思います。
「確定申告って面倒くさそうだし、できればやりたくない」確定申告をしたことがない人はこのような印象を持っている人が多いです。
株の利益には税金がかかるので、確定申告をしないと追加の徴税が課せられてしまい、せっかくの利益が台無しになってしまいます。
株には確定申告が不要なケースもありますので、どうしても確定申告をしたくない人は不要なケースを参考にして確定申告をしない選択もできます。
一方、確定申告は不要であっても確定申告をするほうがお得なケースもあるので、それも合わせて紹介していきます。
この記事では株の確定申告について詳しく解説していきます。
株の利益にかかる税金
株の利益にかかる税金は、上場株式と非上場株式によってかかる税金が異なります。
株の種類 | 所得税 | 住民税 |
上場株式 | 15.315% | 5% |
非上場株式 | 20.42% | 0% |
上場株式は所得税と住民税ともにかかるので、所得税と住民税の申告が必要になります。
一方、非上場株式は確定申告は必要ですが、住民税がかからないので住民税の申告の必要はありません。
株式投資で利益をあげた場合はこれらの税金が課せられることになるので、基本的に確定申告は必要です。
不要なケースもありますが、不要なケースに該当しない場合は基本的に確定申告はしなければならないと考えておいたほうがいいでしょう。
次は、株の利益を確定申告する際に必要な書類について解説していきます。
株の税金についてさらに詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
株の確定申告に必要な書類
株の確定申告に必要な書類は3つあります。
- 本人確認書類(マイナンバー含む)
- 源泉徴収票
- 年間取引報告書
本人確認書類は、運転免許証、保険証でもよいですが、マイナンバーが必要なので、マイナンバーカードを用意しておくのが一番確実な本人確認書類になります。
会社員の場合は、会社から貰う源泉徴収票の提出も必要です。
年間取引報告書は、確定申告の時期に合わせて証券会社から1月ごろに発行されますが、口座を一般口座にしてしまうと年間取引報告書を自分で作成することになります。
特定口座であれば年間取引報告書は作成してもらえるので、確定申告のために口座の開設は特定口座にするのが楽です。
また、確定申告は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から簡単におこなえます。
必要書類をもとに必要事項を記入し、税務署に提出するようにしましょう。
株で確定申告が必要な場合とは?
次は、株で確定申告が必要な場合について解説していきます。
「確定申告をしなければいけないのかわからない」という状況は非常に危険です。
まずは自分は確定申告が必要であるかを確認しておきましょう。
下記の条件をすべて満たしている場合は確定申告が必要になります。
- 株で利益が出た場合
- 源泉徴収をしてもらっていない場合
株で利益が出た場合
先ほども説明しましたが、株で利益が出た場合は税金を納める義務があるので基本的に確定申告は必須です。
利益が出ているにも関わらず納めるべき税金を納めていない場合は、罰則として追加の徴税が課せられます。
一方、株式で損をしてしまった場合は税金を納める必要はないので必須ではありません。
ただし、損をしても確定申告をすることでお得になるケースもあるので後ほど解説していきます。
結論としては、確定申告が必須になるのは、株で利益を上げた人のみということになります。
源泉徴収をしてもらっていない場合
株で利益が出た上で源泉徴収をしてもらっていないことが確定申告が必須になる条件になります。
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で取引をした場合は税金を自分で納める必要があるので確定申告が必要です。
株で利益を出した場合は自分が取引している口座をよく確認しておきましょう。
口座の種類に関しては後ほど解説していきます。
確定申告は株で利益が出ており、かつ源泉徴収をしてもらっていない場合に必要になります。
株で確定申告が不要な3つのケース
ここからは株で確定申告が不要なケースについて解説していきます。
株で確定申告が不要なケースは3つあげられます。
- 特定口座(源泉徴収あり)で取引した場合
- 年収が2000万円以下で投資などの利益が20万円以下
- 利益が確定していない場合
特定口座(源泉徴収あり)で取引した場合
証券会社の口座は主に3種類あります。
- 一般口座
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
3つの口座の中で確定申告が不要な講座は特定口座(源泉徴収あり)になります。
一般口座は、年間取引報告書を自分で作成した上で確定申告が必要で、特定口座(源泉徴収なし)は、年間取引報告書を証券会社が作成してくれますが自分で申告する必要があります。
特定口座(源泉徴収あり)にすると、所得税、住民税を証券会社が支払ってくれるので確定申告の必要はありません。
基本的に確定申告をしたくない場合は、特定口座(源泉徴収あり)を選択するといいでしょう。
もちろん、特定口座(源泉徴収あり)で取引した場合でも確定申告をすることができます。
確定申告が不要なのに確定申告ができても意味がないと考える人もいるかもしれませんが、確定申告をしたほうがお得になる場合もありますので、後ほど解説していきます。
また、確定申告が不要な口座には、個人投資家が投資で出した利益を非課税にできるNISA口座もあります。
こちらは利益が非課税となるので、確定申告は不要です。
確定申告が不要であるケースとしては、特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合か、NISA口座を選択している場合があげられます。
個人投資家向けの税制優遇制度、NISAについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
従来NISAと比較した、つみたてNISA(積立NISA)とは?いつから始まるのか?
年収が2000万円以下で投資などの利益が20万円以下
サラリーマンは年収2000万円以下であれば、副業、投資などの雑所得の利益の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。
特定口座(源泉徴収なし)を選択している場合でも、他の雑所得と合わせた合計の利益が20万円以下であれば所得税は免除されます。
この制度を知らないと特定口座(源泉徴収あり)で取引をしている場合は、所得税を余分に取られてしまうことになるので注意が必要です。
ただし、控除は所得税に対してのみ有効であり、住民税に関しては申請する必要があります。
結論としては、年収2000万円以下で雑所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要になります。
利益が確定していない場合
株の利益はあくまで売却したタイミングで確定します。
そのため、合計で100万円以上価値の上がった株式を保有していた場合でも、売却しない限り確定申告をする必要はありません。
つまり、株を保有し続けている場合は、配当金に課税されている、配当金がないのであれば、確定申告の必要はないのです。
株の確定申告は株を売却したタイミングでおこないましょう。
株で確定申告をしたほうがいい3つのケース
ここまで株の確定申告が不要なケースについて解説してきましたが、それを踏まえた上で確定申告をしたほうがいいケースについて解説していきます。
「しなくてもいい確定申告をなぜしたほうがいいのか?」それは、確定申告が節税につながるケースがあるからです。
確定申告は不要でも確定申告をしたほうがいいケースは3つあります。
- 株で損をして損益通算ができる場合
- 繰り越し控除を利用する場合
- 配当金に課税された場合
株で損をして損益通算ができる場合
1つめのケースは株で損をしてしまった場合です。
例えば、2019年に株で10万円の損失が発生してしまったと仮定します。
一方、翌年の2020年には60万円の利益が発生しました。
確定申告をしない場合は課税の対象額は60万円になりますが、10万円の損失を確定申告をすることで課税の対象額を利益から損失を引いた50万円にすることができるのです。
下記に損益通算の関係を分かりやすく図にまとめました。
税金は1円でも足りない場合は問題になりますが、多めに払うのであれば問題にはならないので、申告をしなければ税金を余分に払うことになります。
税金を余分に払わないためには申告不要であっても確定申告をする必要があるのです。
ただし、損益通算は非課税であるNISA口座で損失を出した場合はおこなえないので注意が必要です。
所得税の節税について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
繰り越し控除を利用する場合
損益通算は最大3年間にわたって繰り越し控除することもできます。
例えば、2019年に株で100万円の損失が発生したとします。
2020年には30万円の利益が発生しましたが、30万円すべて損益通算しても70万円の損失が残ります。
これを翌年に繰り越して控除することができます。次に、2021年に20万円の利益が発生すると、残りの損失は50万円です。
そして、2022年に30万円の利益が発生すると、3年間の合計の利益80万円の税金がすべて控除されることになるのです。
しかし、2023年に60万円の利益を出しても、繰り越し控除は3年間までしかおこなえないので、残りの控除額がリセットされて控除額は0円になり、60万円すべてが課税の対象となります。
下記に繰り越し控除についてわかりやすく図にまとめました。
繰り越し控除は1年目に損益通算をした結果、控除できる金額が残ってしまった場合でも3年間であれば損益通算し続けることができるので、利用することをおすすめします。
配当金に課税された場合
株式の配当金は源泉徴収なしの口座を選択した場合でも課税されて振り込まれる場合があります。
課税された場合は確定申告が不要ですが、申告することによって払いすぎた税金が戻ってくる場合があります。
例えば雑所得20万円以下のサラリーマンが株式の配当金に課税をされた場合、配当金を確定申告すれば配当金にかかった税金が戻るということです。
本来税金を収める必要がないのにも関わらず税金を収めてしまった場合は、確定申告をすることで納めた税金を取り戻すことができます。
配当金に課税をされてしまった場合は、自分が配当金に関する税金を納めるべきか理解した上で、確定申告で払った税金を取り戻しましょう。
株の確定申告をしたほうがいいケースは、株で損をした場合と、本来払う必要がない税金を払った場合になります。
株の確定申告は、不要であるか、不要であってもしたほうがいいケースではないかを考えた上で確定申告をするかどうかを決めましょう。
まとめ
株の確定申告について理解していただけたでしょうか?
まず、自分が確定申告をするべきかどうか判断できれば確定申告に関する不安は解消されます。
また、確定申告をすることで税金がお得になるケースもあるので、今は確定申告が不要な人も節税ができるケースを覚えておくといいでしょう。
株の確定申告は必須であるか不要であるかを必ず確認して、不要であるなら各々の判断で申告をするようにしましょう。
また、株式投資の基礎知識についてはこちらで紹介しています。