「株は失敗したら大損をして借金をしてしまう」このような印象を抱えている人は多いと思いますし、実際に株の大損で借金をした人もいるので間違いではありません。
しかし、株の失敗で大損をしてしまう具体的な仕組みについてはご存知でしょうか?
大損の仕組みを知れば、大損をする人の特徴が分かり、具体的に大損をしないためにどうするべきか理解することができます。
この記事では、株の大損の仕組みと大損する人の特徴について解説していきます。
株で大損をする仕組みについて
株式の失敗で大損をしてしまう状況とはいったいどのような状況なのでしょうか?
まず、はじめに株で大損をする仕組みについて解説していきます。
また、株式投資の基礎知識について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株価が大幅に下がったタイミングで損失を確定した場合
株で大損する仕組みの1つめは、株価が大幅に下がったタイミングで損失を確定した場合です。
株式の損失は、売却したタイミングで決定します。
言い換えれば、株式を保有している限り損失は確定しません。
仮に株価が下がってしまったとしても、また株価が上がれば損失を取り返せる可能性もあります。
しかし、損失が確定しないからといって損失が発生した株式を保有し続けるのも得策ではありません。
損失が発生した株式を保有し続けることを塩漬けといい、損失が確定していなくても好ましい状況とはいえないでしょう。
現物取引で取引した株式の損失は売却するまで確定せず、売却した瞬間に損失が確定します。
ただし、信用取引の場合はこの限りではありません。
次は、信用取引で大損する仕組みについて解説していきます。
信用取引で大きな損失が発生した場合
株で大損する仕組みの2つめは、信用取引で大きな損失が発生した場合で、こちらは借金を伴う大損に発展するケースがあります。
株式を現物取引した場合は、借金は発生しません。
現物取引は、自分の所有している資産で株式を売買することなので、最悪の場合でも元本をすべて失う以上の損失は発生しないのです。
信用取引とは、証券会社にお金を借りて取引をする方法です。
信用取引で損失が発生した場合は、損失が自分の資産を超えることもあるので、借金が発生することになります。
担保の約3倍の株式を売買できるので、100万円を担保にすれば300万円分の株式を取引することができます。
お金を借りて元本以上の取引をすることをレバレッジといいますが、レバレッジを利用した信用取引はリターンが大きい分、リスクも非常に大きい取引方法となっています。
また、株式は保有し続けていれば損失は確定しないといいましたが、信用取引の場合は少々異なります。
株式の取引で元本以上の損失を抱えた場合は、追証が発生し、証券会社によって日数は異なりますが、数日以内に支払う必要があります。
株の大損で借金をするケースは、自分の資産以外で取引をした場合のみです。
倒産で保有している株式が上場廃止になった場合
最後は、保有している株式の発行元の企業が経営不振や不祥事で倒産してしまった場合、株式が上場廃止になり、株式の価値がなくなってしまうケースです。
株式の価値がなくなってしまった場合、株式の価値は0円になるため、元本すべてを失うことになります。
長期的な投資であればあるほど、上場廃止に巻き込まれるリスクは高くなるので、日頃から投資対象のリスク分析をすることが重要となるでしょう。
ここまでが、株式で大損をする仕組みになります。
ここからは、仕組みを踏まえた上で実際に株式で大損する人の特徴について分析していきます。
株の失敗で大損してしまう人の5つの特徴
株の失敗で大損してしまう人の特徴は5つあります。
- 資産がない状態で信用取引をする人
- ひとつの銘柄に集中して投資をする人
- 短期売買(デイトレード)で取引をする人
- 損切のルールを決めていない人
- 銘柄をよく考えて選ばない人
資産がない状態で信用取引をする人
資産がない状態で、信用取引をおこなうことは最も借金をする大損につながってしまう危険な取引方法です
株式で借金をするほどの大損をしてしまったという話があれば、十分な資産がない状態で信用取引をしたからであると考えていいでしょう。
信用取引は資産が少ない状態でも大きなリターンを得られる取引ではありますが、資産が少ない状態では発生した損失や追証を支払うことができなくなる可能性があります。
資産運用は自分の余裕資産でおこなうのが一番望ましく、借金をしてまで投資をするのは資産運用ではなくギャンブルに近いものであると認識しておきましょう。
ひとつの銘柄に集中して投資をする人
ひとつの銘柄に集中して投資をしてしまうのは、リスクが非常に高い投資の方法です。
投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。
ひとつのカゴに卵をすべて盛ってしまうと、カゴが駄目になったときにすべての卵が割れてしまいます。
しかし、複数のカゴに卵を盛れば、1つのカゴが駄目になっても、残りのカゴの卵は無事になります。
つまり、株式投資で大損をする人は、一つの投資先(カゴ)に資産(卵)を集中させる人ということになります。
株式で大損しないためには、複数の投資先に資産を分散させることが大事です。
短期売買(デイトレード)で取引をする人
株式は1日で売買を確定させる、デイトレードという取引の手法があります。
実は、短期売買も大損のリスクを高める取引の方法の一つです。
現在の株式市場は、機関投資家というプロの投資家が多額の資金を武器にデイトレードを繰り返している実情があります。
つまり、競争相手は多額の資産を持った投資のプロということで、資産も少なく投資経験も少ない個人投資家が勝っていくのは難しい現実があります。
また、1日で売買を確定させる必要があるため、損切をし続ける状況になれば、損失が芋づる式に増える場合もあります。
特に投資初心者で短期売買をする人が最も大損する可能性が高いので、初心者は短期売買ではなく長期投資を考えて投資をしたほうがよいです。
損切のルールを決めていない人
株式は際限なく株価が下がることもあるので、損失の許容範囲をあらかじめ決めておくことは重要です。
損失の許容範囲を超えたときに損切ができずに、売却が遅くなったり、上がる見込みのない株式を塩漬けにしてしまうといったことも、投資初心者が大損をしてしまう場合に多いケースです。
株価1000円で購入した株式は最終的には株価600円に下がってしまうと仮定します。
このとき、損切のルールとして900円になったら売却すると考えていれば、今後株価がいくらまで下がってもこれ以上損失は大きくなりません。
しかし、損切のルールを決めていなければ、800円、700円、600円と下がっていき、600円まで下がってから売却を考えたとしてももう遅いのです。
株式で大損しないためには損切のルールを決めておくことが不可欠です。
また、株式を売るタイミングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式を売るタイミングとは? 株初心者でも実践できる3つのタイミング
銘柄をよく考えて選ばない人
最後に株式の上場廃止によって株式の元本をすべて失ってしまう人の特徴としては、銘柄をよく考えて選ばないことが挙げられます。
短期売買よりも長期投資の方がよいといいましたが、長期投資をするのであれば投資対象の分析が不可欠です。
決算の情報を確認したり、投資している企業のニュースには常に気を配る必要があります。
それを怠ってしまうと、元本をすべて失うリスクを招きやすくなってしまうので注意が必要です。
株式で大損を防ぐには、長期投資であればあるほど投資先をよく吟味して選ぶ必要があります。
また、株式の銘柄の選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式投資でおすすめの銘柄の選び方とは?4つの観点から詳しく解説します!
株で大損しないためには?
それでは、株の失敗で大損しないためには何が必要なのか考えていきましょう。
株で大損しないための3つのポイントについてまとめました。
- 自分の身の丈にあった投資をする
- 複数の銘柄に分散して投資をする
- 長期投資を前提に投資をする
自分の身の丈にあった投資をする
株で大損しないための1つめのポイントとしては、自分の身の丈にあった投資をすることです。
少ない資産で大きな利益を得られるからといって、資産が少ない状態で信用取引をおこなうことは身の丈にあった投資とはいえません。
また、株式は1つの銘柄を購入するのに1株あたりの株価が1,000円であれば、100株から購入することになるので10万円かかります。
資産が少ない状態であれば、1つの銘柄は購入することができるかもしれませんが、複数の銘柄を購入することは難しいです。
そのため、資産が少なければ必然的に投資先が1つに集中してしまうため、これも損をするケースのひとつになります。
しかし、資産が少なければ株式の取引はできないというわけではありません。
本来100株から購入できる株式を1株から取引することができる単元未満株を利用すれば、身の丈にあった投資ができます。
自分の資産に合わせて身の丈にあった株式投資の方法を考えていきましょう。
また、単元未満株や株式以外で少額で投資できる投資の方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
少額から出来る3つの投資とは?投資初心者におすすめの投資をご紹介
複数の銘柄に分散して投資をする
株で大損しないための2つめのポイントとしては、複数の銘柄に分散して投資をすることです。
1つの投資先に集中して投資をすることはリスクを高める投資方法なので、複数の銘柄に分散して投資をする必要があります。
しかし、投資初心者で複数の銘柄を選択するのがむずかしいという人もいるでしょう。
その場合は、株式を対象にした投資信託に投資をする方法もあります。
投資信託とは、投資の専門家に資産を預けて運用してもらい、その運用成果を投資家に分配する金融商品です。
投資信託の投資対象には、債券、不動産など様々なものがありますが、株式を対象にした投資信託のことを株式型投資信託といいます。
株式型投資信託は「TOPIX」などの指数に対して投資をする金融商品であるため、複数の株式に分散して投資をすることができます。
また、株式型投資信託は100円から購入できるものもあるので、最低投資金額が株式よりも安いメリットがあります。
つまり、株式型投資信託は通常の株式よりも分散投資がしやすい金融商品であるといえます。
株式で大損をしないためには、複数の銘柄を選択して投資をすることが重要で、自分の知識に自信がない場合や、資産が少ない場合は、株式型投資信託に投資するのも有効です。
また、投資信託について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
長期投資を前提に投資をする
株で大損をしないための最後のポイントとしては、長期投資を前提に投資をすることです。
短期売買、特にデイトレードでは、投資初心者は損失だけが膨らむ可能性があるので、長期投資をおすすめします。
また、株式の長期投資では、配当金や株主優待などを毎年受け取ることができるメリットがあります。
先ほど説明した株式型投資信託も短期で売買するのではなく、長期で保有して売却するほうがより利益を得やすいです。
ただし、銘柄を選択する際は必ず投資対象をよく分析してから投資をするようにしましょう。
まとめ
株による失敗の大損について理解していただけたでしょうか?
株は取引の方法によっては大損してしまうリスクがありますが、投資の方法を考えれば大損のリスクを軽減することが可能です。
この記事を参考に株のリスクについて理解し、よりリスクの少ない株取引を目指していきましょう。