投資信託を「いざ買おう!」と思って色々見ていると、目についてしまうのが手数料です。
信託報酬や、購入手数料など、手数料にも色々と種類が見られますが、最近ではノーロード投資信託という「購入手数料無料」の投資信託もあります。
投資信託の手数料はいつ、どれくらいかかるのか、ノーロード投信とは本当にお得なのかということを、この記事で解決したいと思います。
投資信託とは?
まずはじめに投資信託について簡単に解説していきます。
投資信託とは投資家から集めたお金をひとつにまとめて、それを運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資して、得られた利益を分配する金融商品です。
投資対象には国内、海外の「株式」「債券」「不動産」などがあげられます。
投資対象が海外株式であれば複数の銘柄に投資してくれるので、分散投資がしやすい特徴があります。
また、最低購入金額は100円から1円単位で投資額を細かく設定することができます。
投資信託は少額投資においてもおすすめの商品といわれています。
投資信託の利益は、投資信託を売却することで発生する「売買差益」と定期的に支払われる「分配金」があげられます。
売買することで利益を得られる金融商品であるため、元本は保証されていません。
また、これらの利益に対して、手数料、税金が課せられるため、このコストを利益から引いた額が投資信託の純利益になります。
投資信託の手数料は利益にも関わる重要な要素ということです。
それでは、投資信託の手数料について詳しく解説していきます。
投資信託について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
投資信託の手数料の種類(一覧)
投資信託の手数料は投資をしている間であれば常に引かれているので、細かくどれくらい引かれているのか気にしている人は少ない手数料ですが、投資をする上では重要な要素になります。
特に投資期間が長い場合だと、手数料を長く多く支払うことにもなるので、しっかりと考えてから購入する必要があります。
基本的に考えるべき手数料としては、この3つがあります。
入口が購入手数料、保有期間の手数料が信託報酬、出口でかかるのが信託財産留保額と考えておくとわかりやすいかもしれません。
購入手数料
購入手数料は、名前の通り投資信託を買うときに一回だけかかるものです。
通常は買った額の約0〜3%に設定されていて、例えば3%の手数料で100万円分買うと、3万円の手数料がかかります。ノーロード投信とは、これが無料になるもののことを言います。
主にネット証券などの方が、これが安いことが多くなっています。
信託報酬(運営管理費用)
信託報酬は、保有している間に引かれる手数料のことを言います。
実際にいつ手数料が引かれるのかは後ほど解説いたします。
信託報酬は保有している間、日に日に引かれていっているのですが、大抵「信託報酬〜%」と書かれているものは、年間でその割合の報酬を引くということです。
信託報酬は基本的に0.1〜3%くらいに設定されていて、実はこれが高いものと低いものには、共通の特徴があるのです。
例えば、アクティブファンドなどの高い運用目標を掲げる(ハイリターン)投資信託は、信託報酬が高くなります。
反対に、インデックスファンドなどの手堅い、安定した運用を心がける投資信託は、信託報酬が安くなりがちという特徴があります。
つまり、少しでもリターンを多くするのであれば、コストを大きくすることを覚悟しなくてはいけないということになっているのでご注意ください。
また、長期間の運用を考えている方にも、信託報酬の高い商品を長期間保有しているとその分引かれる手数料も多くなってしまうので、信託報酬の高さは十分考慮してから購入することをおすすめします。
信託財産留保額
信託財産留保額は、出口 、つまり解約した時にかかる手数料のことになります。
これはかかる時とかからないときがあるのですが、かかる時は約0〜0.5%ほどになります。
どこから0.5%を引くのかというとその時の投資信託の基準価格(一口あたりの投資信託の値段)から引くことになります。
また、ほとんどありませんが、解約手数料を普通に設定している場合もあるので、しっかりと投資信託を選ぶ際にはしっかりと確認しておきましょう。
為替ヘッジありの投資信託は手数料がかかる
次に、投資信託で例外的にかかる手数料について紹介します。
為替ヘッジとは、投資対象が海外株式や海外債券である為替リスクのある投資信託のリスクを避けるための仕組みです。
あらかじめ、外貨と円の為替レートを決めておくことで、為替による価値の変化を防ぐことができます。
しかし、為替ヘッジありの投資信託には為替ヘッジを維持するための手数料がかかります。
手数料は外貨の金利によっても異なるため、高い手数料を支払うことになれば、為替の損失が発生した場合よりも高い手数料を払うこともあります。
為替ヘッジは海外商品を対象にした投資信託のリスクを軽減してくれますが、手数料を確認しないと損をしてしまう危険性があります。
投資信託の手数料の目安
投資信託の手数料の種類について理解していただけたところでそれぞれの目安について解説していきます。
各手数料の目安を下記の表にまとめました。
手数料の種類 | 手数料の目安 |
購入手数料 | 0~3% |
信託報酬(インデックスファンド) | 0.1%~1% |
信託報酬(アクティブファンド) | 1%~3% |
信託財産留保額 | 0~0.5% |
まず購入手数料ですが、ノーロード投信は無料、それ以外であれば3%までのものが多いです。
次に、信託報酬ですが、安いもので0.1%から0.2%、インデックスファンドは信託報酬が安い傾向にあります。
アクティブファンドは、信託報酬が1%から3%程度まで幅広くあります。
投資信託の手数料の中でも確実にかかってくるのがこの信託報酬なので、信託報酬の目安はしっかりと理解しておきましょう。
最後に、信託財産留保額はかかるものとかからないものがありますが、かかる場合は高くても0.5%ほどであると考えていいでしょう。
また、為替ヘッジの手数料は円の金利と対象となる外貨の金利によって大きく変化します。
投資信託の手数料の比較
投資信託の手数料の目安を理解したところで、実際に投資信託の手数料を比較していきます。
2019年7月現在の楽天証券の人気銘柄10種類の信託報酬をまとめました。
銘柄名 | 委託会社 | 信託報酬 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 楽天投信投資顧問 | 0.1596% |
eMAXISSlim 先進国株式インデックス | 三菱UFJ国際投信 | 0.107892% |
SBI 日本株3.7ベアIII | SBIアセットマネジメント | 0.8964% |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | ニッセイアセットマネジメント | 0.107892% |
eMAXISSlim 米国株式(s&p500) | 三菱UFJ国際投信 | 0.162% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 楽天投信投資顧問 | 0.2196% |
ひふみプラス | レオス・キャピタルワークス | 1.0584% |
楽天日本株4.3倍ブル | 楽天投信投資顧問 | 1.2204% |
ニッセイ日経225インデックスファンド | ニッセイアセットマネジメント | 0.27% |
eMAXISSlim バランス(8資産均等型) | 三菱UFJ国際投信 | 0.1512% |
人気銘柄10種類の投資信託に共通していえることは、信託報酬の幅が約0.11%から約1.22%までであることから非常に信託報酬が安いということです。
また10銘柄のうち8銘柄が信託報酬1%をきっています。
0.1%台の投資信託が5銘柄あるのは、信託報酬の安い投資信託は競争率が激しく、できる限り安い信託報酬で運用するために、信託報酬の引き下げがおこなわれるからです。
投資信託を購入する際はこのように手数料を比較して選びましょう。
手数料の安い投資信託
それでは手数料の安い投資信託にはどのようなものがあるのでしょうか?
人気銘柄の中で信託報酬が0.1%台であった3つの銘柄について解説していきます。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- eMAXISSlim 先進国株式インデックス
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンドは楽天投信投資顧問が運用する投資信託です。
米国株式を投資対象にした投資信託であり、CRSP USトータル・マーケット・インデックスの指数に連動しています。
信託報酬は0.1596%と安く、ノーロード投信であり、100円から積み立てて投資をすることが可能です。
また、NISA、つみたてNISA口座で購入することができます。
eMAXISSlim 先進国株式インデックス
eMAXISSlim 先進国株式インデックスは三菱UFJ国際投信が運用する投資信託です。
日本を除く先進国の株式を投資対象にした投資信託であり、MSCIコクサイインデックスの指数に連動しています。
信託報酬は0.107892%と業界最低水準で、ノーロード投信であり、100円から積み立てて投資をすることが可能です。
こちらの銘柄もNISA、つみたてNISA口座で購入可能です。
ニッセイ外国株式インデックスファンド
ニッセイ外国株式インデックスファンドはニッセイアセットマネジメントが運用する投資信託です。
eMAXISSlim 先進国株式インデックスと同様にMSCIコクサイ・インデックスの指数に連動しています。
信託報酬は0.107892%と業界最低水準で、ノーロード投信であり、100円から積み立てて投資をすることが可能です。
この銘柄もNISA、つみたてNISA口座で購入できます。
投資信託の手数料はいつ引かれる?
先ほど、信託報酬は保有している間に引かれているといいましたが、実際にはどのような仕組みで引かれているのでしょうか?
信託報酬のパーセンテージは年間あたりどれくらいの手数料が引かれるのかを示しています。
しかし、実際には投資信託の手数料は毎日少しずつ引かれています。
ここからは差し引かれる投資信託の手数料について実際に計算していきます。
投資信託の手数料の計算方法
例えば、基準価格1万口あたり10,000円の投資信託を100万口保有しており、全部で100万円の資産価値があるとします。
0.11%の信託報酬で運用したとすれば、100万円×0.11=1,100円が年間で発生する手数料になります。
次に毎日差し引かれる手数料を計算していきます。
1,100円が年間で発生する手数料であるとすればこれを365で割ると、1,100÷365=約3円が毎日支払われている計算になります。
投資信託を購入する前に、実際にどれくらいの手数料が引かれるのか計算しておくとより計画的な投資計画が立てやすくなります。
また、100万円から始める資産運用について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
100万円から始める資産運用とは?最もおすすめな6つの方法!
販売手数料のない投資信託(ノーロード投信)はお得なのか?
ノーロード投信で無料になるのは、購入手数料のみです。
ノーロードで手数料が安くなるからといって、それだけで投資信託を選んでしまうと損をする可能性があります。
購入手数料が安いのは、短期的な投資を考えているなら良いかもしれませんが、中長期になるともっと重視すべきなのは信託報酬の方です。
一概に「お得!」と言えないのは残念ですが、入口から出口までの手数料のトータルで、自分の方針と照らし合わせて選択するのがベストかと思います。
投資信託のコストには税金も含まれる
投資信託には手数料だけでなく税金もコストに含まれます。
投資信託で税金が発生するタイミングは、投資信託を売却して利益を得たときと分配金を受け取ったときです。
手数料の対策ができていても節税対策ができていないと思うように利益が出ない可能性があります。
節税対策には、NISAやつみたてNISA口座の開設がおすすめです。
NISAは個人向け投資家のための税制優遇制度であり、年間120万円までの投資の利益をすべて非課税にします。
しかし、非課税期間は5年であり、投資信託に投資をするのであれば5年以上の長期保有をしたいという人もいるでしょう。
つみたてNISA口座は、金融庁が定めた投資信託・ETFのみしか購入できませんが、非課税期間は最大で20年になります。
年間の非課税枠は40万円になりますが、20年間少額で購入し続ける投資方法選ぶのであればおすすめの口座となっています。
投資信託をNISAで購入するメリット・デメリットについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
投資信託(投信)をNISAで購入するメリット・デメリット(リスク)とは?
まとめ
投資信託の手数料について理解していただけたでしょうか?
ノーロード投信のように購入手数料が無料のものもありますが、投資信託では信託報酬、信託財産留保額もかかりますのですべての手数料を検討する必要があります。
手数料をすべて比較したうえで、手数料ができる限り安い投資信託を選ぶことが投資信託で利益を得る近道になります。