カナダの不動産小口投資会社TGPグループ買収に伴い、買収企業間のトラブルから、2024年11月4日頃にTGPの物件を保有する投資家に対し怪メールが送付されていた件で、更なる怪メールと権利委任状が送付されていたことが判明しました。
本件について、TGP新経営陣が主催するオンライン説明会に潜入したレポートと併せお伝えします。
これまでの経緯
ことの発端は、TGPが開発した4つの物件(BP、BPⅡ、FEH、CGE)の購入会社である、CBJ Developments 社(以下CBJ社)が破産したことでした。
CBJ社の破産手続きに時間を要したことで、TGP社が事業継続上、厳しい状況におかれ、TGP社は裁判所を通じ、第三者企業であるFirst Financial Groupによる買収を承諾しました。
TGPは投資家に対しメールにて買収と事業移管について発表しましたが、その後、Paybank Financial(以下Paybank 社) を名乗る者より投資家に対し怪メールが送られ、混乱を招いています。
これまでの経緯については下記の記事に詳細を記しています。
Paybank社から二度目の怪メール
怪メールと権利委任状フォーム
2024年12月2日、Paybank社より、投資家宛てに「トランス・グローバルの背任行為および受託者義務違反)」という標題で、再び怪メールが送付され、さらに、それに続き、共同所有者の権利の行使と利益の保護のためとして、TGP CANADA MANAGEMENT INC.とGOWLING WLG (CANADA) LLP へ、投資家としての権利を委任する内容のフォームが送付されました。
なお、GOWLING WLG (CANADA) LLPは後に解説する新経営陣主催のオンライン説明会にて、TGPカナダのリーガルパートナーと紹介されています。
Paybank社は何者か
Paybank社からの怪メールに対し、12月6日付でTGPの日本法人であるTSIグローバル社(旧経営陣)から日本の代理店宛に「TSIから重要なお知らせ」としてメールが届けられました。
その中で、今回の混乱は「買収企業であるGlobal Financial 社と、同社がサービス業務を委託したPaybank Financial 社のトラブルが原因」と言及されています。
以下にメール全文をご紹介いたします。
TSIグローバル旧経営陣からのメール
代理店各位
Paybank社より再三メールが多数の投資家に送られています。これは買収企業であるGlobal Financial 社と、同社がサービス業務を委託したPaybank Financial 社のトラブルが原因です。
2024年6月4日、両社はTGPプラットフォームを買収し、すべての負債を引き受けるとともに、会社に対して補償を提供しました。また、1~3年以内に投資家に対して各ユニットに対して1億ドルを支払うことを約束しました。
すでにTSIのロゴを使用する権利を保有するPaybank 社が、投資家を惑わすようなメールを送っておりますが、旧TSI は全く関与しておりません。
Paybank 社はGlobal Financial 社との交渉を優位に進めるために、投資家の署名を集めていると推測されます。このトラブルに投資家を撒きこむべきではありません。
また、メールにあるような事実は確認されておらず、Paybank社の憶測に過ぎないと思われます。
以上のような背景から、今回の、また今後Paybank社からのメールには返信されない事をお勧めします。
旧経営陣
TSIグローバル株式会社
代表取締役社長 川嶋 博之
代表取締役 ティモシー・シールズ
TGPカナダ主催のオンライン説明会潜入レポート
2024年12月11日深夜、TGPカナダ(新経営陣)主催で投資家に対し、オンラインの説明会が開催されました。
参加した投資家は、40名弱のようで、その中には投資家を装ったメディアや旧経営陣派の人達も数名参加していたようです。会議には、日本語の通訳がついたものの「いない方がまし」と言えるほどのクオリティでした。
TGPカナダの代表が登壇
会議のホスト役として登壇したのは、TGP Canada Management Inc.のPresident / ChairmanのBen Pilehvar氏。
彼は会議の中で、これまでの2通の怪メールにある通り、TGPの旧経営陣を痛烈に批判し、投資家(5千数百人と語っていた)はTGP Canada Management(Paybank傘下の管理会社)と手を組み、戦うべきであると強く主張し、彼らへの委任状に同意し、即刻提出すべきと、語気を強め語っていました。
リーガルアドバイザーが支援
同会議ではリーガルアドバイザーとして、Gowling WLG (Canada) LLPのパートナーと称するAsim iqbal氏も登壇。
Asim iqbal氏はBen Pilehvar氏の功績をたたえ、自身も、TGPの旧経営陣の悪事をあばき、投資家保護のために全力を尽くす旨を語り、そのためにも、投資家たちの信認を得る必要があると強調していました。
なお、Gowling社は、そのHPによると、全世界の法律の専門家約1,500人の集団を束ねているものの、メンバー(パートナーと称するものも含む)は、それぞれ独立して行動し、何の代理関係も権利義務関係もないように見受けられます。Asim iqbal氏もリストにはパートナーとして名を連ねていました。
当方の感想としまして、本説明会では、新たな真実はなにもなく、終始怪しげな雰囲気で、相変わらず何を信じてよいのかわからない状況であり、疑惑はより深まったと言えます。
本件について情報が入り次第、随時アップデートしていきます。