SKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE.LTD.( 以下スカイプレミアム)はシンガポール発のライフスタイルメンバーシップクラブを運営している企業です。
同社は日本国内で「LION PREMIUM(ライオン プレミアム)」という投資商品の勧誘を行っていましたが、証券取引等監視委員会によると、その運用・管理の実態は不明であると報告されており、スカイプレミアムが抱える勧誘者が日本国内で違法な投資勧誘を行っていたとされています。
この記事では、スカイプレミアムの投資詐欺手口と、行政処分の内容、そして現在起こっている訴訟について紹介いたします。
スカイプレミアムの投資勧誘手口
500名のエージェントによるマルチ商法
スカイプレミアムの投資詐欺の手法は、エージェントと呼ばれる勧誘者を使ったマルチ商法のような手口です。勧誘に成功すると投資額の5%前後の報酬が支払われるという謳い文句でエージェントを操り、資金を集めていました。
スカイプレミアムの日本におけるCSO(最高営業責任者)である水島忍氏の支配下に15の代理店があり、エージェントはその代理店に在籍するかたちで、総勢500名ほどいたそうです。
投資は会員制サービスの一環
スカイプレミアムの投資はFX投資でしたが、エージェントは最初から投資を検討している人をFX投資に誘うのではなく、まず同社が運営する会員制のサービスを紹介します。
会員は高級ホテルの宿泊やグルメ商品などを割引き価格で利用でき、その会員サービスの一環としてFX投資に参加できるという仕組みになっています。
約1,200億円の資金を集める
スカイプレミアムのFX投資のなかで特に人気だったのは「LION PREMIUM(ライオン プレミアム)」というプランで、年率約20%のリターンを謳い、投資家に高い利益を保証しました。
冷静に考えれば、このようなリターン率はあり得ないことはすぐに分かるようなものですが、実際に約22,000人の一般投資家が巻き込まれ、約1,200億円もの資金を集めています。
投資セミナーでの不安商法
エージェントは各地でセミナーを開催し、「老後の蓄えに2000万円が必要だ」「日本の銀行は金利が低いので預金しても意味がない」など参加者が将来に不安を頂くようなことを吹聴したうえで、セミナー出席者にエージェントが接触して、FX投資の契約を結ぶというのが勧誘の定石だったようです。
行政処分
証券取引等監視委員会による業務停止命令の申し立て
2021年9月17日、証券取引等監視委員会は、スカイプレミアムと同社CSOの水島忍に対し、業務停止命令を下すよう、東京地方裁判所へ申し立てを行いました。
1.申立ての内容等
証券取引等監視委員会が、会員制組織事業を主たる事業とするとしているSKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE. LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社、シンガポール共和国、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、東京地方裁判所に対し、当社及び当社のCSO(最高営業責任者)であり日本における営業活動の統括責任者である水島忍(当社及び水島忍を併せて、以下「当社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(無登録で、投資一任契約の締結の媒介を業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2021/2021/20210917-1.html
東京地方裁判所による業務停止命令
2021年12月8日、証券取引等監視委員会の申し立てに基づいて、東京地方裁判所はスカイプレミアムと同社CSOの水島忍の行為が金融商品取引法違反行為(無登録で、投資一任契約の締結の媒介を業として行うこと)であると認め、当該行為の禁止及び停止を命令しました。
証券取引等監視委員会が、令和3年9月17日に行ったSKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE. LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社、シンガポール共和国、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)及び当社のCSO(最高営業責任者)であり日本における営業活動の統括責任者である水島忍(当社及び水島忍を併せて、以下「当社ら」という。)に対する金融商品取引法違反行為(無登録で、投資一任契約の締結の媒介を業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう求める申立てについて、本日、東京地方裁判所より、申立ての内容どおり、下記の命令が下された。
記
被申立人らは、いずれも、金融商品取引法29条に規定する登録(業務の種別を投資助言・代理業とするものに限る。)その他同法所定の適式の登録を受けないで、当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のために投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約の締結の媒介を業として行ってはならない。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2021/2021/20211208-1.html
以上
LION PREMIUM(ライオン プレミアム)の実態
先述の通り、ライオンプレミアムはスカイプレミアムの会員が投資できる投資商品ですが、同社は実際の運用に関与していません。
スカイプレミアムの説明によると、Think Smart Trading社(実態不明)の運用指示のもと、GQ社(ベリーズ国籍)がFX取引を行うということでしたが、証券取引等監視委員会の調査によると、実際はその説明と異なっており、運用・管理の実態は不明と報告されています。
ライオンプレミアムという商品は、Think Smart Trading社の運用指示に基づき、GQ CAPITAL INC.(平成27年に、ベリーズ国において設立された外国為替証拠金取引取扱業者と説明されている。以下「GQ社」という。)において外国為替証拠金取引(FX取引)を実施するものであり顧客からの同商品への投資資金は、チェコスロバキア貿易銀行(以下「CSOB銀行」という。)に開設されたGQ社名義の口座において、分別管理される、と説明されている。
しかし、当委員会の調査において、足下、①CSOB銀行にGQ社名義の口座は存在しない、②投資資金は、ライオンプレミアムとは関係のない名目で、かつGQ社とは別の複数の海外法人名義口座に送金されている、③GQ社でFX取引が行われていることの確認がとれないなど、顧客に対する説明とは異なる事実も判明しており、顧客の投資資金の運用・管理の実態が不明である。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2021/2021/20210917-1.html
スカイプレミアム関連の訴訟
北海道で総額8,000万円の集団訴訟
スカイプレミアム関連の裁判は全国いたるところで行われており、個人の場合もあれば集団訴訟も場合もあります。
北海道NHKの2022年11月16日の報道によると、北海道内の総勢11名の被害者がスカイプレミアム幹部とそのエージェントを相手に総額8,000万円余りの損害賠償を求める集団訴訟を札幌地裁に起こしました。
エージェントを相手に訴訟すべき
先述の通り、日本におけるスカイプレミアムへの勧誘行為の実働は、水島氏の支配下にある代理店とそこに在籍するエージェントです。
本件の訴訟を扱っている、弁護士法人ワンピース法律事務所の杉山雅浩弁護士は「実態の分からないスカイ社ではなく、悪事と分かっていて勧誘を行ったエージェントと代理店に対し、訴訟を行うべき」と説いてます。
送金先口座を借り差し押さえ
杉山雅浩弁護士が運営するYouTubeチャンネルによると、本件の相談件数は20件以上、そのうち訴訟に至ったものは10件以上あるそうです。
また、被害者の送金先とされていた「株式会社ダイファースト」の口座を仮差押えしたことも公表しています。
被害者の声
先述の杉山雅浩弁護士のYouTubeチャンネルのコメント欄には、被害に合われた方の嘆きのコメントやどうしたらいいか分からないといったコメントが寄せられています。
初めまして。動画拝見しました。 私も昨年11月に引き出せないと知って解約しましたが、いまだに着金はしていません。こちら大阪ですが担当のエージェントを訴えることはできるのでしょうか?
動画拝見しました。 いまだに何もせず会費を払い続けている状態です。 何か行動を起こすべきでしょうか?
返金なく返事も待って下さいのみ、出金取り消して戻した方が良いとかで困ってます
これらコメントの他にも、ネット上では、このように被害に合われた方のコメントが後を絶ちません。
代理店、およびエージェントを被告とした訴訟も、今後増えていくことが予想されます。
集団訴訟の公募、相談窓口について
集団訴訟の公募は、主に弁護士事務所のホームページや、被害者のオープンチャットでされているようです。何かしら解決の糸口があるかもしれませんので、被害に合われた方は、コンタクトしてみることをお勧めします。
以下にコンタクト先をいくつかご紹介させて頂きます。
オープンチャット「スカイプレミアム関東被害者の会」
オープンチャット「スカイプレミアム被害者の会」
オープンチャット「スカイプレミアム訴訟&被害者の会」
消費者庁 消費者ホットライン
日本弁護士連合会の法律相談窓口
訴訟は各地で行われているようですので、もし被害に合われた可能性があるようでしたら、お近くの窓口に相談してみましょう。
無登録で投資勧誘の疑いで幹部4名を逮捕
2024年2月、スカイプレミアムの幹部4名が逮捕されました。詳細はこちらの記事に掲載しています。
まとめ
ライオンプレミアムへ投資後、出金要請しても着金しないといった口コミが後を絶えません。
悪質かつ大胆な手法で多くの資金を集めたスカイプレミアムですが、2024年2月には、無登録で投資勧誘の疑いで幹部4名が逮捕されており、今後、詐欺が立証される可能性もあります。
もし被害に合われた可能性があるようでしたら、先述のオープンチャットや窓口に相談してみましょう。
投資に関するお問い合わせはINVEEKまでお気軽にお寄せください。