仕事をしながらアルバイトなどの副業をするのは難しいので、株を副業にするサラリーマンは多いです。
しかし、株式投資をしたいけれど自分の職業で副業をやっていいのかと疑問に思う方もいるでしょう。
自身の職業によっては法律に触れないかどうか心配になる方もいるかもしれません。
この記事では、株を副業にするメリット・デメリットと副業で株式投資をするうえで気をつけたいことを解説していきます。
株を副業でおこなっても問題はない根拠
そもそも副業とは何でしょうか? 一般的には日雇いやアルバイトや在宅ビジネスなどがイメージされると思います。
このように本業と別に収入を得ている仕事を副業とされていますが、実は明確な定義は存在しません。
副業は会社によって「就労規則」により禁止されています。また原則として公務員は副業が国家公務員法で禁じられています。
仮に副業が禁止されている場合でも、株取引をおこなっても問題ない根拠は下記の通りです。
- 株式投資は資産運用の一部
株式投資は財産の一つの形といえます。
財産の保持形態は企業が干渉することはできません。また、ときとして本人の意思とは無関係に株が相続されることもあります。
そのため会社により規制することはできないとされています。
- 法的根拠がない
過去の判例では就労規則により兼業を全面的に禁止することは特別な場合を除き、合理性に欠けると判断されています。会社員の副業禁止は民法や労働法にも規定が設けられていないので、就労規則に副業禁止が明記されても会社は社員に投資を止めさせる法的根拠はありません。
なぜ副業は禁止される?
副業には明確的な定義はありません。しかし、就労規則に触れるのではないかと心配する人も多いでしょう。
そもそも企業はなぜ就労規則により副業を禁止しているのでしょうか。その理由としては3つあげられます。
①情報漏洩を防止
競合他社や同業界で兼業していた場合は、自社に不利益情報が一方的に漏らされる可能性があるためです。
また、企業しかもっていないノウハウなどもあります。
それが企業の武器の場合、情報が漏れた際には企業は損害を被る可能性があります。
②会社の評判を下げる行為
会社の名前を使ってビジネスをしていた際にトラブルが起きると、会社にクレームや不評が送られて評判が下がってしまうことが考えられます。
たとえば、〇〇社の社員が副業で不正を行うと、テレビや新聞で〇〇社の社員が不法行為をしたと報じられて会社のイメージが傷つくためです。
③本業を疎かにさせないため
副業に夢中で本業を疎かにされると会社としては迷惑です。
夜遅くまで副業を行ったために大事なミーティングや商談で遅刻や居眠りをしてしまう場合もあるかもしれません。
このような理由により副業を禁止している会社がほとんどです。
本業の妨げにならない程度であれば、株式投資は行っても問題ないといえます。
それでも心配であれば自社の就労規則を確認してみましょう。
副業としておこなって問題が発生するケース
会社員は法令により副業は禁止されていませんが、就業規則に副業禁止を明記する会社はあります。
このようなルールが存在する理由は、本業に支障がないようにするためです。
株式投資を副業としておこなって勤務態度が株式投資により悪化した場合は懲戒解雇処分を受けることがあります。
そのため気を付ける点を3つあげていきます
①遅刻や欠勤をしない
株式取引に夢中で遅刻や居眠りをしてしまうなどの行為を繰り返したときには、懲戒処分を受ける可能性があります。
海外取引を行う際、市場で大きな変化が起こり対応に追われたりするときなどは特に注意が必要です。
②社用パソコンを私用に使う
会社の業務を行うために支給された道具を業務目的以外の私用で使った場合は、懲戒処分などの罰則を受けるリスクがあります。
必ず私用のパソコンを使い副業を行うようにしましょう。
③業務時間に株式取引
さきほど副業しても解雇されないと伝えましたが、解雇されないのはプライベートの時間は就労規則の範囲外だからです。
業務中に株式投資を行っていた場合には、罰則を受ける可能性があるので十分に気をつけてください。
休憩時間で取引しても大丈夫?
休日や休憩時間などのプライベートの時間に対しては、就業規則の範囲外です。
いくら就労規則があるとはいえ、就業規則は給与を得る勤務時間に対してのみ発生します。
業務時間に対して給与が支払われるので業務時間内は職務を遂行することが求められますが、休憩時間や休日はプライベートにあたります。
そのため、休日や休憩時間に就労規則は適用されません。よって、会社から干渉される根拠はないのです。
しかし、休憩時間に株式投資をしているのが見つかり、法的根拠や就労規則のことを説いてもあまりいい顔はされません。
企業によっては休憩時間中でも株式投資をしないほうがトラブルの回避につながります。
サラリーマンが副業で株をやっていることがバレる理由
普通の会社員が株を副業にするのは問題ありませんが、様々な事情で職場には知られたくないと考える人もいるでしょう。
サラリーマンなどの会社員で勤め先に株取引が知られるケースは2つあります。
- 住民税で発覚する
- 職場の人間関係で発覚する
株式投資は法律違反でも就業規則違反でもないので堂々したいところですが、面倒ごとを避けるために秘密にしておくこともできます。
税金の納付や友人関係に気を付ければ会社に知られることはないでしょう。
住民税で発覚する
本業に加えて株式投資で発生した利益に応じて住民税は会社に通知されます。
従業員の給与を税務署に報告する義務があるからです。
会社の経理担当者などは副業により増えた住民税の金額を見て気づくので、株をやっていることが職場に発覚してしまいます。
住民税の納税方法は自分で支払う普通徴収と給与天引き型の特別徴収があります。
もし会社にばれたくないのであれば、普通徴収か源泉徴収ありの特定口座にしましょう。
普通徴収
税金の納付の仕方にも2つあります。その中でも自分で直接納付を方法を取れば会社側にばれることを防げます。
サラリーマンでも副業所得が20万円以上であれば確定申告が必要なので申告書を書きましょう。
確定申告のときは確定申告書に「給与所得以外の住民税の徴収方法選択」という枠があるので「自分で納付(普通徴収)」にチェックをいれると普通徴収になります。
源泉徴収ありの特定口座
源泉徴収する特定口座であれば株の利益からの納税手続きが口座のなかで完結します。
特定口座では確定申告が不必要なので職場に知られることもないでしょう。
面倒な申告書の記入もしなくてよいので特別な理由がない限り、特定口座で納付の方が便利です。
職場の人間関係で発覚する
副業として株式投資を行う場合、職場の人との付き合いによって発覚する場合があります。
基本的には不用意な発言をしたために発覚することがほとんどです。
株式取引を好ましく考えていない職場では発言や行動に気をつけましょう。
社会人が株式取引をする動機
株取引を始める方の動機は様々です。単純に興味あるから、お金を稼ぎたいからという人も多いでしょう。
そこでお金を稼ぎたいからという目的を具体化する必要があります。
あなたのする投資が毎月のお小遣いを稼ぐためのものか、老後の資金としての長期的な目線で見た資産形成なのか、そのゴールの違いにより運用の方法やリスク管理も変化します。
はじめる前に目的を明確化させましょう。
サラリーマンができるおすすめの投資方法については、以下の記事がオススメです。
サラリーマンにおすすめの投資はコレだ!お金を増やす投資方法
株を副業で始めるメリット
株を副業で始めるメリットは3つあります。
- 少額から気軽に投資できる
- 主婦(主夫)や学生も始められる
- 老後も続けられる
それぞれ詳しく解説していきます。
少額から気軽に投資できる
日本株の購入単位は1単元で購入する場合、株価×100株になります。
1単元を購入する場合は株価が1,000円であれば10万円、株価が1万円であれば100万円が必要です。
しかし、証券会社によって1単元よりも下の単位で取引することもできます。
ミニ株は単元株の10分の1、単元未満株は1株から100株未満の自由な単位で取引可能です。
1株であれば株価1,000円でも購入価額は1,000円、1万円であれば1万円になるので少額から購入可能になります。
また、日本株ではなく米国株であれば原則として1株から購入できるので、購入しやすいです。
株式の単元について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式の単元(売買単位)とは? 単元変更についても詳しく解説!
主婦(主夫)や学生も始められる
少額から投資できるので、サラリーマンに限らず、アルバイトやパートをしている主婦(主夫)や、学生も気軽に始められます。
企業に属していないのであれば、副業が禁止されている場合や、自分から言わなければ副業が周りに発覚するリスクもないので始めやすいでしょう。
ただし、株の利益が増えると確定申告の義務が発生したり、扶養控除から外れてしまう可能性があるので注意が必要です。
扶養控除について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
所得税の扶養控除とは?控除額の計算と子供や配偶者の扶養について
老後も続けられる
現在の職業に定年がある場合でも、株式投資に定年はないので定年後も株取引を続けられます。
その際に副業から本業に移行することもできるでしょう。
現役時代に副業として株式投資を学べば、老後に本業とする場合でも経験を活かせます。
株を副業で始めるデメリットや注意点
一方で株を副業で始めるデメリットや注意点についても解説していきます。
- 職業によっては禁止されている
- 市場が開いているのは平日の昼
- 株と副業のバランスを崩さない
職業によっては禁止されている
証券会社や生命保険会社などの金融機関は、社内の規則として株トレードの禁止を命じている会社もあります。
なぜなら、インサイダー取引という法律に触れる可能性があるためです。
金融業界のほかにもマスコミや監査法人の中にも株式取引を禁じている職業があります。
株式投資をする前に、自分の会社がどこまで株式投資を認めているか事前に調べておきましょう。
市場が開いているのは平日の昼
日本の株式取引上は非常に短い時間の間に取引がされています。市場で取引できるのが平日の9時から11時30分、12時30分から15時までです。
社会人であれば勤務時間と重なって取引ができません。だからといって勤務中にパソコンや携帯を開いて株トレードなどは仕事中にすることはできません。
売買益で利益をあげるためには常にチャートをチェックしなければなりません。激しい値動きをリアルタイムで確認できないのは精神的に苦痛となることが考えられます。
忙しい人に向けたおすすめの投資方法としては、配当益を得る長期投資がおすすめといえるでしょう。
長期投資であれば、株価を常にチェックする必要がないので安心して保有を続けられます。
株式の長期投資における売り時について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式の長期投資と売り時について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式を売るタイミングとは? 株初心者でも実践できる3つのタイミング
夜間に取引する方法
投資目的は様々ですが、副業と考えている以上は昼に取引するのは難しいでしょう。
株式を夜間に取引する方法は具体的には2種類あります。
- 指値注文
- PTS取引
株式には指値注文と成行注文があります。指値注文を駆使すれば注文は夜であっても昼に取引する事が可能です。
成行注文は売買の成立を最優先にして取引する注文方法です。
取引できる時間であれば売買が成立する最短の取引ルートで、夜間であれば翌営業日の9時から取引を成立させます。
指値注文は希望する株価に達した場合、自動で取引されます。
例えば、1000円の株価が1200円になった時に売る様に注文すれば自動的に株価が1200円になった際に売却してくれます。
しかし、株式の価格はどの様に変動するのか分かりません。市場の動向を見ずに指値注文だけで多数の取引を成立させるのはリスクが非常に高いです。
次の取引方法は夜間に直接取引できるPTS取引を紹介します。
PTS(Proprietary Trading System)取引は日本語訳すれば私設取引システムと呼ばれます。証券取引所を経由せず株を売買できる仕組みです。
そのため、通常株式を取引できない夜間であっても株式を取引することができます。取引所を介していないため手数料が安くなるメリットも。
決算発表のすぐ後に株式を売買出来たり、24時以降の深夜であっても取引が出来るので、会社員で株式取引をするのであればおすすめの取引方法です。
しかし、取引できる銘柄に制限があります。通常株式が取引出来ない時間であるため、取引に参加する人数が少なく売買が成立しないケースも。
PTS取引はSBI証券とマネックス証券で行えます。
ほとんどの証券会社でPTS取引は行う事が出来ないので、PTS取引を行う場合PTS取引が出来る証券会社を選びましょう。
株と副業のバランスを崩さない
サラリーマンや公務員が資産運用をする際には本業に軸を置くことを忘れてはいけません。
確かに株式投資では利益を得ることは可能ですが、本業の水準に満たされるほど高い利益が出る保証はありません。
仮に利益が出たとしても安定性という面で株は本業と比べて不安定と言えます。
サラリーマンや公務員であれば会社からは毎月必ず支払われる固定給があり安定しています。
株の利益よりも本業で得る給与の方が重要であるということを忘れてはいけません。
株の副業の始め方
株を副業として始めるための始め方について確認していきましょう。
企業の就労規則の確認
実際に始める前に株取引が禁止されている職業であるか、就労規則などで株が禁止されていないかを確認し、株を始めても問題がないことを確認しましょう。
副業禁止の会社でも株式投資は厳密には副業には含まれないので法的にはおこなっても問題はありませんが、秘密にして発覚した後に問題が発生した場合は自己責任になります。
問題になるのはインサイダー取引に抵触する可能性がある職業となりますので、金融関係の職業についている場合は注意が必要です。
株を取引するための口座を開設する
株取引をおこなう際には口座が必要ですが、口座にもいくつか種類があります。
その種類により年間取引報告書の作成や確定申告が必要か否かが決まります。
- 一般口座
年間取引報告書を作成する必要があります。確定申告は必要です。 - 特定口座(源泉徴収あり)
証券会社に年間取引報告書を書いてもらいます。確定申告は不要です。 - 特定口座(源泉徴収なし)
証券会社ではなく自身で年間取引報告書を作成します。確定申告は必要です。
この中でも2番目の特定口座(源泉徴収あり)では住民税と所得税が自動的引き下ろしされます。
確定申告の手続きを省けるので、職場で株式投資が発覚する確率は少なくなります。
また、株を取引するなら個人投資家のための税制優遇制度であるNISA口座の開設もおすすめです。
年間の投資額120万円にかかる利益が非課税になります。
NISAについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
つみたてNISAって実際どうなの?どのくらいお得な制度なのか?
株の副業はどのくらい儲けられる?
儲けられる額は投資額や投資銘柄に依存するため、具体的にいくらとはいえません、
しかし、株式には配当利回りがあり、株価の変動を考慮しない場合は配当が長期保有における純粋な利益になります。
配当利回りの計算と、配当金が分配される仕組みは下記の図のようになります。
配当利回りの計算式は「1株あたりの配当金÷株価」で求められます。よって上記の図では「30円÷1,000円=3%」3%の配当利回りです。
このとき100株(資産価値は10万円)を保有している場合は配当金が3,000円、5万株(資産価値は5000万円)を保有している場合は150万円となり、株数が増えれば増えるほど配当金が増える仕組みです。
所持している株数に応じた配当利回りが株の副業による儲けになります。
しかし、株価を考慮する場合はマイナスとなったとき、配当利回りが減少したり、配当利回りを含めても損失になってしまうことも。
株価によるマイナスは最終的な売却時に確定し、配当金は毎年貰えるので、長期的に株価が下落していなければ問題はないでしょう。
株の副業は公務員(教員)でも始められる?
公務員や教師は副業禁止の原則があります。
株は厳密にいえば副業にはあたらず、資産運用としてみなされるので副業禁止の原則にはあてはまりません。
よって、公務員も株式取引は可能です。
ただし、公務で知り得た情報を投資に活かす場合や、サラリーマンと同様に業務中に取引するのは問題になります。
株の副業で確定申告は必要?
副業の株取引で確定申告が必要になるかどうかは、株の利益と本業の所得に依存します。
まず、口座を特定口座(源泉徴収あり)にしている場合は、源泉分離課税であり、課税が売却の時点で完結しているので確定申告の必要はありません。
源泉徴収をしていない場合は、株式の利益とその他の雑所得の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。
ただし、サラリーマンで所得が2000万円を超えている場合は、雑所得の額に関わらず確定申告が必要になります。
主婦や学生の場合は株式を含める年間の所得が基礎控除額の48万円を超えるかどうかが、確定申告をするかどうかの壁になるでしょう。
株の確定申告について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株の確定申告が必要な2つのケースについてわかりやすく解説します!
まとめ
この記事を読むまで株式取引を副業だと思い手を出していなかった方は多いかと思われます。
確かに壁を感じることはあると思いますが、誰にでも開かれているのでサラリーマンも公務員も株式投資は気軽に行えます。
株取引は副業にあたらず社会人でも参加することができます。
日中は忙しいけど株式投資したい人でも指数注文や成行注文という方法でも株式投資に参加できるので是非、これを機会に始めてみてはいかがでしょうか。
株式投資についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式投資とは?株式投資の仕組みと始め方を徹底解説!