株式の単元(単元株式)とは、株式取引で売買される売買単位の事です。
株主としての権利を持つには1単元以上の株式を持つ必要があります。
また、この単元株式の仕組みは2018年10月1日に大きく変わりました。
2018年からの変更点も踏まえつつ、この記事では株式の単元について詳しく説明していきます。
株式の単元(単元株式)
株式は1単元(100株)を売買単位として取引します。
これを株式の単元(単元株式)と言います。
2018年10月1日以前は企業が1単元の単元株数を決める事が出来ました。
なお、現在は1単元、100株に統一されています。
単元株式を持つことによって、株主としての権利を得る事が出来ます。
例えば、株式の発行元の企業が役員などを決める際に議決権を行使する事が可能です。
なおかつ、年に1~2回、株主優待や配当金を受け取ることが出来ます。
議決権や株主優待は単元株式をより多く持つほど権利を獲得する事が出来ます。
単元株式の最低投資金額
単元株式を購入するには、1株の金額を基準として1単元である100株を購入する事になります。
例えば、1株1,000円の株式があったとして、1単元購入する為に必要な金額は1,000円×100株=100,000円となります。
単元株式の最低投資金額は株価×1単元(100株)で求める事が出来ます。
米国株式の単元
日本の株式と米国株式にはいくつかの違いがあります。
日本の株式は1単元100株で購入するのに対して、米国株式は1株から購入する事が出来ます。
日本の株式と米国株式の他の違いは、日本は配当が年1~2回に対して、米国は配当が年4回ある場合が多いです。
また、日本は1日の株価の変動に対して、値幅制限があるのに対して、米国は値幅制限がありません。
株式投資を始めたいと考えている方はこちらの記事をチェックしてください。
株式投資の始め方!覚えておくべきおすすめの6つの指標と活用例
単元未満株(端株)
単元未満株は、端株とも呼ばれる、1単元に満たない株の事を言います。
単元未満株取引において、証券会社によっては、S株(SBI証券)、ワン株(マネックス証券)、プチ株(カブドットコム証券)と呼ばれます。
また証券会社によっては、ミニ株取引と呼ばれる通常の売買単位の10分の1で単元未満株を取引できる制度もあります。
単元未満株は、株式交換、株式移転などによって発生する株です。
株式交換は株式を発行した企業が、その発行済株式の全てを既存の他の企業が取得する事です。
また、株式移転は株式を発行した企業が、その発行済株式の全てを新しく設立された企業が取得する事です。
特に株式交換は株式を取得した企業が株式を発行した企業を子会社化する時に行われます。
この単元未満株は先ほど紹介したSBI証券、マネックス証券、カブドットコム証券などの証券会社で取引されます。
単元未満株のメリット・デメリット
単元未満株は1単元である100株ではなく1株から購入する事が出来ます。
よって、単元株式を購入するよりもより少額で取引しやすいです。
投資金額が少ない場合、利益も少なくなりますが損失も少なくなります。
少額で取引がしやすい点は単元未満株のメリットと言えるでしょう。
一方、デメリットは単元未満株のみを所持している場合、株主の権利が制限される場合があります。
単元未満株のみを所持している場合、株主の権利である議決権はありません。
また、配当や株主優待が貰えない事もあります。
二つ目のデメリットは、この単元未満株は証券会社によっては売買できない場合があります。
単元未満株を売買するには単元未満株を取り扱っている証券会社に口座を持つ必要があります。
株主としての権利の制限、扱っていない証券会社もある事が単元未満株のデメリットと言えます。
単元未満株の売却
株式交換や株式移転などで発生してしまった単元未満株は、買取請求と買増制度によって売却できます。
単元未満株を扱っていない証券会社で取引をしている場合はこの方法で単元未満株を売却します。
買取請求
買取請求は単元未満株を発行した企業に単元未満株を時価で買い取って貰う売却方法です。
ただし、買取請求を受け付けていない企業もあります。
買増制度
買増制度は単元未満株を単元株式に買い増しする事で売却する方法です。
例えば、単元未満株20株を持っていたとして、単元株式(100株)にするには80株を買い増せば良い事になります。
買い増しをする為の資金は必要ですが、単元未満株を単元株式にする事が出来ます。
株式の単元変更
かつて、株式は1株、10株、50株、100株、200株、500株、1000株、2000株の8種類の単元がありました。
これらは全て企業ごとに決められていました。
しかし、2014年に100株、1000株の2種類の単元株式に移行、2018年には100株に統一されました。
具体的な経緯は、東京証券取引所によって、2007年にこれまで企業毎に決められていた売買単位の統一が決定し、単元株式の100株への統一が決定しました。
その後、2012年にはまず全企業の単元株式を100株か1000株に移行する期限を決め、2014年に移行しました。
そして、2015年には全企業の単元株式を100株に移行する期限が決まり、2018年10月1日に完全移行しました。
下記の表に東京証券取引所の単元株式の統一についてまとめました。
年 | 出来事 |
2007年11月27日 | 単元株式集約に向けた行動計画の発表(単元株式の100株への統一が決定) |
2010年11月24日 | 2012年4月までを目標とする単元株式の集約に関する要請(100株、或いは1000株に統一していない企業に対する売買単位統一の要請) |
2011年04月28日 | 単元株式の100株と1000株への移行期限を延期(震災の影響考慮し、2012年4月以降とした) |
2012年01月19日 | 単元株式の100株と1000株への移行期限を決定(2014年4月1日に決定) |
2014年03月17日 | 単元株式の100株と1000株への集約期間の終了と、100株への統一の為の移行期間の開始 |
2014年04月01日 | 全企業の単元株式が100株と1000株へ完全移行 |
2015年12月17日 | 単元株式の100株への移行期限を決定(2018年10月1日) |
2018年10月01日 | 全企業の単元株式が100株へ完全移行 |
株式の単元変更によるメリット
では、株式の単元を100株に統一する様に変更した事でどの様なメリットが生まれるのでしょうか。
まずは、100株に統一された事によって最低投資金額が把握しやすくなったと言う事です。
2018年10月からは株価×1単元(100株)によって全ての単元株式の投資金額を求められるようになりました。
また、2014年時点では1000株が1単元の株もありましたが、全て100株に統一される事によって必要な投資金額が少なくなりました。
株価が900円の株を1000株買う場合と、株価が900円の株を100株買う場合を比較すれば購入価格も10分の1になります。
必要な投資金額が少なくなれば、より売買が活発になり、株価の上昇にも繋がります。
1単元が1000株の時点では購入が難しかった株式も1単元が100株になった事で購入しやすくなったと言えるでしょう。
また単元株式が統一されることによって、全体的な発注のミスが減り、より利便性に優れる市場が形成されます。
最低投資金額を把握しやすくなり、より売買が活発になる事が株式の単元変更によるメリットと言えるでしょう。
株式併合
株式の単元変更にあたって、企業によっては株式併合を行う場合がありました。
具体的には売買単位を1000株から100株に移行するにあたって、同時に10株を1株に株式併合を行うケースです。
株式併合とは、既に発行されている株式の数を減らす為に複数の株式を1株に統合する事を指します。
例えば、株価が1000円の株式を500株持っていたとします。
しかし、その株式は株式併合を行う事になり、2株を1株に併合する事に決まりました。
その際の株式の保有状況の変化は下記の表の通りになります。
株式の保有状況 | 株式併合前 | 株式併合後 |
株価 | 1,000円 | 2,000円 |
株式数 | 500株 | 250株 |
資産 | 500,000円 | 500,000円 |
この表において大事な事は株式併合によって資産価値は変わらないと言う事です。
ただし、今回の例では株式併合後、50株の単元未満株が生まれています。
株式併合によって単元未満株が生まれる可能性があるので、株式併合後、株式を売却する際には注意が必要です。
株式併合について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
株式併合とは?メリットとデメリット、株価への影響についても徹底解説!
企業は何故株式併合を行うのか
企業が株式併合を行う理由は単元変更にあたって、最低購入金額を保つ理由があります。
東京証券取引所は単元株式の最低投資金額を最低で50,000円から最高で500,000円程度と言う水準を目指しています。
仮に単元変更前までに株価400円の1000株の単元株式があったとします。
この株式の最低投資金額は400,000円であり、東証の水準を満たしています。
しかし、単元変更によって1000株から100株になってしまうと最低投資金額は40,000円となり水準を下回ってしまいます。
この場合、10株を1株に併合すれば、株価が4,000円の100株の単元株式となるので、最低投資金額は400,000円となり水準を満たします。
その他の理由としては、1株辺りの価格が安くなり過ぎた場合、発行株式数が多すぎる場合、企業は株式併合を行い株式の調整を行います。
株式分割
株式分割は、既に発行されている株式を増やす為に1株を細かく分割する事です。
複数の株式を1株に統合する株式併合とは逆の調整を行う事になります。
例えば、株価2000円の株式を200株持っていたとします。
しかし、その株式は株式分割を行う事になり1株を2株に分割する事に決まりました。
その際の株式の保有状況は下記の表の通りになります。
株式の保有状況 | 株式分割前 | 株式分割後 |
株価 | 2,000円 | 1,000円 |
株式数 | 200株 | 400株 |
資産 | 400,000円 | 400,000円 |
株式分割は株式併合と同様、保有している株式の資産価値は変わりません。
株主のメリット
株主のメリットとしては、株価が下がる事で最低投資金額が下がる事です。
特に株式の保有数が増えるので、議決権や貰える配当が増えます。
取引の自由度も上がるので、株主側には基本的にはデメリットはありません。
企業のメリット・デメリット
企業のメリットとしては、より多くの人に株式を買って貰えるメリットがあります。
市場においても株式の絶対数が増える事によって売買取引が成立しやすくなります。
ただし、企業側にとっては株式分割はデメリットもあります。
株主数が増えると企業の事をよく知らない人が議決権を獲得してしまい、事業を進めづらくしてしまう恐れがあります。
また、単純に株主数が増える事によって株主総会への招集にあたって事務的作業が増加する懸念もあります。
株主併合は株主にとってはメリットが大きいですが、企業にとってはデメリットもあります。
まとめ
株式の単元について理解していただけたでしょうか?
現在では1単元、100株に統一され、より分かりやすく円滑な取引が可能になりました。
しかし、単元株式を購入するにはある程度まとまった資金が必要です。
投資金額を下げる方法としては単元未満株を売買する方法があります。
しかし、単元未満株にはデメリットもあります。
余裕資金の額と相談しながら、自分に合った株式取引を模索していきましょう。