子どもの教育費を準備する方法として、預貯金に加えて投資を検討する家庭も増えています。
そこで注目されている資産運用が、2027年1月から利用できる「こどもNISA」です。
こどもNISAは、未成年のうちから積立投資を始め、運用で得た利益を非課税にできるため、長期的な資産形成に活用しやすい制度といえるでしょう。
本記事では、こどもNISAの仕組みと運用を始めるメリットを解説します。子どもの将来に向けた資金づくりをしたい方は、参考にしてください。
こどもNISAとは

こどもNISAとは、NISAのつみたて投資枠を0~17歳にも広げ、未成年のうちから資産形成を始められるようにする制度です。
こどもNISAでは、子どもが口座保有者となり、親権者などが口座を管理しながら、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託を購入します。
NISA口座で得た対象商品の売却益や分配金は非課税となるため、通常の課税口座よりも運用成果を残しやすい点が特徴です。一方で、投資信託の価格は市場環境によって変動し、積み立てた金額を下回る可能性もあります。
教育費を確実に準備できる貯蓄制度ではないため、預貯金と組み合わせて利用することが大切でしょう。
こどもNISAは2027年1月1日から適用
こどもNISAは、原則としてその年の1月1日時点で18歳未満の人が対象です。その年に出生した子どもも、出生年から利用できます。
18歳に達すると、特段の手続きをすることなく18歳以上向けのNISA制度へ自動的に移行する仕組みとなっており、未成年期から成人後まで運用を続けやすい設計となっています。
ただし、制度が始まる日と、金融機関が口座開設の申し込みを受け付ける日は同じとは限りません。必要書類や申し込み方法も金融機関ごとに異なる可能性があるため、注意が必要です。
こどもNISAの年間投資枠と非課税保有限度額
年間投資枠とは、その年に新しく購入できる金額の上限です。
使い残した枠を翌年へ繰り越してまとめて投資する仕組みではないため、毎年の家計状況を見ながら積立額を決めることになります。
一方、非課税保有限度額は、こどもNISAで保有できる商品の取得額を通算した上限です。例えば、毎年60万円ずつ投資すれば、単純計算では10年で600万円に達します。
| 項目 | 制度内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0~17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 投資対象 | 一定の投資信託 |
| 口座名義 | 子ども本人 |
| 口座管理 | 親権者など |
運用によって評価額が600万円を超えても、値上がり分まで限度額に含まれるわけではありません。反対に、購入後に価格が下がっても、取得時の金額を基準に管理されるため覚えておきましょう。
こどもNISAとジュニアNISAの違い

ジュニアNISAは2016年に始まった旧制度であり、2023年末をもって新規の口座開設と買付けが終了しました。こどもNISAは2027年から始まる新しい制度です。
どちらも投資枠の対象は0~17歳ですが、年間投資枠や非課税保有限度額などが異なります。
| 比較項目 | こどもNISA | ジュニアNISA |
|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 2027年から始まる新制度 | 2023年末で終了した旧制度 |
| 対象年齢 | 0~17歳 | 原則18歳未満※ |
| 年間投資枠 | 60万円 | 80万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 | 最大400万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 原則5年間 |
| 投資対象 | 一定の投資信託 | 上場株式や投資信託など |
| 払出し | 12歳以降は一定の要件で可能 | 2024年以降は全額払出し可能 |
※2022年以前は20歳未満が対象
ジュニアNISAでは年間80万円まで投資でき、上場株式や投資信託などを購入できました。しかし、非課税期間は原則5年間で、当初は一定の年齢まで払出しが制限されていました。
こどもNISAは年間投資枠が60万円となるものの、非課税保有期間に期限がなく、長期的に運用しやすい点が特徴です。対象商品は一定の投資信託に限られるため、ジュニアNISAよりも長期の積立や分散投資を重視した制度といえるでしょう。
ジュニアNISAを保有している場合の対処法
すでにジュニアNISAで株式や投資信託を保有している場合、制度が終了したからといって、すぐに商品を売却する必要はありません。
2023年までに購入した商品は、当初の5年間の非課税期間が終わると「継続管理勘定」へ自動的に移され、子どもが18歳になるまで非課税で保有できます。ただし、継続管理勘定では新しい商品を買い付けることはできません。
また、保有商品の一部だけを払い出すことができないため、払出しを選ぶ場合は、ジュニアNISA口座内の商品や現金をすべて払い出す必要があります。
なお、2027年以降、ジュニアNISAの商品がこどもNISAへそのまま移されることはないため、既存資産と新しい積立は分けて管理しましょう。
こどもNISAを利用する6つのメリット

こどもNISAのメリットは、投資によって得た利益を非課税にできることだけではありません。
0歳から利用できるため、大学進学や成人後の生活に向けて、長い時間をかけて資産形成を進めることができます。メリットを生かすためにも、近い将来に使うお金を預貯金で確保し、当面使わない余裕資金を積み立てるようにしましょう。
こどもNISAを利用する6つのメリットを紹介します。
運用益に税金がかからない
こどもNISAで購入した対象商品の売却益や分配金には、原則として税金がかかりません。
通常、課税口座で上場株式や投資信託を売却して利益が出ると、所得税と住民税が課されます。
一方、こどもNISAの非課税枠で得た利益は、税金を差し引かれずに受け取れます。利益を再び運用に回す場合も、税金で運用資金が減りにくいため、長期運用との相性がよい制度といえるでしょう。
ただし、NISAは税金が優遇される口座であり、利益を約束する仕組みではありません。商品の価格が下がれば損失が生じる可能性もあるため注意が必要です。
0歳から長期運用できる
こどもNISAは、出生した年から利用できます。
0歳の時に積立を始めれば、18歳になるまで長い運用期間を確保できるため、少額をコツコツ積み立てる方法を選びやすくなります。大学進学など資金が必要になる時期まで期間がある家庭ほど、長期運用の特徴を生かしやすいでしょう。
ただし、大学入学の直前まで値動きの大きい商品を持ち続けると、相場下落の影響を受けることがあります。大学入学が近づいた段階で一部を売却し、必要な金額を預貯金へ移しておけば、直前の値下がりに備えられます。

非課税保有期間に期限がない
こどもNISAで購入した商品には、非課税で保有できる期間の期限がありません。
旧制度のジュニアNISAでは、購入した年から原則5年間が非課税期間とされていました。こどもNISAでは非課税保有期間が無期限となるため、急いで商品を売却する必要はありません。
18歳になると成人向けのNISAへ自動的に移行するため、大学進学時に資金を使わなかった場合は、別のライフイベントに向けて運用を続ける選択肢も取れます。運用を続けるか売却するかを、子どもの進路や家計の状況に合わせて判断できる点はメリットでしょう。
親のNISAと併用できる
こどもNISAは子ども本人の名義で利用するため、親が保有するNISAとは別の口座として管理されます。親が自分のNISAを利用していても、子どものこどもNISAを開設することが可能です。
親は老後資金、子どもは進学後に必要となる資金というように、目的を分けて積み立てられます。ただし、非課税枠を使い切ることを優先する必要はありません。子どもの積立額を増やした結果、親の生活防衛資金や老後資金が不足しては、家計が不安定になります。
まずは親自身の生活基盤を整え、そのうえで余裕のある範囲を子どもの資産形成へ回すことが重要です。
子どものためのお金を分けて管理できる
こどもNISAでは、子ども本人の名義で口座を開設します。
進学費用や成人後の生活資金として準備するお金を、親の生活費や老後資金と分けて管理しやすくなります。親の資金と同じ銀行口座や証券口座で複数の目的のお金を管理していると、教育費として確保した金額がわかりにくくなりがちです。
子ども専用の口座を設けて積み立てれば、これまでに投資した元本や現在の評価額を確認しやすくなり、目標金額までどの程度不足しているかも把握できるでしょう。親の家計が苦しいときに、子どものために積み立てた資産を使ってしまうことを防ぐことにもつながります。
子どもの金融リテラシーを育てるきっかけになる
こどもNISAを利用することで、家庭内でお金や投資について話すきっかけを作れます。
成長に合わせて積立額や評価額を子どもと一緒に確認すれば、お金が増える場合だけではなく、相場によって減る場合もあることを伝えられるでしょう。
「今月は増えた」「先月より減った」と親子で確認するだけでも、投資には値動きがあることを実感できます。高校生になったら、積み立てている商品の投資先や手数料を一緒に調べてもよいでしょう。
こどもNISAを始める前の注意点

こどもNISAを始める前に確認しておきたいのが、元本割れと払出しのルールです。
必要なときに自由に使える預貯金とは異なるため、近い将来に使う資金は預貯金で確保し、当面使う予定のないお金を積み立てましょう。
こどもNISAを始める前の注意点を解説します。
元本割れする可能性がある
こどもNISAで購入する投資信託には価格変動があるため、売却する時期によっては元本割れする可能性があります。複数の地域や資産へ分散された商品を長期間積み立てても、損失を必ず避けられるわけではありません。
特に、大学の入学金を支払う直前など、使う時期が決まっている資金には注意が必要です。入学まで残り1年の段階で相場が大きく下落すると、価格が回復するまで待てない場合があります。
必要な金額をすべて投資に回さずに、数年以内に使う予定の分は預貯金で持つと安心です。

12歳未満は原則として自由に引き出せない
こどもNISAでは、子どもが12歳になる前の払出しは原則として制限されます。
12歳未満で例外的に認められるのは、居住する家屋が災害で全壊した場合など、税務署長の確認を受けた一定の事情があるケースです。家計の収入が減った、急な出費が生じたといった理由だけで、通常の預金のように自由に引き出せる制度ではありません。
12歳以降は払出しが可能になりますが、無条件ではない点にも注意しましょう。入学金や授業料などの教育費、または子どもの生活費に充てることが条件となります。
個別株には投資できない
こどもNISAで購入できるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
成人向けNISAの成長投資枠とは異なり、上場企業の個別株を選んで投資することはできません。特定の企業を応援したい、配当金や株主優待を目的に株式を保有したいと考えている場合は、こどもNISAでは希望する商品を購入できません。
一方、対象商品が絞られていることは、必ずしもデメリットだけではありません。
個別企業の業績に資産が大きく左右されにくく、複数の企業や地域へ分散された投資信託を選びやすいからです。投資に詳しくない親にとっても、膨大な個別株の中から投資先を判断する必要がない点は、利用しやすさにつながるでしょう。
子どもの資産を親の都合で使うことはできない
こどもNISAは子ども本人の名義で開設するため、口座内の商品や現金は、子どものために管理する資産です。積立資金を親が負担していても、住宅の購入費や親の老後資金など、親自身の都合で自由に使うことを前提にはできません。
12歳以降に払い出す場合は、子どもの同意を得たうえで、教育費や生活費に充てることなどを記載した所定の書類を金融機関へ提出します。親が口座を管理しているからといって、親名義の預貯金と同じように扱えるわけではないため注意が必要です。
将来は本人が自分の資産として判断できるよう、段階的に管理を引き継いでいきましょう。
こどもNISAと親のNISAはどちらを優先するべき?

こどもNISAと親のNISAのどちらを優先するかは、資金の目的と家計の余裕によって異なります。
親のNISAで教育資金を運用する場合は、こどもNISAのような払出し制限がなく、進学費用が想定より早く必要になったときにも対応しやすい点がメリットです。一方、親の老後資金と教育資金が同じ口座に混在しやすく、使ってよい金額がわかりにくくなることがあります。
まずは毎月の生活を安定させ、急な出費に対応できる預貯金を確保することが先決です。親自身の老後資金に不安がある場合は、親のNISAを優先する判断も適切でしょう。
こどもNISAが向いている家庭
こどもNISAが向いているのは、子どもの進学まで十分な期間があり、当面使わない余裕資金を継続的に積み立てられる家庭です。
生活防衛資金や数年以内に支払う教育費を預貯金で確保できていれば、相場が下落したときにも慌てて商品を売却せず、長期的な視点で運用を続けやすくなります。
また、親の生活費や老後資金とは別に、子どものためのお金を明確に管理したい家庭にも適しています。大学進学時にすべて使うのではなく、成人後の留学費用や独立に向けた資金として残す可能性がある場合は、こどもNISAの特徴を生かしやすいでしょう。
ただし、年間60万円の投資枠を使い切る必要はありません。毎月5,000円や1万円など、収入が減った時期にも無理なく続けられるよう調整することが大切です。
こどもNISAを急いで始めなくてもよい家庭
毎月の家計が赤字であったり、急な出費に対応できる預貯金がなかったりする家庭は、こどもNISAを急いで始める必要はありません。生活費が不足するたびに借入を利用する状態では、資産形成より先に家計を立て直すことが重要です。
また、数年以内に高校や大学の入学費用が必要になる場合も、値動きのある投資へ多くを回すのは慎重に考えた方がよいでしょう。必要になる時期が近い資金は預貯金を中心に準備し、長期間使わない部分だけを投資に回す方法が現実的といえます。
預貯金で目標額を準備する方法が間違いというわけではありません。こどもNISAを利用すること自体を目的にせず、無理なく継続できる時期を選びましょう。

こどもNISAの運用シミュレーション

こどもNISAで毎月積み立てた場合、将来いくらになるのかをシミュレーションします。
今回のシミュレーションの条件は以下のとおりです。
- 想定利回り:年3%
- 積立方法:毎月末に一定額を積み立て
- 運用方法:運用益を再投資
- 運用期間:0歳から17歳
- 年間投資枠:60万円
- 非課税保有限度額:600万円
- 手数料や税金:考慮しない
- 金額表示:1万円未満を四捨五入
なお、実際の運用では利益が一定の割合で増えるとは限らず、元本を下回ることもあります。
今回のシミュレーションは将来の成果を保証するものではなく、積立額を決める際の目安として確認してください。
【金額別】毎月の積み立て額で比較
0歳から18歳になるまで年3%で運用した場合の想定運用額は以下のとおりです。
| 毎月の積立額 | 積み立てる期間 | 積立元本 | 18歳の想定運用額 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 18年間 | 216万円 | 約286万円 |
| 3万円 | 16年8カ月 | 600万円 | 約809万円 |
| 5万円 | 10年間 | 600万円 | 約888万円 |
毎月5万円の方が3万円より想定運用額が大きい理由は、600万円へ早く到達し、運用のみを続ける期間を長く確保できるためです。
積立額が多いほど元本は早く増えますが、こどもNISAには600万円の非課税保有限度額があるため、毎月の金額を増やせば際限なく非課税投資を続けられるわけではありません。
ただし、投資時期が異なれば結果も変わります。家計を圧迫してまで早く上限へ到達させるより、収入が減った場合にも継続できる金額を設定することが大切でしょう。
【年齢別】始めた年齢で比較
次に、毎月3万円を18歳まで積み立てることを想定し、開始年齢別に比較しましょう。
| 積立開始年齢 | 積み立てる期間 | 積立元本 | 18歳の想定運用額 |
|---|---|---|---|
| 0歳 | 16年8カ月間 | 600万円 | 約809万円 |
| 6歳 | 12年間 | 432万円 | 約519万円 |
| 12歳 | 6年間 | 216万円 | 約236万円 |
0歳から始める場合は、16年8カ月で非課税保有限度額の600万円へ達するため、その後1年4カ月は積立を停止して運用のみを続ける条件です。
早く始めるほど運用期間を確保しやすいですが、開始が遅いからといって、積立額を無理に増やす必要はありません。運用期間だけで判断せず、教育費を支払う時期と預貯金の残高を確認しながら積立額を決めましょう。
なお、この表は年3%で安定して運用できたと仮定した結果です。運用開始直後に価格が下がる場合もあれば、進学直前に相場が大きく変動することもあるため注意しましょう。
こどもNISAの口座開設方法

こどもNISAを始める際は、子ども本人の名義で金融機関に口座を開設し、親権者などが口座管理者として手続きを進めます。
こどもNISAを始める基本的な流れは、次のとおりです。
- こどもNISAを取り扱う金融機関を選ぶ
- 子ども名義の総合口座を開設する
- 親権者や口座管理者の情報を登録する
- NISA口座の開設を申し込む
- 対象となる投資信託を選ぶ
- 毎月の積立額や買付日を設定する
ただし、2026年7月時点では、金融機関ごとの申し込み開始日や具体的な手続きがすべて公表されているわけではありません。
制度開始が近づいたら、利用を検討している証券会社や銀行の案内を確認しましょう。
口座開設で必要になる書類
こどもNISAの口座開設では、子どものマイナンバーや本人情報、手続きをおこなう親権者との関係を確認できる書類が必要になると考えられます。想定される書類は、以下のとおりです。
- 子どものマイナンバーカード
- 子どものマイナンバーが記載された住民票の写し
- 親権者の運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 戸籍謄本や住民票など、親子関係を確認できる書類
- 金融機関が指定する口座開設申込書
上記の書類をすべて提出するとは限らず、マイナンバーカードを利用する場合は、子どもの番号確認と本人確認を1枚で手続きできる可能性があります。必要書類や提出方法は金融機関によって異なるため、申し込みをおこなう金融機関の最新情報を確認しましょう。
まとめ
こどもNISAは、0~17歳の子どもが利用できる未成年者向けの非課税投資制度です。
非課税保有期間に期限がなく、0歳から長期間運用できるため、進学費用や成人後の生活資金を準備する方法の一つになるでしょう。
一方、親が必要になったときに自由に引き出せる預貯金とは異なるため、生活防衛資金や近い将来に必要な教育費は別に準備しておくことが重要です。非課税枠を使い切ることを目標にせず、毎月無理なく続けられる金額から始めて計画的に活用しましょう。
当社では、リスクを抑えた資産運用や子どもの将来を考えた資金計画に関するアドバイスをおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。

