iDeCoはデメリットしかない?向いている人と注意点を徹底解説

「iDeCoはデメリットしかない」「始めても損をする」といった意見を目にして、加入を迷っている方もいるのではないでしょうか。

iDeCoには、原則60歳まで資産を引き出せないことや、商品によっては元本割れする可能性があることなど、加入前に把握しておきたい注意点があります。

ただし、iDeCoはデメリットしかない制度ではありません。掛金の全額が所得控除の対象となり、運用中や受取時にも税制優遇が設けられています。老後まで使わない資金を継続して拠出できる方であれば、長期的な資産形成に活用しやすいでしょう。

本記事では、iDeCoのデメリットとメリットを比較します。

目次

iDeCoは自分で掛金を拠出して運用する私的年金

iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称で知られており、公的年金に上乗せする老後資金を自分で準備できる私的年金制度です。

加入者が掛金を拠出し、金融機関が提示する定期預金や投資信託などから運用商品を選び、拠出した掛金と運用結果によって将来受け取れる金額が決まります。

iDeCoの掛金は月5,000円以上、1,000円単位で設定できるため、手軽に始められる一方で積み立てた資産を引き出せるのは原則60歳以降です。

短期間で利益を得る投資ではなく、老後まで時間をかけて資産を形成する制度であるため注意が必要です。

iDeCoをやっている人の割合と加入者数

国民年金基金連合会が公表している統計によると、2026年6月時点のiDeCo現存加入者数は約400万9,000人です。同月の新規加入者数は約4万人となっており、2017年に加入対象が広がってから利用者は増加しています。

しかし、2026年4月の厚生労働大臣会見では、iDeCoの加入率は約5%、認知率は約60%と説明されており、認知率に比べて加入率は低いといえるでしょう。

また、iDeCoの加入者数が増えているからといって、誰にでも向いているとは限りません。利用者が多いかどうかよりも、家計の余裕や運用できる期間を確認して判断することが大切です。

【一覧表】加入区分別の拠出上限額

iDeCoの掛金は、国民年金の被保険者区分や勤務先の企業年金制度によって上限が異なります。

2026年11月までの主な拠出限度額は、以下のとおりです。

加入区分月額掛金上限(2026年8月時点)
自営業者やフリーランスなど6万8,000円
企業年金がない会社員2万3,000円
企業年金がある会社員原則2万円以内
公務員原則2万円以内
専業主婦・主夫など2万3,000円

2026年12月からは、第1号加入者について、iDeCoと国民年金基金の共通拠出限度額が月7万5,000円へ引き上げられます。

第2号加入者は、勤務先の企業年金の有無による差が見直され、企業年金と合わせて月6万2,000円の範囲で拠出できる仕組みに変わる予定です。

なお、上限が引き上げられても、自動的に掛金が増額されるわけではありません。増額を希望する場合は、運営管理機関の案内にしたがって変更手続きをおこないましょう。

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「iDeCoはデメリットしかない」と言われる理由

iDeCoが「デメリットしかない」と言われる理由は、証券口座やNISAにはない制約が設けられているからです。特に、積み立てた資産を原則60歳まで引き出せない点は、急な出費に対応したい人にとって大きな負担となるでしょう。

iDeCoの制約を知らないまま始めると、想定していた資産運用との違いから「やらない方がよかった」と感じる原因になりかねません。

では、iDeCoはデメリットしかないと言われる理由を見ていきましょう。

原則60歳まで資産を引き出せない

iDeCoは老後資金を確保する制度のため、積み立てた資産は原則として60歳になるまで引き出せません。

住宅の購入や家族の介護などでまとまった資金が必要になっても、払い戻すことはできないため注意しましょう。

ただし、掛金の拠出が難しくなった場合は、金額を減らしたり、拠出を止めて運用だけを続ける「運用指図者」になったりすることは可能です。

また、60歳から受け取るには、原則として通算加入者等期間が10年以上必要です。加入期間が10年に満たない場合は、受給できる年齢が61歳以降へ繰り下がります。

途中で使う可能性のある資金はiDeCoへ回さず、普通預金や必要に応じて売却できるNISAと分けて管理した方がよいでしょう。

運用商品によっては元本割れする

iDeCoは、加入者が選んだ商品の運用結果によって将来の受取額が変わります。

株式や債券に投資する投資信託は元本が保証されていないため、市場の下落や為替の変動によって評価額が掛金総額を下回る可能性があります。

定期預金などの元本確保型商品を選ぶ方法もありますが、手数料を含めた資産全体の金額が拠出額以上になるまで保証されるものではありません。利息より口座管理手数料が多い場合は、残高が拠出額を下回る「手数料負け」が起こります。

受取時期が近づいたら、必要に応じて資産配分を見直すことも重要です。

所得が少ないと所得控除を活かしにくい

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になります。

しかし、もともと所得税や住民税が課税されていない人は、掛金を拠出しても税金を軽減する効果を得ることができません。

例えば、専業主婦・主夫が自分名義でiDeCoへ加入した場合、本人の所得がなければ掛金による所得控除の効果はありません。扶養内で働いている方も、課税所得が少なければ節税額は小さくなります。

ただし、iDeCoが完全に無意味になるわけではありません。運用益が非課税になることや、老後資金を別口座で準備できることはメリットといえるでしょう。

受取時に税金がかかる場合がある

iDeCoは、積み立てた資産を受け取る際も税制優遇を利用できます。

ただし、会社員が勤務先から受け取る退職金は、受け取る順序や時期によって退職所得控除の計算が変わるため注意が必要です。

同一年に受け取る場合は、原則として受取額を合算し、最も長い勤続期間に、ほかの勤続期間のうち重複していない部分を加えて控除額を計算します。また、前年以前に受け取った退職金などがある場合は、勤続期間の重複部分が調整されることがあります。

判断が難しければ税理士などの専門家へ相談しましょう。

掛金の上限や変更回数に制限がある

iDeCoは、好きな金額をその都度自由に拠出できるわけではありません。

掛金額には変更回数の制限があるため、収入が増えた月だけ大幅に掛金を増やしたり、出費が多い月に掛金を減らしたりするなど、その都度自由に変更することはできません。

掛金額の変更は、原則として拠出単位期間につき1回です。家計の状況が変わったときは減額できますが、変更手続きが反映されるまで一定の時間がかかる場合もあります。

万が一を考えて、上限いっぱいを前提とした資金計画を立てないことが重要です。

iDeCoはメリットも多い

iDeCoは、老後資金を準備する制度として手厚い税制優遇が用意されています。

特に、掛金を拠出するときだけではなく、運用中と受取時にも優遇を受けられる点が特徴です。課税所得がある方ほど、積立時の効果を感じやすいでしょう。

また、老後資金を日常の資金と分けて管理できることもiDeCoならではのメリットです。

ただし、無理に毎月の上限まで拠出する必要はありません。資産を60歳まで動かせないデメリットと比較し、自分の家計に合った金額で利用しましょう。

掛金が全額所得控除になる

iDeCoで本人が支払った掛金は、全額が所得控除の対象です。

年間の所得から掛金相当額を差し引けるため、課税所得が減り、所得税や住民税の負担軽減につながります。

例えば、毎月1万円を拠出すると年間掛金は12万円です。所得税率を10%、住民税率を10%として単純計算した場合、年間の税負担軽減額は約2万4,000円になります。

所得控除の効果は拠出した年ごとに発生するため、長く続けるほど軽減効果も続きます。ただし、途中で所得がなくなった年は同じ効果を得られないため注意が必要です。

運用益が非課税になる

iDeCoで得た運用益は非課税のため、利益をそのまま再投資できます。

利益がさらに利益を生む複利効果を活かしやすく、運用期間が長い人ほど非課税の恩恵が積み重なりやすいでしょう。

ただし、将来の利益が約束されるわけではありません。投資信託の価格が下落すれば、非課税にする利益そのものが生じないこともあります。

また、iDeCoは口座内で自由に商品を選べるわけではなく、金融機関が用意した商品の範囲から選択します。長期運用に適した低コストの商品を選び、運用状況を定期的に確認することで、非課税のメリットを活かしやすくなるでしょう。

受取時にも所得控除を利用できる

iDeCoの資産は、一時金または年金として受け取れます。

運営管理機関によっては、一時金と年金を組み合わせる方法も選択可能です。一時金は退職所得として扱われ、控除の範囲内であれば、一時金に所得税や住民税がかからない場合があります。

ただし、控除額を超えた部分には税金がかかります。給付請求をする前に、退職金の予定額と公的年金の見込み額を確認し、手取り額を比較しておくことが大切です。

年金形式で受け取る場合は雑所得となり、公的年金などを含む収入から公的年金等控除を差し引けるため、課税対象を抑えられる可能性があります。

原則として受給権を差し押さえられない

確定拠出年金法では、給付を受ける権利について、譲渡や担保への提供、差し押さえを原則として禁止しています。したがって、iDeCoの給付を受ける権利は、一般的な預貯金や証券口座の資産とは異なる保護を受けられます。

自営業者などが長期的な老後資金を準備するうえでも、メリットといえるでしょう。

ただし、どのような条件でも差し押さえられないわけではありません。国税の滞納がある場合は、老齢給付金や死亡一時金を受ける権利を差し押さえられる場合があります。

あくまで、税金を滞納しても資産を守れるという意味ではないため注意が必要です。

老後資金を計画的に積み立てられる

iDeCoは掛金を定期的に拠出するため、貯蓄が苦手でも老後資金を積み立てやすい仕組みとなっています。

原則60歳まで引き出せない点はデメリットですが、生活費や趣味の支出に使い込むのを防ぐことができるとも考えられます。老後資金をほかの目的のお金と明確に分けたい方には利用しやすいでしょう。

また、拠出を続けることが難しくなった場合は、掛金を止め、運用だけを続ける選択も可能です。上限まで拠出することにこだわらず、長期間継続できる金額を設定することで、家計への負担を抑えられるでしょう。

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iDeCoは月1万円では意味がない?

「少額しか拠出できなければ意味がない」と感じる方もいるかもしれませんが、月1万円からでも始める意味はあるといえます。

月1万円でも年間では12万円となり、20年間続ければ掛金総額は240万円です。課税所得がある方は、運用結果とは別に掛金の所得控除による効果も期待できます。

ただし、掛金が少ないほど固定手数料が占める割合は高くなります。利回りの低い元本確保型商品だけで運用すると、利息より手数料が多くなることもあるため注意しましょう。

【シミュレーション】月1万円を積み立てた場合の金額

毎月1万円を積み立てた場合の金額を、想定利回り別に計算すると以下のようになります。

積立期間掛金総額年率1%年率3%年率5%
10年120万円約126万円約140万円約155万円
20年240万円約266万円約328万円約411万円
30年360万円約420万円約583万円約832万円

ただし、この試算には加入時や運用中の手数料、投資信託の信託報酬を反映していません。

また、実際の運用では毎年同じ利回りになるとは限りません。期待収益が高い商品ほど値動きも大きくなる傾向があるため、自分が耐えられる損失の範囲も確認しましょう。

掛金が少ないほど手数料の割合が高くなる

iDeCoは、口座管理などの手数料がかかります。

現在の最低水準となる月171円の手数料で計算すると、年間負担額は2,052円です。

毎月5,000円を拠出する場合、年間掛金6万円に対する割合は約3.4%になります。月1万円では約1.7%、月2万円では約0.9%となるため、掛金が少ないほど手数料の割合が高くなるでしょう。

特に所得控除の効果がない方は、金融機関を選ぶ際に口座管理などの手数料が低いかを慎重に比較しましょう。また、投資信託を選ぶ場合は信託報酬も比較することが大切です。

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iDeCoをやるべきか判断するポイント

iDeCoをやるべきかどうかは、年齢や収入だけで決まるものではありません。

まず確認したい点は、所得税や住民税を負担しており、掛金の所得控除を利用できるかどうかです。同じ金額を拠出しても、所得税率が高い方ほど積立時の税負担が軽減されます。

次に、60歳より前に使う予定のない余剰資金を確保できるかを考えましょう。住宅費や医療費に必要なお金まで拠出すると、家計を圧迫する原因になるため注意が必要です。

生活防衛資金を別に用意し、資金に余裕を持ったうえで始めるようにしましょう。

iDeCoをやった方がいい人

所得税や住民税を負担しており、老後まで使わないお金を継続的に拠出できる場合、iDeCoをやった方がよいでしょう。

収入が比較的安定しており、生活費とは別に緊急時の資金を確保している方なら、資金拘束の影響も抑えやすいでしょう。特に自営業者やフリーランスは、会社員のような企業年金がないため、老後資金を自分で補いたい場合にiDeCoを活用できます。

また、若いうちから長期運用できる方は、積立時期を分散しやすく、運用益が非課税となる期間も長くなります。一方、50代からでも無理なく拠出できるなら、検討する余地があるでしょう。

年齢だけで「今からでは遅い」と決めつけず、自分の将来設計に合わせて判断しましょう。

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iDeCoが向いていない人

毎月の生活費に余裕がなく、急な支出に備える預貯金も不足している場合、iDeCoを始める時期を待った方がよいでしょう。

iDeCoは、掛金の拠出は止められますが、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せません。高金利の借入がある場合も、返済を優先した方が家計の負担を確実に減らせる可能性があります。

また、短期間で自由に売買したい人や、値動きに応じて資金を引き出したい方も、iDeCoよりNISAの方が目的に合う場合があります。

NISAと比較する場合は、制度と商品の違いを確認し、納得できる運用方法が見つかってから判断しましょう。

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iDeCoのデメリットを抑えて運用する方法

iDeCoのデメリットは完全になくせませんが、加入前の資金計画や商品選びによって影響を抑えることは可能です。

特に重要なポイントは、60歳まで引き出せないことを前提に、当面使わない余剰資金だけを拠出することです。税制優遇があるからといって、必要なお金まで積み立ててはいけません。

また、加入後は放置せず、年に1回程度は資産配分や手数料を見直すと安心です。年齢や家計の状況が変われば、適切な掛金やリスクの取り方も変化するため、定期的に確認しましょう。

生活費とは別に生活防衛資金を確保する

iDeCoを始める前に、毎月の生活費とは別に生活防衛資金を確保しておきましょう。

病気や失業によって収入が減ったとき、すぐに使える預貯金がなければ、クレジットカードのリボ払いやカードローンに頼ることになりかねません。

毎月の支出を把握したうえで、収入が途絶えても一定期間生活できる金額を普通預金などで用意しましょう。近いうちに使う教育費や住宅購入資金も分けて管理した方が安心です。

また、生活防衛資金を用意したあとも、すべての余剰資金をiDeCoへ回す必要はありません。

60歳より前に使う可能性がある資金は預貯金やNISA、老後まで使わない資金はiDeCoというように、目的別に置き場所を分けると管理しやすくなります。

無理のない掛金から始める

iDeCoの掛金は、最初から拠出上限まで使い切る必要はありません。

家計に余裕がある月の金額ではなく、収入が少ない月でも継続できる額を基準にしましょう。賞与や現在の収入を前提にすると、収入が減ったときに拠出が負担になりやすくなります。

iDeCoは長期間続けることが重要なため、昇給や支出の減少によって余裕が増えたときに、掛金の増額を検討すれば十分といえます。

また、掛金額の変更に加え、拠出そのものを止めることも可能です。

住宅費などの負担が増えた場合は、早めに減額手続きをおこない、生活防衛資金を取り崩さずに済む金額へ調整しましょう。

年初や家計を見直す時期に年間収支を確認すると、判断しやすくなります。

分散して商品を選ぶ

iDeCoで投資信託を選ぶ場合は、一つの国や特定の資産だけに集中させず、値動きの異なる対象へ分散する方法を検討しましょう。

投資先を分けることで、ある市場が下落したときに資産全体が同じように下がるリスクを抑えやすくなります。ただし、分散しても元本割れを完全に防げるわけではないため注意しましょう。

また、商品数を増やせばよいとも限りません。複数の投資信託が同じ企業や市場へ投資している場合は、見た目ほど分散できていない可能性があります。

運用方針や投資対象を確認し、余剰資金の範囲で組み合わせましょう。

まとめ

iDeCoには、原則60歳まで引き出せないことや、所得が少ない人は掛金の所得控除を十分に活かせないなどのデメリットがあります。

一方で、掛金の全額所得控除や運用益の非課税などのメリットも多くあります。課税所得があり、資金を無理なく拠出できる方なら、税制優遇を受けながら老後資金を準備できるでしょう。

また、途中で使う可能性がある資金は預貯金やNISA、老後専用の資金はiDeCoと分けることで、それぞれの制度を活かしやすくなります。

まずは生活防衛資金を確保し、iDeCoへ回せる金額を計算してから始めましょう。

当社では、リスクを抑えた資産運用や老後を考えた資金計画に関するアドバイスをおこないます。ぜひお気軽にご相談ください。

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