信託報酬の目安は何パーセント?信託報酬の影響で変化する運用成果をシミュレーション

信託報酬は投資信託のコストのなかでも重要です

初めて投資信託を選ぶ時、「信託報酬は何%程度が目安なのか」気になる人もいるでしょう。信託報酬は投資信託を保有している限り毎年かかるコストであるため、たとえ1%未満の差であっても、長期間では運用成果に大きな差が生まれます。

本記事では、信託報酬の基本的な仕組みと目安を紹介したうえで、信託報酬の違いで運用結果がどれほど変わるのかをシミュレーションします。記事を読むことで信託報酬の重要性を理解できるでしょう。

目次

信託報酬とは

信託報酬とは、投資信託を保有している間に継続してかかる運用コストのことです。投資信託を運用・管理するための費用として、運用会社などに支払われます。信託報酬は、年率で投資信託ごとに設定されています。

信託報酬の支払い方法は、投資信託の純資産総額から日々少しずつ差し引かれる仕組みです。そのため、支払っていることに気付かないことも多く、負担している実感がない人も珍しくありません。しかし、信託報酬は保有し続ける限り発生するランニングコストであるため、保有期間が長くなるほど影響が大きくなります

投資信託には、購入時にかかる販売手数料や、解約時にかかる信託財産留保額などの手数料もあります。これらの手数料は売買のタイミングが1度であれば1回しか発生しません

また、投資信託によっては販売手数料・信託財産留保額がかからない場合もあり、近年では販売手数料がかからないノーロード投資信託が一般的です。

信託報酬は多くの投資信託に設定されており、運用成果に大きく影響する重要な手数料です。

信託報酬の目安

投資信託は主に、インデックスファンドとアクティブファンドの2種類に分けられます。インデックスファンドは、特定の株価指数に連動する運用を目指すため、運用内容がシンプルです。一方、アクティブファンドは、指数を上回る成果を目指して銘柄選定や売買をおこなうため、調査や運用に手間がかかります。

以上のことから、両者では信託報酬の目安が異なります。それぞれの特徴を踏まえたうえで、信託報酬の目安を具体的に見ていきましょう。

インデックスファンドの目安

インデックスファンドの信託報酬の目安は、年率0.1%〜0.5%程度です。インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、S&P500など、特定の株価指数に連動する運用を目指すため、専門家独自の銘柄選定・売買判断をおこなう必要がありません。

運用コストを抑えやすく、信託報酬も低い水準に設定されていることが特徴です。近年は信託報酬の値下げ競争が進んでおり、年率0.1%を切る低コスト商品も増えています。信託報酬の低いインデックスファンドはランニングコストを抑えやすいため、運用期間が長期化するほど有利になりやすいでしょう

アクティブファンドの目安

アクティブファンドの信託報酬は、商品によって大きな差がありますが、年率1.0%〜2.0%が目安です。

アクティブファンドは、特定の指数を上回る運用成果を目指し、専門家が独自に銘柄選定や売買のタイミングを判断しながら運用をおこないます。そのため、企業調査や分析にかかるコストが発生し、インデックスファンドと比べて信託報酬は高めに設定されるでしょう。

そのため、アクティブファンドは信託報酬が高い分、インデックスファンドを上回る成果が続かなければ、コスト負担が相対的に大きくなる点に注意が必要です。信託報酬の高いアクティブファンドは、運用期間が長期化するほどコストが運用成果に与える影響が大きくなると考えられています。

信託報酬で変化する運用成果のシミュレーション

信託報酬が運用成果に与える影響を見るため、運用成果をシミュレーションします。信託報酬以外の運用条件は以下のとおりです。

  • 毎月の積立金額:5万円
  • 年間利回り:5%
  • 運用期間:50年

それぞれの運用成果を見ていきましょう。

信託報酬2.0%の場合

アクティブファンドのなかでも信託報酬が高いと考えられる2.0%で運用した場合の成果は以下のとおりです。

運用期間積立額運用成果支払信託報酬額差し引き後※
5年目300万円331万円13万円318万円
10年目600万円754万円66万円687万円
15年目900万円1,294万円178万円1,115万円
20年目1,200万円1,983万円371万円1,612万円
25年目1,500万円2,863万円676万円2,187万円
30年目1,800万円3,986万円1,131万円2,854万円
35年目2,100万円5,419万円1,791万円3,627万円
40年目2,400万円7,248万円2,743万円4,524万円
45年目2,700万円9,582万円4,018万円5,563万円
50年目3,000万円1億2,560万円5,793万円6,767万円

※千円単位で四捨五入しているため、運用成果から支払信託報酬額を差し引いた計算結果が合わない場合があります。

5年目の信託報酬額は約13万円であり、全体の運用成果の約4%程度になります。しかし、50年間運用すると信託報酬額は約5,793万円になり、運用成果全体の約46%まで上昇します。最初は数%程度でも運用期間が長期化するほど差し引かれた信託報酬額の割合は大きくなることがわかるでしょう。

信託報酬1.0%の場合

アクティブファンドのなかでも信託報酬が安いと考えられる1.0%で運用した場合の成果は以下のとおりです。

運用期間積立額運用成果支払信託報酬額差し引き後※
5年目300万円331万円6万円324万円
10年目600万円754万円34万円720万円
15年目900万円1,294万円93万円1,201万円
20年目1,200万円1,983万円197万円1,786万円
25年目1,500万円2,863万円364万円2,498万円
30年目1,800万円3,986万円621万円3,365万円
35年目2,100万円5,419万円1,000万円4,419万円
40年目2,400万円7,248万円1,546万円5,701万円
45年目2,700万円9,582万円2,320万円7,261万円
50年目3,000万円1億2,560万円3,400万円9,160万円

※千円単位で四捨五入しているため、運用成果から支払信託報酬額を差し引いた計算結果が合わない場合があります。

信託報酬2.0%の運用成果と比較した場合、支払信託報酬額は全体の約27%にあたる約3,400万円に減少し、差し引き後の最終的な運用成果には約2,393万円の差が生まれました。信託報酬は0.1%の差でも、長期では成果に大きな影響を及ぼすコストです。1%違うと、最終額の差はさらに大きくなります。

信託報酬0.5%の場合

インデックスファンドの信託報酬の目安である0.5%で運用した場合の運用成果を以下にまとめました。

運用期間積立額運用成果支払信託報酬額差し引き後※
5年目300万円331万円3万円328万円
10年目600万円754万円17万円737万円
15年目900万円1,294万円47万円1,247万円
20年目1,200万円1,983万円101万円1,882万円
25年目1,500万円2,863万円189万円2,673万円
30年目1,800万円3,986万円325万円3,660万円
35年目2,100万円5,419万円529万円4,889万円
40年目2,400万円7,248万円826万円6,421万円
45年目2,700万円9,582万円1,251万円8,331万円
50年目3,000万円1億2,560万円1,850万円1億710万円

※千円単位で四捨五入しているため、運用成果から支払信託報酬額を差し引いた計算結果が合わない場合があります。

アクティブファンドでは信託報酬の目安が1.0%~2.0%の場合、50年目の支払信託報酬額が約3,400万円~約5,793万円であるのに対して、インデックスファンドの場合は約1,850万円に減少します。

50年目の全体の運用成果に対する信託報酬の負担割合も全体の約15%ほどです。アクティブファンドがインデックスファンドの運用成果を上回るためには、長期にわたってインデックスファンドを超える成果を上げ続ける必要があるでしょう。

信託報酬0.1%の場合

インデックスファンドのなかでも信託報酬が低い0.1%で運用した場合の成果は以下のとおりです。

運用期間積立額運用成果支払信託報酬額差し引き後※
5年目300万円331万円1万円以下331万円
10年目600万円754万円3万円751万円
15年目900万円1,294万円9万円1,285万円
20年目1,200万円1,983万円20万円1,963万円
25年目1,500万円2,863万円39万円2,824万円
30年目1,800万円3,986万円67万円3,918万円
35年目2,100万円5,419万円110万円5,308万円
40年目2,400万円7,248万円174万円7,073万円
45年目2,700万円9,582万円266万円9,315万円
50年目3,000万円1億2,560万円396万円1億2,163万円

※千円単位で四捨五入しているため、運用成果から支払信託報酬額を差し引いた計算結果が合わない場合があります。

0.5%の信託報酬のインデックスファンドと比較した時、最終的な支払信託報酬額には1,454万円の差があります。信託報酬は1%未満の差であっても、運用成果に大きく影響します。

信託報酬の累計額の比較

年率ごとに信託報酬の累計額の比較を以下にまとめました。

運用期間2.0%1.0%0.5%0.1%
5年目13万円6万円3万円1万円以下
10年目66万円34万円17万円3万円
15年目178万円93万円47万円9万円
20年目371万円197万円101万円20万円
25年目676万円364万円189万円39万円
30年目1,131万円621万円325万円67万円
35年目1,791万円1,000万円529万円110万円
40年目2,743万円1,546万円826万円174万円
45年目4,018万円2,320万円1,251万円266万円
50年目5,793万円3,400万円1,850万円396万円

運用期間が5年目~10年目の短期間であっても、信託報酬の差が大きければ支払額に数十万円の差が生じ、50年目になれば最大で数千万円の差になることもあります。そのため、できる限り信託報酬の低い投資信託を選ぶことが、最終的なリターンを高めることにつながるでしょう。

信託報酬の低い投資信託を選ぶ方法

信託報酬の低い投資信託を選ぶ方法を以下にまとめました。

  • インデックスファンドを優先して探す
  • 純資産総額を調べる
  • 同じ投資対象で複数の商品を比較する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

インデックスファンドを優先して探す

信託報酬を抑えたい場合は、インデックスファンドを優先して探すことが基本です。インデックスファンドは特定の指数に連動する運用をおこなうため、運用コストがかかりにくく、信託報酬も低く設定される傾向があります。

実際に販売されている投資信託を見ると、信託報酬が年率1%未満に設定されている商品のほとんどがインデックスファンドです。そのため、信託報酬の低さを重視して投資信託に投資する場合は、インデックスファンドのなかから選ぶことになるでしょう。

純資産総額を調べる

信託報酬の低い投資信託を選ぶ際は、純資産総額も合わせて確認しましょう。純資産総額とは、投資信託に集まっている資金を示す指標です。運用の安定性を判断する目安になります。

純資産総額が大きい投資信託は、投資家から選ばれ続けている可能性が高いため、運用が安定しやすいと考えられるからです。また、運用の規模が大きいほど運用コストを抑えやすく、将来的に信託報酬が引き下げられるケースもあります。

純資産総額が極端に小さい商品は、運用効率が悪化し、繰上償還されることも。長期的に安定して運用するためには、純資産総額が大きい投資信託を選ぶ必要があります。

同じ投資対象で複数の商品を比較する

信託報酬は1%未満の違いであっても、できる限り低い投資信託を選ぶことが運用成果を高めることにつながります。そのため、同じ投資対象で複数の商品を比較することが大切です。投資信託は、同じ指数や市場に投資していても、商品ごとに信託報酬が異なります

例えば、インデックスファンドで同じ株価指数であるS&P500に投資する商品であっても、複数の商品を比較すると信託報酬に差があることがわかります。投資対象が同じ複数の投資信託を並べて比較し、純資産総額を含めて総合的に判断しましょう。

信託報酬が業界最低水準のインデックスファンドは多くの投資家から選ばれ、信託報酬の高い投資信託は選ばれにくい傾向があります。そのため、証券会社が公開する投資信託の買付ランキングの上位を確認すると候補を絞りやすくなります

信託報酬で投資信託を選ぶ際の注意点

信託報酬で投資信託を選ぶ際の注意点は以下のとおりです。

  • 実質コストをチェックする
  • 投資対象や運用方針を確認する
  • 信託報酬の高い商品が必ずしも劣るとは限らない
  • 運用実績が極端に短い商品は避ける
  • 信託報酬は将来的に変更される可能性がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

実質コストをチェックする

信託報酬が極端に安い投資信託を見つけた場合、実質コストを必ずチェックしましょう。投資信託には信託報酬以外のランニングコストがかかる場合があり、目論見書には実質コストとして記載されています。

信託報酬が低く記載されていても、その他の費用が多くかかれば、結果的に負担が大きくなるでしょう。運用成果を高めるためには、信託報酬が少しでも安い投資信託を選びたいところです。しかし、実質コストを理解していなければ、コストが運用成果を圧迫する投資信託に投資するリスクがあります

投資対象や運用方針を確認する

信託報酬以外の情報を確認せずに投資信託を選ぶと、自分の目的に合わない商品を選んでしまうかもしれません。投資信託によっては、海外株式を中心に運用する商品もあれば、国内債券に投資する商品もあります。積極的に利益を狙う商品と安定した値動きを重視する商品では、運用の考え方が大きく異なるでしょう。

信託報酬が低くても、投資対象や運用方針が自分に合っていなければ、満足のいく結果につながりません。そのため、どの資産に、どのような方針で投資する商品であるかを理解したうえで投資しましょう。

信託報酬の高い商品が必ずしも劣るとは限らない

信託報酬が高い商品ほど長期運用では不利になりやすいです。しかし、信託報酬が高い商品が必ずしも劣っているとは限りません。アクティブファンドをはじめ信託報酬が高く設定されている商品は、調査や分析に力を入れているケースがあります。

運用方針が明確で、自分の投資目的や考え方に合っている商品であれば、信託報酬が高くても選択肢になる場合があるでしょう。そのため、想定する運用期間によっては、信託報酬の高い商品が投資対象に適する可能性があります。

運用実績が極端に短い商品は避ける

投資信託を選ぶ際は、運用実績が極端に短い商品には注意が必要です。運用期間が短い場合、安定した運用ができるかどうかを見極めることが難しくなります。

また、設定から間もない商品は、今後の運用方針やコストの変化が読みづらく、純資産総額が安定しないケースも。思うように資金が集まらなければ、繰上償還される可能性もあります。信託報酬が低くても運用実績が極端に短い商品は避けるようにしましょう

信託報酬は将来的に変更される可能性がある

信託報酬は、運用を始めてから売却するまでに変更される可能性があります。インデックスファンドでは、競争の激化によって信託報酬が引き下げられるケースも多いです。一方で、運用体制の変化により信託報酬が引き上げられるかもしれません。

投資信託を保有したあとも、運用報告書やお知らせを定期的に確認し、信託報酬や運用内容に変更がないかどうかをチェックしましょう。また、投資信託を長期的に運用していると、投資している商品よりも信託報酬が低く魅力的な商品が販売される可能性があります。

保有している投資信託を売却して、ほかの投資信託に乗り換えることをスイッチングと呼びます。投資している商品よりも信託報酬の低い投資信託があるなら、スイッチングをおこなうか、保有している投資信託は売却せず、積立先となる投資信託を変更する対応が考えられるでしょう。

そのため、信託報酬の低さにこだわって運用するなら、投資信託を選んだあとも最新情報のチェックを怠らないことが重要です

まとめ

信託報酬は、投資信託を保有している間はかかり続けるコストであり、運用成果に大きな影響を与える重要な要素です。1%未満のわずかな差に見えても、運用期間が長くなるほど負担は積み重なります。

信託報酬が低いほど長期運用では有利になりやすいため、できる限り信託報酬の低い投資信託を選ぶことが安定した運用につながります。一方で、信託報酬の低さのみで判断すると、自分に適した投資信託を選べない可能性も。

当社では、投資信託を含めて投資先に悩んでいる人に対して、優良な投資先の紹介を含めたアドバイスをおこなっています。資産運用の方法に悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。

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