投資をはじめたほうがいいと考えていても、日々の忙しさから行動に移せない方は少なくありません。はじめても続けられるかどうか不安で、一歩を踏み出せないこともあるでしょう。そんな方にこそおすすめしたいのが「ほったらかし投資」です。資産運用の知識がなくてもはじめやすく、忙しい人でも続けられる投資方法です。
本記事では、ほったらかし投資のメリット・デメリット、投資先に適したおすすめの資産運用を紹介します。さらに、ほったらかし投資で失敗しないためのポイントを解説。記事を読むことで、ほったらかし投資をはじめるために必要なことがわかるようになります。
ほったらかし投資とは?

投資に対して株価などの価格を常にチェックして、適切なタイミングで売買をくりかえすイメージを持っているかもしれません。短期トレードを中心におこなうプロの投資家であれば間違いではないでしょう。しかし、投資をおこなっているすべての人が価格変動を頻繁にチェックする投資スタイルを取っていると考えるのは誤りです。
投資をはじめたら定期的な売買をせず、運用や管理を委託して、長期的に運用を続ける方法がほったらかし投資です。手軽さが魅力であり、多くの個人投資家が実践している堅実な投資方法になります。
短期的な値動きを予測して利益を得ることはプロの投資家でも困難です。そのため、市場の細かい変動に振り回されず、長期的な成長を期待して投資するスタンスが有効になります。日々のチェックの手間や相場の予測に悩むことなく投資を続けられるため、時間を取られることなく成果が期待できるでしょう。よって、近年では頻繁な売買をくりかえす投資方法よりも、ほったらかし投資が人気を集めています。
ほったらかし投資のメリット

ほったらかし投資のメリットを5つ紹介します。
- 時間と手間をかけずに実践できる
- 心理的な負担が少ない
- 投資初心者でもはじめやすい
- 安定した成果を期待できる投資方法が多い
- 投資の知識が効率的に身につく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
時間と手間をかけずに実践できる
ほったらかし投資は、一度お金を運用して増やす仕組みが整えば最小限の管理で済みます。例えば、積立金額と投資先を決めて自動で投資できるようにすれば、手間をかけることなく自動で投資を継続できます。
一方、短期的な相場を読んで頻繁に売買する投資スタンスは、日々の値動きだけでなく、経済ニュースや企業の決算発表をチェックして投資判断に役立てる必要があります。こうした情報収集には多くの時間がかかるため、多忙な社会人や子育て世帯には負担が大きく、投資を諦めてしまう一因にもなっています。
その点、ほったらかし投資は忙しい現代人の生活スタイルに合った、無理なく続けられる投資方法と言えるでしょう。
心理的な負担が少ない
実際に投資をはじめた投資初心者が挫折する最大の原因は、感情に振り回されて心理的な負担が大きくなることです。株価が下がれば不安になり、上がればもっと利益を出したいと考えて欲が出るようになれば、感情に振り回された投資になります。心理的な負担の大きさから、大損をしたことでやめてしまうこともあるでしょう。
ほったらかし投資は機械的に自動化できる仕組みが整っているため、感情が入り込む余地がありません。相場の動きに対して一喜一憂する心理的な負担が大幅に軽減されます。精神的なストレスがかかることなく、続けられることは投資を経験したことがない初心者にとって大きなメリットです。
投資初心者でもはじめやすい
機械的に自動化できる仕組みがあれば、誰が実践しても同じ結果を期待できるため、投資初心者も実践しやすいことが魅力です。投資には専門用語が多く、考えるべきことが多いため、取り組みにくいと感じるかもしれません。
その点、ほったらかし投資は初心者も実践しやすい投資方法であることから、投資の知識がまったくない状態であっても手順がわかればはじめられるでしょう。投資初心者が恐れることは、なにもわからない状態ではじめて損をしてしまうことですが、ほったらかし投資であればはじめたばかりでも一定の成果が期待できます。
安定した成果を期待できる投資方法が多い
ほったらかし投資に適した投資対象は、爆発的なリターンの期待は難しいですが、安定したリターンを得られる場合が多いです。例えば、投資信託など複数の資産に分散して投資できる商品があります。一部の資産が値下がりしてもほかでカバーが可能になり、値動きが安定しやすくなります。
堅実に資産を増やしていきたい方にとって、ほったらかし投資は適した投資方法です。長期を前提に安定した成果が期待できる投資を理想とする場合に向いているでしょう。
投資の知識が効率的に身につく
「ほったらかし」という言葉から、実践しても投資や資産運用の学びにはならないと思うかもしれません。しかし、実際には投資を実践して、知識を効率的に身につけることが可能になります。
投資の本を読む、勉強会やセミナーに参加して学んでも、実際に自分のお金を利用して運用しなければ理解しづらい部分があります。ほったらかし投資でも、投資を体験して利益を上げることで学びを得られるでしょう。
ほったらかし投資は、投資に手間をかけたくない人にのみ向いているわけではありません。積極的に投資を学びたい投資初心者の方も学びながら投資を実践できる機会になるでしょう。
ほったらかし投資のデメリット

一方で、ほったらかし投資のデメリットは以下のとおりです。
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 運用を委託する手数料がかかる
- 完全な放置ではリスクを調整できない場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
成果が出るまでに時間がかかる
ほったらかし投資は短期で目に見える成果が出るとは限りません。期間は数年から数十年の長期的な視点で資産を増やす方法です。よって、短期的なリターンを求める人には向かないでしょう。
その名のとおり長い期間にわたって放置してほったらかすことで成果が出ます。成果が出るまでの時間が長いことをデメリットと認識するなら、能動的に売買をくりかえし、積極的にリターンを追い求める姿勢が必要になります。
運用を委託する手数料がかかる
ほったらかし投資は、基本的に運用を委託する手数料がかかります。無料で放置はできないため、継続的に運用コストが発生することを理解する必要があります。
そのため、投資先に似た商品が複数ある場合は、手数料を比較してできる限り安い商品を選ぶことが重要です。年率0.1%の運用コストの違いでも毎年発生することから、長期間にわたって運用するほど運用成果に大きな差が生じます。
ほったらかし投資ではランニングコストが重要になるため、投資する前には必ず手数料を確認するようにしましょう。
完全な放置ではリスクを調整できない場合がある
ほったらかし投資は、完全な放置では不都合が発生する場合があります。まったく管理しないまま長期間にわたって放置すると、当初は適切なバランスの資産配分で投資しても、バランスが崩れてリスクの高い状態になることも。
例えば、株式を50%、債券を50%のバランスで運用を開始したとします。債券と比較して株式が大きく上昇すれば、株式の比率が70%、債券の比率が30%になり、当初のバランスが崩れます。
資産の配分をチェックして、債券を追加購入する、株式を売却するなどして元の資産配分になおすリバランスが必要です。完全な放置ではリスクを調整できないこともあるため、年に1回程度は投資先の確認が必要になるでしょう。
ほったらかし投資に適したおすすめの資産運用

ほったらかし投資に適したおすすめの資産運用は以下のとおりです。
- 投資信託
- 海外積立投資(オフショア投資)
- 不動産投資
- 貯蓄型保険
- 純金積立
- ウイスキーカスク投資
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資信託
投資信託はほったらかし投資をおこなう代表的な方法になります。投資家から集めたお金を専門家であるファンドマネージャーが運用し、その成果を出資者に分配する仕組みです。投資すればあとの運用を任せられることから、ほったらかし投資に適しています。
積立投資で投資信託に投資するなら、証券会社で自動積立を設定すれば、毎月一定額を自動で購入する仕組みが整えられます。一度設定すれば商品を購入する手間もなくなることから、管理の手間を最小限にして投資を実践できるでしょう。
ただし、運用には信託報酬と呼ばれる手数料がかかり、投資信託によって発生するコストは異なります。コストを抑えて運用するには信託報酬を比較して選ぶ必要があるでしょう。
海外積立投資(オフショア投資)
海外積立投資(オフショア投資)は日本国内の知名度はあまり高くありません。しかし、多くの資産運用のなかでもほったらかし投資に特化した資産運用になります。海外の大手保険会社・信託会社に口座を開設して、日本では購入できない魅力的な海外の投資商品に積立投資をおこないます。
毎月クレジットカード・口座引き落としにより自動で積み立てられます。投資商品は海外の資産運用の専門家であるIFA(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー)が選定して分散投資をおこなう仕組みです。
ほったらかし投資では優秀な投資先であるものの、日本で得られる情報が少ないことが問題になります。そのため、信頼できる相談先を見つけることが重要です。
不動産投資
不動産投資は物件を購入し、賃貸に出して家賃収入を得る方法であり、長期的な安定収益を期待できます。まとまった収入を継続的に得られることから、理想的なほったらかし投資になります。しかし、物件を購入すれば自動的に収益化できるわけではありません。
安定して収益を得るためには物件の管理を委託できる仕組みを作ることが重要です。そのため、管理会社に物件の管理を依頼して、入居者の募集から日々のメンテナンスを委託すれば不動産投資の手間は大幅に減少するでしょう。
管理会社に依頼すれば手数料がかかるため利益は減少しますが、不動産でほったらかし投資を実現するには必要な経費です。
貯蓄型保険
貯蓄型保険は、生命保険や学資保険など、保障と貯蓄の両方を兼ね備えた金融商品です。毎月保険料を支払い続ければ、満期時に元本以上の返戻金が受け取れるため、資産運用に利用できます。保険料を支払う以外に必要なことがないため、ほったらかし投資の一つに数えられるでしょう。
途中解約しない限りは元本が確保されているため、保障機能を付けながら安定した資産形成を実現できます。長期的に加入を続ければ、手間をかけることなく確実に資産を増やしていけるでしょう。
純金積立
純金積立は、毎月一定額の金を購入し続ける投資方法です。証券会社や貴金属会社でサービスを開始して、毎月一定額を自動引き落としすれば定期的な金の購入に手間がかかりません。購入した金の管理を委託できるため、保管場所を考える必要もなくなります。
ただし、購入手数料や保管手数料など、さまざまな手数料がかかる場合があり、続けるにはコストがかかります。インフレに強く安全資産として世界的に認められている金は、インゴットなどの現物で購入して自身で管理しなくても手間なく投資できます。
ウイスキーカスク投資
ウイスキーカスク投資は、ウイスキーを熟成中のカスク(樽)を購入し、保有を続けることで熟成年数が進んだ時の価値の上昇に期待する新しい投資方法です。購入後の保管・管理は管理会社に委託できるため、手間が少なく、ほったらかし投資に向いています。
カスクは管理会社が所有する保管用の保税倉庫内(ウェアハウス)で管理されます。投資家の自宅に届くことはなく、管理を任せられる仕組みが整っているため、誰でも手間なく始められるでしょう。
ウイスキーは基本的に熟成年数が長いほど値段も上がるお酒です。よって、長期的な価格の上昇が期待可能であり、資産価値が自然に高まることから、新しい資産運用の方法として注目されています。
ほったらかし投資で失敗しないためのポイント

最後に、ほったらかし投資で失敗しないためのポイントをまとめました。
- 投資の目的を決める
- 余裕資金ではじめる
- 分散を心がける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資の目的を決める
ほったらかし投資で失敗する原因は、投資の目的が定まっていない状態でなんとなく始めてしまうことにあります。目的が定まっていなければ、長期的に放置するはずが短期的な相場の値動きに振り回されて売却してしまうことも。
投資をはじめる前に、「子どもの教育資金」「住宅購入の頭金」など、使い道と時期を具体化しましょう。目的が明確なら、必要な投資方法を選びやすく、達成する時まで保有しやすくなります。
一方で、投資の目的が思いつかない場合は、老後の資金確保が共通して目的になりやすいです。60歳まで保有を続けると最初に決めれば、相場の状況に左右されて途中売却せずにほったらかし投資ができるでしょう。最初に決めた目的とルールを守ってほったらかし投資を続けることが重要になります。
余裕資金ではじめる
ほったらかし投資を続けるには、余裕資金ではじめることが大切です。生活費や近いうちに使う予定のあるお金を投資に回すと、途中で売却が必要になり、ほったらかし投資が成り立ちません。
また、投資を続けるなかでは、短期的に損失を抱えることもあるでしょう。損をしたタイミングで資金が必要になれば、売却で損失を確定させることになります。積立投資をする場合は、毎月の投資額を無理のない額に設定して余裕をもって続けられることが重要です。
ほったらかし投資で資産を途中売却しないために、余裕資金の範囲内ではじめるようにしましょう。
分散を心がける
ほったらかし投資で安定した成果を上げるためには、分散を心がけることが重要です。複数の資産に投資すれば、一部の資産が下落してもほかの資産が補い合い、全体として安定した成果を得やすくなります。
投資信託にのみ投資するのではなく、海外積立投資、不動産投資、貯蓄型保険、純金積立、ウイスキーカスク投資などを組み合わせるのも一案です。複数の方法を併用することで、運用の安定性が高まりやすくなるでしょう。
ほったらかし投資では、運用・管理を委託できる方法を選ぶと続けやすくなります。複数の投資方法に分散しつつ、いずれも管理を任せられるもの絞れば、リスクを抑えつつ手間も少なくできます。
まとめ
ほったらかし投資は、投資の知識や経験が少ない人でも始めやすく、日々の相場を気にせずに長期的な資産形成を目指せる方法です。投資信託などの管理を委託できる商品を選ぶことで、時間や手間をかけずに資産を増やせるでしょう。
忙しい人にとって、無理なく続けられる資産形成の手段として、ほったらかし投資は有効な選択肢になります。一方で、管理を適切に委託できる仕組み作りが重要になるため、適切な投資先を選びたいところです。
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