資産運用の方法には金融商品を購入して利益を得る投資と、加入することで保証や節税効果を得ながらお金を貯める貯蓄型保険があります。
投資は積極的に資産を増やす方法ですがリスクがあり、保険はリスクが低いですがリターンは控えめです。
投資と保険にはそれぞれにメリットとデメリットがあるので、それぞれの特徴を知ることでどちらを選択するべきか、両方バランスよくおこなう必要があるのか判断しましょう。
この記事では投資と保険のメリット・デメリット、投資と保険がおすすめな人の特徴についても解説します。
投資と保険
まずは、投資と保険の基礎知識について解説していきます。
投資は株式などの金融商品を購入することで、購入した金融商品を売買して売買差益を得たり、金融商品を一定期間保有することで利益の分配を受け取ることで資産を増やすことです。
投資には種類があり、代表的な投資の方法には「株式投資」「不動産投資」「投資信託」「債券投資」があげられます。
今回の記事では一般的な投資のメリット・デメリットについて解説しますが、個別の投資について詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
保険は毎月定額の保険料を支払うことで保証を受けることが可能な、支払った保険料は積み立てられない掛け捨て型保険をイメージする人も多いかと思います。
しかし、貯蓄型保険は保険料は割高になりますが保険料を積み立てることが可能です。
貯蓄型保険は支払った保険料が積み立てられ、満期時には支払った保険料よりも多くのお金がもらえるので資産運用の手段の1つとして利用できます。
年金制度は大きな赤字を抱えており、年金だけでは老後の生活が厳しくなる可能性が高いので、老後に向けて貯蓄するだけではなく資産運用をする必要があります。
その際には、投資だけに目を向けるのではなく、保険のメリット・デメリットを知ったうえで貯蓄型保険への加入も検討してみるのがいいでしょう。
また、資産運用の種類は非常に多いので、具体的な資産運用の種類について知りたい人は17種類の資産運用を紹介した記事があるのでそちらもチェックしてみてください。
資産運用の種類とは?初心者でも分かる17種類の運用方法を徹底解説
ここからは投資と保険のそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
投資のメリット
まずは、投資のメリットを3つ紹介していきます。
- 選択肢の幅が広い
- 投資の種類によっては大きなリターンを得られる
- 定期的なリターンを得ることができる
選択肢の幅が広い
一言で「投資」といってもその対象は非常に多く、選択肢の幅が広いです。
株式、投資信託、債券、不動産だけではなく、数年前に話題になった仮想通貨も新たな投資先といえますし、FXも外貨を運用する取引なので外貨が投資対象になります。
他にも金などの現物で価値のあるものなど、投資対象となるものは非常に多いです。
今後も投資対象として価値のあるものが出てくることがあれば新たな投資が増える可能性もあります。
このように一言で投資といってもその種類は膨大であり、ハイリスクハイリターンな投資、ローリスクローリターンな投資もあり、選択肢の幅が広いです。
選択肢の幅が広ければ広いほど自分に合った投資が存在する可能性も高いので、幅広く投資について勉強することで自分に合った投資を探すことができるでしょう。
投資の種類によっては大きなリターンを得られる
投資は選択肢の幅が広く、特徴も異なりますが、投資の種類によって大きなリターンが得られるのが特徴です。
リターンの高いものをあげるなら、株式投資で株価が大きく変動すれば株価が2倍から10倍以上になることも珍しくはありません。
さらに、ハイリターンなものをあげれば、FXは用意したお金の25倍のお金を借りて運用することができるので、自分の持っている資産以上に大きな利益を稼ぐことも可能です。
もちろん、リターンが大きければ大きいほどリスクも比例します。
株式の場合は株価が大きく下がる可能性もありますし、FXの場合は用意したお金以上の損失が発生する可能性があります。
選択肢の幅が広いのでリターンが大きくリスクの高い投資や、リスクが低くリターンの少ない投資もあるので、リスクを踏まえたうえでリターンを得たいのであれば投資がおすすめです。
定期的なリターンを得ることができる
投資の種類によっては定期的なリターンを得ることも可能です。
例えば、不動産投資であれば毎月家賃収入を得ることができるので、不動産を利用して定期的なリターンを得ることができます。
株式に投資をする場合、投資する企業によっては配当金を受け取ることも可能です。
保有しているだけで定期的にリターンを得られる点は投資のメリットといえるでしょう。
しかし、投資の中には定期的なリターンを得られない投資もあれば、定期的なリターンが得られるといわれている投資でも条件によっては得られないこともあるので注意が必要です。
投資のデメリット
一方で、投資にはデメリットもありますので、投資のデメリットを3つ紹介します。
- 価値が変動する
- 大きな損失が発生する可能性がある
- 知識が必要になることがある
価値が変動する
投資した金融商品の価値は常に変動します。
株式の場合は株価が変動した結果、利益が発生することもあれば損失が発生することもありますし、不動産の場合は築年数を重ねれば重ねるほど不動産自体の価値が低くなるのが一般的です。
債券のように満期まで保有すれば元本が返却される金融商品も存在しますが、債券自体の価値は常に変動しており、購入時の価値が保証されない途中売却をすれば損をする可能性もあります。
投資をする以上、投資した商品の価値が変動することは避けられないのがデメリットの1つです。
特にリターンとリスクが大きい投資であれば価値の変動は大きく、自分の保有している金融商品の価値を常に気にして生きることがストレスになる人もいるかと思います。
もちろん、私たちが普段利用している日本円の価値も変動しているので、資産を持っている以上価値が変動することを避けることはできません。
しかし、価値の変動が気になる人が価値が変動しやすい金融商品に投資をする必要はないので、値動きが緩やかでリスクが低くリターンも少ない投資を選ぶ方がよいでしょう。
リスクが少ない投資で有名なものは債券投資があり、満期まで保有すれば元本が返還されるので元本割れの危険性はほとんどありません。
大きな損失が発生する可能性がある
投資はリターンも高いですがリスクも比例するため大きな損失が発生する可能性があります。
先ほど、リターンの高い投資で株式投資とFXについて解説しましたが同様にリスクも高い投資です。
株式投資であれば株価が倍になる可能性もありますが、株価が2分の1に下落する可能性もあります。
FXであれば投資したお金だけではなく借りたお金も運用することになるので、25倍のお金を動かして大損することになれば損失も25倍です。
特にFXで損失が発生した場合は、借金を抱える可能性もあるのでお金を増やして老後の生活に備えるどころではなくなります。
大きなリターンが得られるということはその分だけ価値が変動するということなので、価値が下落することがあればリターンと同様の損失を抱える可能性もあるということです。
もちろん、リターンは控えめでもリスクが低い投資は存在するので、損失が発生するデメリットを避けるためにはリスクの低い投資を選択する必要があります。
知識が必要になることがある
投資をするためには様々な知識が必要になることがあります。
例えば、株式に長期的に投資をするのであれば企業分析は必須であり、どのように企業の将来性を見抜くのか勉強が必要になります。
不動産投資を始めるにも、保険は何があって何に加入すればいいのか、そもそも居住者をどのように探すのか分からない人も多いかと思います。
ここまでの例はあくまで一例ですが、投資を始めることになれば多くの疑問が発生するので、その度に調べて勉強する姿勢が必要です。
そのため、投資について勉強する時間がない人は、運用をプロに任せられる投資信託などにしか投資できず投資できる商品が限られてしまいます。
勉強のために時間を費やしたくないと考えている人には、運用を他人に任せる投資以外は不向きであるといえるでしょう。
もちろん投資信託を購入する場合でも、手数料が高く最終的な利益にも影響する投資信託を見分けて購入しないようにするための最低限の知識は必要なので、まったく勉強せずに投資をするのは難しいです。
次は保険のメリット・デメリットについて解説していきます。
保険のメリット
ここからは保険のメリットを3つ解説していきます。
- 知識がなくても始めやすい
- 貯蓄しながら保証も受けられる
- 節税にもつながる
知識がなくても始めやすい
保険は投資と比較して始めるために必要とされる知識が少ないので、知識がなくても始めやすいのが特徴です。
なぜなら加入する保険を決めてしまえば、後は満期まで決まった保険料を支払い続ければいいので、投資と比較して考えなければいけないことが少ないからです。
投資の場合は購入した金融商品の価値が変動するため売却するまで具体的にいくら資産を増やせるか分かりません。
保険は加入して満期まで支払った金額によって受け取れるお金が決まるので、満期まで保険料を支払うことができれば決まった金額を受け取ることができます。
価値が変動する金融商品に投資をする場合は買い時や売り時の判断を勉強してできるようになっていないと損をしてしまう可能性があります。
しかし、保険には買い時と売り時の概念がないので投資と比較すれば勉強の必要性は少ないです。
貯蓄しながら保証も受けられる
貯蓄型保険で資産を増やす場合、保険に加入することになるので資産を増やしながら保証を受けることができます。
また、主な貯蓄型保険の種類は下記の通りです。
- 終身保険
- 個人年金保険
- 養老保険
- 学資保険
終身保険は死亡した際に死亡保険金が給付される保険で、遺された家族にお金を用意することが可能です。
終身払いの場合は保険満期の設定がありませんが、短期払いに設定すると支払期間や満期となる年齢を指定して保険料を支払い続けることもできます。
個人年金保険は公的年金とは別に保険会社と契約する年金保険のことで、老後の生活に備えるのであればこのタイプの貯蓄型保険がおすすめです。
養老保険は被保険者が死亡した場合に保険金が支払われますが、生存したまま満期を迎えた場合は満期保険金が支払われる保険です。
学資保険は子供の教育資金を確保するための保険で、保険契約者に万が一のことがあれば保険料の払い込みが免除されるので子供の教育資金を確実に貯蓄することができます。
このように貯蓄型保険の種類によって受けられる保証も異なるので、自分が受けたい保証を選択しながら貯蓄していくことが可能です。
節税にもつながる
保険料の支払いは税金の控除の対象になります。
保険の種類によって控除の条件は異なりますが、ここでは個人年金保険の控除条件を確認してみましょう。
個人年金保険の控除の条件は下記の通りです。
- 年金の受取人が保険料を支払う本人または配偶者
- 被保険者と年金受取人が一致している
- 保険料を10年以上かけて支払う
- 60歳になってから、10年以上の定期、もしくは終身で年金を受けとる
- 個人年金保険料税制適格特約を付加している
以上が個人年金保険の保険料控除を受けるための条件であり、最も重要なのは保険会社に個人年金保険料税制適格特約を付加してもらうことです。
中途付加も可能なので、控除を受ける場合は保険会社に申請して付加するようにしましょう。
保険の種類によって控除を受ける条件が異なりますが、保険料の支払いは節税にもつながります。
保険のデメリット
保険のデメリットは主に3つあります。
- 途中解約すると元本割れする可能性がある
- 投資と比較してリターンは控えめ
- 保険料が高い場合もある
途中解約すると元本割れする可能性がある
貯蓄型保険は途中解約したときに返却するお金のことを解約返戻金といいます。
解約返戻金は解約した時期によっては支払った保険料がすべて返金されず元本割れする可能性があります。
他に貯蓄型保険で元本割れするケースとして考えられる可能性は、保険会社が破綻して債務不履行になった場合です。
基本的には途中解約せずに満期まで保険料を支払えば元本割れをしない仕組みになっています。
しかし、途中で保険料が支払えなくなり保険を解約せざるを得なくなった場合は元本割れのリスクがあるので注意が必要です。
投資と比較してリターンは控えめ
保険は投資と比較して積極的に資産を増やす方法ではないのでリターンは控えめです。
投資のように大きなリターンは期待できませんし、利益が得られるのは保険が満期を迎えたタイミングしかありません。
もちろん、税金の控除を利用して資産を防衛することもできるので、間接的な利益を得ることは可能です。
保険の利益は契約時の利率で決まるので、満期で受け取れる利益と節税効果も考えたうえで、投資による積極的な資産の運用が必要かどうかは考えた方がよいでしょう。
保険料が高い場合もある
掛け捨て型の保険と比較すると資産を積み立てられる貯蓄型の保険は保険料が高い傾向にあります。
保険料が高いということは家庭にとって大きな負担になる可能性もあるので、貯蓄型保険は掛け捨て型保険と比較して途中解約のリスクが高いです。
貯蓄型保険に加入する場合は安易に加入するのではなく、保険料を確認して満期まで支払い続けることができるかどうか検討したうえで加入するようにしましょう。
万が一途中解約をすると1つめのデメリットであげた元本割れのリスクもあるので、保険料を考えたうえで貯蓄型保険を選びましょう。
ここまで、投資と保険のメリット・デメリットについて解説してきました。
最後に、投資と保険それぞれがおすすめな人の特徴について解説していきますので、どちらの方が自分に合っているか、両方選択するべきか考えてみましょう。
投資がおすすめな人の特徴
投資がおすすめな人の特徴は以下の通りです。
- 積極的に資産を増やしたい人
- 投資について勉強することができる人
積極的に資産を増やしたい人
投資はリスクもありますが、保険よりも積極的に資産を増やしていけるので資産を増やしたい人におすすめです。
リターンの高い投資を選択すれば得られる利益に際限はありませんし、リターンの低い投資でも保険とは異なり定期的なリターンを得ることができるものもあります。
ただし、投資にはリスクがあるのでリターンを得るために運用する際に一時期でも資産を1円も減らしたくないという人に多くの投資はおすすめできません。
このような人におすすめできる投資は元本が確保されている債券投資です。
投資の中でもリターンが少ないですが、債券が満期になるまで保有すれば債券の元本は返ってくるので、元本確保型の投資であれば安全に運用することはできます。
基本的にリターンが大きい投資を選択するのであれば同程度のリスクを承知したうえで投資をする必要があるといえるでしょう。
投資について勉強することができる人
投資が向いている人の特徴は、投資について自分で勉強することができる人です。
基礎知識を学ぶのは前提条件として、常に投資について勉強を続けることが何よりも重要になります。
株式投資をするのであればどの銘柄の将来性が高いのか、株価が上昇する材料についてリサーチを継続することが必要です。
一度リサーチをして銘柄を購入するだけではなく、株式市場は日々変化していくので、毎日欠かさず調べる必要があるとは言いませんが定期的に調べて勉強できる人が利益を上げやすくなります。
また、投資に関する常識は数年も経てばルールが変更された影響で変化することもあるので、数年前の知識が役に立たなくなることもあります。
どれくらい勉強をする必要があるのかは投資の種類や投資のスタイルによっても異なりますが、投資について自ら意欲的に勉強できる人は投資に向いているといえます。
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保険がおすすめな人の特徴
最後に保険がおすすめな人の特徴を見ていきましょう。
- 保証や節税も含めて総合的にメリットを得たい人
- 満期まで保険料を支払える人
保証や節税も含めて総合的にメリットを得たい人
貯蓄型保険のメリットは満期時の受取金で発生する利益だけではなく、保証や節税ができることも考えれば満期で発生する利益以外のメリットが多いです。
そのため、保険によって増える資産は本来支払うはずだった税金も加算して計算ができますし、掛け捨て型の保険と同じように役割を果たすことにあります。
さらに投資のように自ら勉強してリサーチを継続する必要はないので時間を取られることもありません。
資産を増やすために時間を取られたくない人には、保険は時間の意味でもメリットのある資産運用方法であるといえます。
保証、節税、時間も含めた総合的なメリットを得たい人は保険を選択するようにしましょう。
満期まで保険料を支払える人
保険で資産を増やすために一番大切なことは満期まで保険料を支払えるかどうかです。
基本的に満期まで保険料が支払えずに途中解約することがないと確信しているのであれば、保険のデメリットはほとんどありません。
しかし、保険料が高いことが原因で途中解約をせざるをえなくなると元本割れのリスクが発生します。
そのため、貯蓄型保険に加入して資産を増やすためには満期まで保険料を支払うための計画を考えることが重要です。
少なくとも10年以上は保険料を支払うことになるので、現在の基準で支払えるかだけではなく、10年後にどのように保険料を支払うのかについても考えておいたほうがよいでしょう。
ここまで保険について解説してきましたが、保険で始める資産運用についてさらに詳しく知りたい人はこちらの記事もチェックしてください。
保険で始める資産運用とは?3つのメリットや注意点を徹底解説!
まとめ
投資と保険、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
投資は積極的に資産を増やしたい人、保険は資産を増やすだけでなく節税などの観点からも総合的にメリットを得たい人におすすめの資産運用方法です。
この記事を踏まえた上で、自分は投資で資産を増やすべきか、保険で増やすべきか、両方の方法で増やすべきか考えてみましょう。