分散投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資先をご紹介

分散投資のメリットは投資の成果が安定しやすいことです

分散投資は、資産・時間・地域の3つの観点で分散する投資手法です。一方で、特定の資産を一度にまとめて購入する投資方法は集中投資と呼ばれます。分散投資は集中投資と比べて、手堅く安定したリターンが期待できることがメリットです。

本記事では、分散投資のメリット・デメリットを詳しく解説します。分散投資におすすめの投資先も紹介するため、記事を読むことで分散投資を実践するうえで必要な知識を網羅的に把握できるようになるでしょう。

目次

分散投資とは?

分散投資の分散とは、主に資産・時間・地域の3つの観点でおこなわれます。なぜこれらを分ける必要があるのか、それぞれの理由を詳しく解説します。

資産の分散

資産の分散は、株式・債券・不動産など、異なる特性を持つ複数の投資対象に投資をおこなうことで、ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑制します。例えば、株式が大きく値下がりする局面でも、比較的値動きが安定している債券を組み入れておけば、資産全体が大きく目減りするリスクをカバー可能です。

また、株式のなかでも複数の銘柄に分散したい場合、投資信託を活用すれば少額でも複数の資産に対して分散投資が実現できます。資産の種類・銘柄を分散しておくことで、特定の資産が大きく値を下げる場面があっても、全体への影響を小さくできるのです。

時間の分散

時間の分散は、投資するタイミングを一度にまとめず複数回に分けることで、購入価格が平均化され、いわゆる高値づかみのリスクを軽減します。代表的なのが、毎月決まった額を投資していく積立投資です。

毎月決まった日に一定額を買い続けると、価格が高い時も安い時も購入することになるため、平均購入単価が平均化されてリターンが安定しやすくなります。一度にまとめて購入する一括投資と違い、購入タイミングを自分で判断する必要がないため、初心者も実践しやすいでしょう

地域の分散

地域の分散は、日本国内だけでなく、複数の国・地域に投資先を広げることで、特定の地域の景気や政治リスクに投資成果が左右されにくくなります。

資産がすべて円建てである場合は、円安進行によって資産全体の価値が目減りすることも。ドルやユーロなど外貨建ての資産にも投資すれば、為替動向に対しても安定しやすくなるでしょう

分散投資は資産のみを分散するのではなく、時間・地域を含めた複数の観点で分散すれば、より安定した成果を期待しやすくなります。

分散投資のメリット

分散投資のメリットは以下のとおりです。

  • 保有資産全体の下落幅を抑えやすい
  • 安定したリターンが期待できる
  • 資金が必要な時に売却しやすい
  • 心理的に安定して投資を続けやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

保有資産全体の下落幅を抑えやすい

分散投資は、特定の資産が大きく値を下げた場合でも、ポートフォリオ全体に与える影響を緩和する効果が期待できます。集中投資では投資対象の価値が大きく目減りすれば、ポートフォリオに多大な影響を与えることは避けられません。

ただし、株式を中心に投資をしている場合、複数の銘柄に分散投資しても集中投資とリスクが変わらないことがあります。株式全体が価値を下げる局面にあれば、分散したすべての株式が値下がりするからです。

そのため、株式をポートフォリオに組み込む場合は、株式とは値動きの相関性の低い投資対象に投資すれば損失をカバーできます。株式とは逆相関にあるといわれる資産が金(ゴールド)であり、株が下がれば金の価格は上昇しやすくなります。

資産の相関関係を意識して分散したポートフォリオであれば、特定の資産が下落したとしても保有資産全体の下落幅を抑えやすいでしょう。

安定したリターンが期待できる

分散投資はリスクを軽減するだけでなく、安定したリターンを期待しやすくなります。例えば、一部の資産が高いリターンを挙げれば、成果が芳しくない投資先の投資成果を補えます。長期的には平均的かつ安定的なリターンが実現しやすくなるでしょう。

複数の資産を持てば、大きく値上がりするもの、目立った値動きのないもの、ときにはマイナスのものも出ます。しかし、全体で見れば値動きが相殺され、合計としては安定した成果を期待できます。

資金が必要な時に売却しやすい

投資先を幅広く分散するなら、資産の流動性を考えておくと資金が必要な時に売却しやすくなります。もし投資先が一つだけだと、資金が必要になったタイミングで投資対象が値下がりしていた場合、希望価格で売却できないことも。

適切に分散投資していれば、大きく値下がりした資産がある一方で、値を上げた資産や、値下がり率の低い資産もあるでしょう。売却を優先する場合は、値を上げている資産や、値下がり率が低く相対的に売却しやすい資産からの売却を検討できます

住宅購入や子どもの教育費の確保など、ライフイベントを理由に多額の資金が必要になった場合でも、一定額を売却して現金化できる柔軟性を持てます。投資の目的が将来に必要なお金を確保するためであれば、いつでも資金を確保しやすいポートフォリオの形成が重要です。

心理的に安定して投資を続けやすい

一つの銘柄に集中投資すると資産全体の値動きの振れ幅が大きくなります。人は得をするよりも損をしたくない気持ちのほうが強いといわれています。そのため、資産全体の値動きが大きいほど損失を避けたいと思うあまり、合理的ではない選択をしてしまうことも。パニック売りなどの感情的な売買を引き起こしてしまうかもしれません。

その点、分散投資は心理的に安定して投資を続けやすいです。時間の分散を意識した積立投資は、毎月一定額を購入するルールのもとでおこなうため、感情的な売買を減らして、長期的に継続しやすい方法になります。

また、ポートフォリオを適切に分散しているなら、保有資産全体の下落幅は抑えやすくなるため、下落局面であっても心理的な負担は減るでしょう。投資は適切な方法で長期的に継続することが重要であるため、分散投資は心理的に安定して続けやすいメリットもあります。

分散投資のデメリット

一方で、分散投資にも考えられるデメリットはあります。

  • 短期的に大きな収益を得ることが難しい
  • 資産の管理に手間がかかる

それぞれ詳しく解説します。

短期的に大きな収益を得ることが難しい

分散投資は集中投資と比較してリターンが低くなる場合があり、短期で大きな収益を得ることが難しいです。集中投資では、特定の資産が急騰した場合に大きな収益を得られます。しかし、分散投資では価格が急騰した特定の資産を保有していたとしてもポートフォリオ全体に与える影響は集中投資と比較して低くなります。

集中投資はリスクが高い一方、短期で大きなリターンを得る目的であれば魅力のある投資方法です。投資の目的や市場の状況によっては、集中投資よりも分散投資のほうが必ずしも優れているわけではないことを理解しておきましょう。

資産の管理に手間がかかる

分散投資では複数の資産を保有するため、それらを管理する手間がかかります。複数の投資対象に関連する動向を定期的にチェックする必要があるからです。

また、適切に運用するには、資産全体のバランスを調整するリバランスが重要です。管理対象となる資産が多いほど作業は増えます。ただし、リバランスは年数回程度の頻度が一般的であるため、長期を前提にした分散投資であれば日常的におこなうものではありません。

一方で、分散投資を意識するあまり投資先をむやみに増やすと、管理の手間だけが増えるおそれがあります。分散投資に適した投資先を見極め、適切な数に絞って投資するようにします。

分散投資に適したおすすめの投資先

分散投資に適したおすすめの投資先を5つ紹介します。

  • 株・債券・不動産などに分散できる投資信託
  • 国外の優れた投資対象に投資できる海外積立投資
  • 金融資産とは別に保有したい不動産
  • 元本確保と保証が受けられる貯蓄型保険
  • 従来の資産と値動きが異なるオルタナティブ資産

それぞれ詳しく見ていきましょう。

株・債券・不動産などに分散できる投資信託

投資信託は、株・債券・不動産・コモディティなどの資産に少額から分散投資できる投資商品です。種類によっては100円から購入できるため、資金に余裕がなくても始められます。また、バランスファンドと呼ばれる複数の種類の資産に分散できる投資商品も。

株式・債券・不動産などの投資信託を組み合わせるか、バランスファンドに投資すれば、資産の分散が可能になります。また、毎月一定額を自動で積立できるシステムが確立しているため、時間の分散がしやすい点もメリットです。

国外の優れた投資対象に投資できる海外積立投資

海外積立投資はオフショア投資とも呼ばれ、海外の保険会社・信託会社に口座を開設して毎月積み立てをおこなう方法です。月2万円から積み立てが可能であり、投資先の選定は資産運用のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)がおこなってくれます。

海外積立投資は、資産運用において資産・時間・地域の3つの観点で分散を達成可能です。ただし、購入方法は代理店を経由して海外のIFAに依頼するため、投資を始めるまでのハードルはやや高めです。初心者が実践するには、信頼できる相談先を見つけることが重要になるでしょう。

金融資産とは別に保有したい不動産

不動産は、株式・債券などの金融資産とは異なる値動きをする実物資産です。物件を運用すれば、毎月安定した家賃収入を得られます。インカムゲインを得る手段として優秀であり、いざという時には売却して収益を得ることも可能です。

分散投資しやすい方法としては、区分マンション投資があり、マンションの1戸を購入して入居者に貸し出すため、投資額が低くなりやすいです。複数のマンションで区分マンション投資をおこなえば、立地条件の異なる複数のマンションに分散して投資ができます。分散投資を意識して金融資産とは別に保有すれば、ポートフォリオをより安定させられるでしょう。

元本確保と保証が受けられる貯蓄型保険

将来に備えて資産運用を始めるなら、保険を活用することもおすすめです。貯蓄型保険は保険料を積み立て、満期時には一定の利率で返戻金を受け取れる商品です。

保険であるため、万一に備える保障も同時に得られます。資産形成とリスクヘッジを並行しておこなえることが魅力です。ほかの投資方法と組み合わせれば、全体の安定性をさらに高めることが可能になります。

従来の資産と値動きが異なるオルタナティブ資産

オルタナティブ資産は、株式・債券などの伝統的な資産とは異なる新しい投資先です。具体的には、アンティークコイン、ウイスキー、クラシックカーなどコレクタブル性のある資産が挙げられます。

アンティークコインは発行枚数が限定された希少性の高さからコレクターを中心の広く取引されています。ウイスキーはカスク(樽)で貯蔵された状態で保有することで熟成による価値の上昇を期待可能です。クラシックカーは、所有して趣味で乗ることもできる実益を兼ねた資産です。

上記のオルタナティブ資産は共通して、伝統的な資産とは低相関な値動きが特徴です。金融資産とあわせて保有すれば分散効果によるリスク軽減が期待できます

分散投資を始める際の注意点

最後に、分散投資を始める際の注意点を解説します。

  • 長期投資が前提になる
  • 年代によって適切なポートフォリオが異なる
  • 資産のバランスを定期的に見直す

それぞれ詳しく見ていきましょう。

長期投資が前提になる

分散投資は、異なる値動きをする複数の資産を組み合わせることでリスクを抑えます。効果を発揮するには一定期間以上の保有が必要です。時間の分散を意識して積立投資をおこなうことを考えると、長期投資が前提になります。

目安としては、10年以上の保有を前提に投資をおこなうことで、分散投資の安定した成果を実感できるでしょう。一時的なリターンではなく、長期的な資産の成長を期待して複数の資産に投資することが求められます

年代によって適切なポートフォリオが異なる

分散投資で適切なポートフォリオを考えるうえで、重要になるのが投資を実践する人の年代です。年代によっても適切なポートフォリオは変化します。例えば、20代~30代は働き盛りで退職までに投資できる期間が長いことから、リスクを受け入れやすく、株式などのリスクの高い資産を保有可能です。

一方で、40代~50代以上になると働ける期間が限られていて退職が近いため、リスクを抑えるために債券などの安全資産の保有率を増やすことが求められます。年代によって異なるリスク許容度も考慮しながらポートフォリオを形成しましょう。

資産のバランスを定期的に見直す

資産のバランスを考えて保有したとしても、市場の状況と資産の価値は常に変動します。当初に設定したポートフォリオのバランスが時間とともに崩れてしまうことも。例えば、株式を30%保有するポートフォリオであっても、株式市場で好調な局面が続けば40%に上昇して当初のバランスとは異なる状況になります。

そのため、定期的に資産のリバランスをおこないましょう。方法は主に2つです。

  • 不足している資産に新たな資金を投入する
  • 保有率が大きく増加した資産を売却する

ただし、神経質におこなえば売買コストがかさむことに繋がるため、年に数回程度の頻度で調整するようにしましょう。

まとめ

分散投資は、資産・時間・地域の3つの観点からリスクを抑え、安定した運用成果を目指す投資手法です。初心者でも続けやすいので、長期を前提に複数の資産へバランスよく投資することを意識しましょう。

また、具体的に分散投資に適切なポートフォリオを形成するには専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。当社では、分散投資の相談を含む資産運用のアドバイスと、分散投資に適した海外積立投資の魅力的な投資先を紹介できます。ご自身にとって適切な分散投資のやり方を知りたい場合は当社にご相談ください。

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