フェラーリとランボルギーニはなぜ高い? – リセール価値で見る人気ブランドの秘密

ハイパーカー等の世界では、すべての車が等しく価値を持つわけではありません。 breathtakingなスピードと人々を振り向かせるデザインを共有していても、金融資産としての価値の推移は劇的に異なることがあります。

先日、INVEEK調査チームが日本国内のフェラーリ専門店を訪れた際には「スーパーカーっていうと、多分思い浮かぶのはフェラーリとランボルギーニ」と、スタッフの方から市場のリアルな動向を聞くことができました。

スタッフの方の言葉が示す通り、この2つのイタリアンブランドは特別な存在です。では、なぜフェラーリ、ランボルギーニが高値で取引されるのに対し、同じ高級車であるはずのアストンマーティンやロールスロイスはリセール価値が低いと言われるのでしょうか。その秘密を、実際の市場の声とデータから解き明かします。

目次

 リセール市場の絶対王者 – フェラーリとランボルギーニのブランド力

フェラーリの販売店スタッフはハイパーカー等のリセール市場において、他の追随を許さない絶対的な王者が2つのブランドであると語りました。それが、フェラーリとランボルギーニです。

フェラーリ

1947年にエンツォ・フェラーリによって設立されたイタリアのスポーツカーメーカーです。F1をはじめとするモータースポーツでの輝かしい歴史を持ち、「情熱」や「性能」の象徴として世界中に熱狂的なファン(ティフォシ)を抱えています。

ランボルギーニ

元々トラクター製造で成功したフェルッチオ・ランボルギーニが「打倒フェラーリ」を掲げて1963年に設立。その挑戦的な成り立ちと、カウンタックに代表される未来的で攻撃的なデザインがブランドの核となっています。

フェラーリの販売店スタッフは両者のデザインの違いについて「フェラーリはどちらかというと、滑らかなボディラインなんですけど、ランボルギーニになってくるとカクカクした、ちょっとマシーンっていう感じ」と表現しており、それぞれの個性がファンを惹きつけています。

この2大ブランドがリセール市場で圧倒的な強さを誇る最大の理由は、その揺るぎないブランド力にあります。「そもそもちょっとそのブランド力が圧倒的に違う」という販売店スタッフの言葉が、その差を端的に物語っています。

驚異的な価格維持率と世界的な需要

調査で訪れた店舗のスタッフは、アストンマーティンが新車価格から大きく値を下げるのに対し、「(フェラーリは)若干プレ値はついてます」と、中古市場で価格が維持、あるいは上昇する実態を語りました。

これは、世界中に存在する熱狂的なファンとコレクターによる、途切れることのない需要の高さが背景にあります。実際に「オプションが多い方がやっぱり需要としては圧倒的に高い」という発言もあり、購入者は単なる好みだけでなく、将来のリセール価値を強く意識してオプションを選択していることが伺えます。

希少性が生み出す伝説的価値

フェラーリの価値を象徴するのが、わずか36台しか生産されなかったフェラーリ250GTOです。1970年代には5万ドルで取引されていましたが、近年ではオークションで7,000万ドル以上という驚異的な価格で落札されています。

このような伝説的なモデルの存在が、ブランド全体の価値を神格化し、他のモデルの価格をも牽引しているのです。

 サウンドと希少性 – モデルごとの価値を決定づける「物語」

同じブランド内でも、どのモデルを選ぶかによって資産価値は大きく変動します。その鍵を握るのが、エンジン形式と生産台数、そしてそのモデルが持つ「物語」です。特にフェラーリ愛好家が熱狂するのが、官能的なエンジン音、通称「フェラーリサウンド」です。

店舗スタッフは、フェラーリ「458」が非常に人気である理由として、「NAエンジンっていう自然吸気で取り込んでるエンジンがこれが最後になる」点を挙げました。

近年のモデルが環境規制への対応からターボエンジンを採用し、「ちょっとマフラー音が変わる」のに対し、自然吸気(NA)エンジンならではの高回転まで突き抜けるような高揚感あふれるサウンドは、特別な価値を持ちます。

車好きの人からすると、要は自然吸気のフェラーリサウンドの方が…」という言葉に、そのこだわりが集約されています。実際にエンジン音を聞かせてもらった際の、鼓膜を震わせるような甲高いサウンドは、まさに芸術品と言っても過言ではないでしょう。

さらに、近年では1980年代から90年代初頭のスーパーカーが新たな投資対象として注目されています 。

ランボルギーニ・カウンタックのような、かつて若者たちが自室の壁にポスターを貼って憧れたモデルを、今富裕層となった彼らが現実のものとして手に入れているのです 。このようなノスタルジーもまた、車の価値を高める重要な「物語」となっています。

限定モデルの存在も欠かせません。フェラーリが製造した限定生産のハイブリッドスーパーカーである、ラ・フェラーリのような特別な車は、ブランドへの忠誠心が高い顧客のみに提供され、その希少性がさらなる価値を生み出しています。

なぜ値下がりするのか? – アストンマーティンとロールスロイスのリセール事情

一方で、同じ英国の名門ブランドであるアストンマーティンやロールスロイスは、リセール価値が比較的低い傾向にあります。

現場のスタッフからは「アストンとかだと3600万で買ってもリセールだと3000万ぐらい…多分2500万とか。」と、市場の実態を示す生々しい言葉がありました。

アストンマーティン

007シリーズのボンドカーで知られる高級スポーツカーメーカー。フェラーリほどの圧倒的な市場需要がないことが、値下がりの一因と考えられます。ただし、「初期型のクラシックは高かった」との声もあり、特定のヴィンテージモデルには高い価値がつくケースもあります。ブランド全体というより、モデルごとの評価が大きく分かれるのが特徴です。

ロールスロイス

「世界最高の車」と称される最高級サルーンの代名詞。調査に訪れたフェラーリ販売店スタッフは「自分で運転する車ではない」という評価をしていることからも分かる通り、主に後部座席に乗ることを想定したショーファードリブンカーです。そのため、自らハンドルを握ることを楽しむ層からの需要が限定的となり、中古市場での価格が伸び悩む傾向にあります。車の性格が、リセール市場での評価に直結している典型例と言えるでしょう。

このように、アストンマーティンとロールスロイスがフェラーリのような高いリセール価値を維持できない背景には、それぞれ異なる理由が存在します。

アストンマーティンは、絶対的なブランド力と市場需要の面でイタリアの競合に一歩譲り、大きな価格下落を避けられません。一方、ロールスロイスは「運転される車」という高級サルーンとしての特性が、主要コレクター層の需要と合致していないことが主な要因です。

両ブランドとも、それぞれの魅力とは別に、リセール市場特有の価値基準においては厳しい現実に直面しているのです。

まとめ

ハイパーカー等のリセール価値は、単なる性能や品質だけでなく、ブランドの歴史とイメージ、モデルの希少性、エンジンが奏でるサウンドといった「物語性」、そして市場の需要という複数の要素が複雑に絡み合って形成されます。

フェラーリとランボルギーニは、これらの要素を極めて高いレベルで満たしているからこそ、単なる移動手段ではなく、時代を超えて価値を増し続ける「資産」として扱われるのです。ハイパーカー等を資産として保有することは、こうした背景を深く理解し、一台一台の「物語」を読み解くことから始まります。

今回調査に訪れたフェラーリ専門店での会話は、データだけでは見えない市場のリアルな肌感覚を教えてくれる貴重な機会となりました。この記事が、皆様にとって奥深いハイパーカー等の世界に興味を持つきっかけとなれば幸いです。

ハイパーカーへの投資にご興味がありましたら、ぜひINVEEKへお問い合わせください。

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