「投資信託(投信)」のメリットやリスク(デメリット)などがわかって、始めたいけど「どんなものがあるかわからない」という方は多いでしょう。
ここでは具体的にどんな種類の投資信託があるのかを7つの分類方法を紹介しながらご説明します!
6,000を超える数の投資信託の中から投資の目的に合う投資信託を選ぶためには、投資信託の分類方法を知り、投資対象の特性や商品性を理解することが大切です。
分類方法は多いですが、分け方は意外に単純ですので、一つひとつ理解していきましょう。
投資信託(投信)の種類
一口に投資信託といっても、様々な種類があります。
大別すると4種類あり、「公社債投資信託」という株式を一切組み入れないものと、「株式投資信託」という株式を組み入れることができるものに分けられます。
次に、「追加型」といういつでも購入可能なものと、「単位型」という募集期間中のみ購入可能なものがあり、この組み合わせで4種類となっています。
しかし、あくまでも上記の分け方は大別した場合であり、より詳細な分類方法が存在します。
ここでは7つの分類方法を紹介します。
①投資信託(投信)の形態
契約型投資信託
「契約型投資信託」は販売会社と運用会社(信託投資会社)、受託会社(信託銀行)の3社が信託契約を結ぶことにより組成される投資信託です。
3社が信託契約を結ぶことから「契約型」と呼ばれています。
投資家は販売会社という投資信託の窓口を通して申込金を入れ、運用によって得られた収益の分配を受け取る仕組みとなっています。
一般的に投資信託というと「契約型投資信託」のことを指します。
会社型投資信託
「会社型投資信託」は投資を目的とする法人(投資法人)を設立することで組成される投資信託です。
投資法人を設立することから「会社型」と呼ばれています。
投資家はその法人の投資主(株主)となって、運用によって得られた収益の分配を受け取る仕組みとなっています。
「会社型」も「契約型」と収益の分配を受け取る点は同じですが、仕組みと呼び方が異なります。
投資法人では、そもそも財産の運用・管理を業務として行わず、外部の会社に委託(運用委託・保管委託)しています。
また投資家が投資主総会(株主総会)を通して投資法人の運営に参加できる点は投資信託にはなく、投資主の同意が得られれば運用対象や運用方針を変更できるなどの特徴があります。
仕組みや呼び方は特殊ですが、経済的機能としては「契約型投資信託」と大きな違いはありません。
【契約型と会社型の違い】
項目 | 契約型投資信託 | 会社型投資信託 | |
仕組み | 形態 | 3社の信託契約 | 投資法人の設立 |
業務 | 業務を3社で分担 | 業務を外部委託 | |
呼び方 | 発行証券 | 受益証券 | 投資証券 |
投資家 | 受益者 | 投資主 | |
投資家の意思 | なし | 投資主総会で反映 |
②投資信託(投信)の主要な投資対象
債券(国債・社債)
主に国内の債券に投資する投資信託のことを「国内債券型」、外国の債券に投資する投資信託を「海外債券型」といいます。
債券は国や企業が活動するためのお金を借りるために発行している証券で、「国債」「社債」などと呼ばれて販売されています。
投資家からみると一定期間、国や企業にお金を貸して定期的に利息を受け取り、満期が来ると貸したお金が戻ってくるため、リスクが小さい投資商品です。
リスクを抑えて収益を上げたい方は、債券型の投資信託がおすすめです。
株式
主に国内の株式に投資する投資信託のことを「国内株式型」、外国の株式に投資する投資信託を「海外株式型」といいます。
株式は株式会社の株主の持分を示したものです。
投資家からみると、その企業の成長に出資することになり、会社の利益に応じた配当金がもらえます。
株式の価値である株価は企業の業績等に連動することも多いため値動きが比較的大きく、リスクは債券より大きいといえます。
リスクをとって収益を上げたい方は、株式型の投資信託がおすすめです。
不動産投資信託(REIT)
様々な不動産に投資をする投資信託は不動産投資信託(REIT)と呼ばれており、賃料収入を投資家に分配する仕組みになっています。
不動産投資信託(REIT)の中には、国内不動産に投資するものと海外不動産に投資するものがあります。
この不動産投資信託(REIT)に投資する投資信託をREIT(リート)ファンドといいます。
REIT(リート)ファンドは投資信託に投資するため、間接的により多くの物件に投資することができます。
また、通常では買えない海外の物件にも間接的に投資することができ、資産を分散することが可能です。
インフレに強い資産が欲しい方は不動産投資信託(REIT)、加えて資産を分散させたい方は、REITファンドがおすすめです。
コモディティ
コモディティとは、金・原油・穀物など、日常生活に必要な資源や商品のことを指します。
これらに投資する投資信託はコモディティファンドと呼ばれており、その運用成績は商品先物指数の価格変動に大きな影響を受けます。
投資信託になることで、商品先物取引よりもコストを抑えて始めることができます。
資源・商品の価格上昇を見込む方はおすすめです。
その他
上場投資信託
投資信託で株式のように上場しているものを上場投資信託といいます。
有名なものだと「ETF」「J-REIT」があります。
「ETF」は「Exchange Traded Fund」の略で株価指数連動型上場投資信託のことです。
株価指数である日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などに連動する運用成績を目指すファンドです。
「J-REIT」は「Japan Real Estate Investment Trust」の略で不動産投資信託(REIT)のことです。
上場しているため証券所で売買できる点がREITファンドとは異なります。
公社債投資信託(MRF・MMF)
公社債投資信託は株式を組み入れない投資信託のことで、代表的なものでは「MRF(マネー・リザーブ・ファンド)」「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」が挙げられます。
これらは当日引き出しが可能な点から銀行預金のように使用することができます。
安全な短期債で運用するため、元本保証はないものの銀行預金より少し高い利回りで運用できます。
【MRFとMMFの違い】
項目 | MRF | MMF |
目的 | 投資商品の購入・代金の受払など | 低リスクの安定した収益 |
投資対象 | 安全な短期債 |
国内外の公社債 |
信託期間 | 無期限 | 無期限 |
決算 | 毎日 | 毎日 |
購入単位 | 1円以上1円単位 | 1円以上1円単位 |
換金 | 申込当日も可能 | 申込当日も可能 |
指数の上下に投資する投資信託
基準となる指数の値動きを大幅に上回る投資成果を目指す投資信託をブルベアファンドといいます。
先物やオプションなどのレバレッジを利用することで、投資成果を大きくしています。
ブルベアファンドはブル型とベア型に分けられます。
ブル型ファンドは指数が上昇局面でリターンを期待できます。
ベア型ファンドは指数が下降局面でリターンを期待できます。
レバレッジがあるため、投資信託の中でもリスクが高い商品です。
絶対収益を狙う投資信託
さまざまな取引手法を駆使して相場が上がっても下がっても利益を追求することを目的とした投資信託のことをヘッジファンドといいます。
ヘッジファンドは上記の投資対象に投資することに加え、金融先物などの先物取引や信用取引を利用することで、絶対収益を狙います。
ただし運用の最低金額が設定されていることが多く、始める際の敷居は高いといえるでしょう。
③投資信託(投信)の投資先地域と法的分類
国内
投資先が国内であれば、主たる投資収益は実質的に国内の資産を源泉とするものになります。
ほとんどが「国内投資信託」という分類になり、国内の投資信託法に基づいて設定されます。
国内での運用のため、比較的値動きが把握しやすいことが特徴です。
海外
投資先が海外であれば、主たる投資収益は実質的に海外の資産を源泉とするものになります。
ほとんどが「外国投資信託」という分類になり、海外の法令に基づいて設定されます。
投資先が日本の資産でも海外の法令に基づいて設定されたものであれば、「外国投資信託」となります。
海外の法令が適用されるため、税制面で優位になれることが特徴です。
国をより詳細に分けると「先進国」と「新興国」を対象としたものがあります。
「先進国」は高成長は見込めませんが、経済が比較的安定しているため手堅いリターンを期待できます。
「新興国」は経済・通貨などの安定性には欠けますが、大幅な成長の可能性があるため高いリターンを期待できます。
内外
投資先が内外(国内と海外両方)のものもあり、主たる投資収益が、実質的に国内および海外の資産を源泉とするものになります。
法令の分類についてはどちらの可能性もあるので、注意しておく必要があるでしょう、
④投資信託(投信)の運用方針・運用方法
インデックス運用(パッシブ運用)
投資信託説明書の運用方針をみると、「インデックス運用(パッシブ運用)」「アクティブ運用」のどちらかがわかります。
「インデックス」とは指数という意味で、インデックス運用は指数の変動程度の利回りを目指す運用方法です。
主にインデックスファンドで利用されています。
株価指数連動型上場投資信託「ETF」と似ていますが、細かい違いがあります。
【インデックスファンドとETFの違い】
項目 | インデックスファンド | ETF |
投資先 | 日経平均株価、TOPIXなど | 日経平均株価、TOPIXなど |
購入金額 | 1万円〜 | 数万円〜 |
取引単位 | 1万円〜 | 数万円〜 |
取引タイミング | 1日1回程度 | リアルタイム |
手数料 | 年0.3〜0.5% | 年0.1〜0.2% |
分配金 | ○ | × |
信用取引 | × | ○ |
アクティブ運用
「アクティブ」とは積極的という意味で、アクティブ運用は指数の変動を上回る利回りを目指す運用方法です。
指数の変動を上回る成績が必要になるため、運用する銘柄を選定する必要があります。
そこで情報収集や企業分析を行って銘柄を組み入れるのですが、その方法として「トップダウン・アプローチ」と「ボトムアップ・アプローチ」があります。
トップダウン・アプローチ
「トップダウン・アプローチ」は、経済のマクロ(巨視的)な視点で分析してから、順にミクロ(微視的)な視点で分析して銘柄を絞ることで選定する方法です、
簡単に説明すると経済成長率や経済(為替・金利など)の動向の見通しを立てて、「国→業種→銘柄」と選択肢を絞っていきます。
ボトムアップ・アプローチ
「ボトムアップ・アプローチ」は「トップダウン・アプローチ」とは対照的に、ミクロ(微視的)な視点で企業を分析・調査して有望銘柄を選定して集める方法です、
有望銘柄の選定方法には「バリュー型」「グロース型」の2つの方法があります。
・バリュー型
「バリュー型」は、財務分析を行うことで価値が株価よりも高い銘柄(割安な銘柄)を選定していく方法で、その運用方法をバリュー運用といいます。
バリュー運用は割安と判断した銘柄で運用するため、値下がりするリスクは小さいでしょう。
可能性は少ないですが、うまくいけば大きな株価上昇が見込めるのが魅力です。
・グロース型
「グロース型」は、業績予測を行うことで、将来的な成長が見込める銘柄を選定していく方法で、その運用方法をグロース運用といいます。
もうすでに市場で評価されているものもあるため、見通しを間違えると大きく値下がりするリスクもあります。
その一方で安定したリターンが期待できるのが魅力です。
⑤投資信託(投信)の販売方法
公募
公募で販売される投資信託は、多数の投資家に購入してもらうことを目的としています。
一般的な投資信託は公募によって販売されているものです。
投資信託の販売方法として「追加型」と「単位型」のものがあります。
追加型
「追加型」の投資信託は、いつでも購入可能なものです。
運用開始前は申込価額での購入となり、運用開始後は基準価額(投資信託の価値)での購入となります。
単位型
「単位型」の投資信託は、募集期間中のみ購入可能なものです。
運用開始前の募集期間に申込価額での購入となります。
私募
私募で販売される投資信託は、特定の投資家や機関投資家に購入してもらうことを目的としています。
公募の投資信託に比べて運用に関する法的なルールが緩いという特徴があるため、コストを抑えたリターンが期待できる運用ができます。
個人であれば大きな資金を持つプロの投資家が対象となるので、始める際の資金面の敷居は高いといえるでしょう。
⑥投資信託(投信)の分配方法
受取型
分配金受取型は、分配金を受け取れる投資信託で「毎月受取型」「毎月決算型」などと表記されています。
定期的に分配金を受け取れることは必ずしも良いわけではありません。
分配金を受け取れる仕組みを説明すると、投資信託の基準価額(価値)の数%を切り崩すことで分配金を捻出しています。
もちろん投資信託の運用成績が良ければ基準価額を切り崩す分は減りますが、全体としては減っていきます。
つまり信託財産そのものが減っているので運用損益もおのずと小さくなります。
分配金は「お金を定期的にもらえる」という認識ではなく、「元本を切り崩している」という認識を持った方がいいでしょう。
再投資型
分配金再投資型は、分配金を再投資する投資信託で「累積投資型」と表記することもあります。
主に公社債投資信託に見られる分配方法で、手数料無料で再分配を行うことができ、効率的な運用が可能となっています。
注意する点は、利益を再投資する度に利益に税金がかかることです。
損益通算が可能な運用を行っている場合はほとんど問題ありませんが、投資信託のみの場合は無分配型を検討してみるのもいいでしょう。
無分配型
無分配型は、分配金がない投資信託です。
主に長期的な投資を行う投資信託に見られる分配方法で、分配金はファンドに留保されるため、運用が順調であれば基準価額が上がっていく仕組みになっています。
解約時に留保した分配金を得れるため、税制面ではメリットが大きいといえるでしょう、
⑦投資信託(投信)の換金方法
オープンエンド型
「オープンエンド型」はファンドがいつでも換金可能な投資信託のことです。
投資家が換金するということは、請求に応じて資産を取り崩すことができるということです。
このような投資信託を換金する場合は基準価額から計算し、解約手続きを行います。
クローズドエンド型
「クローズドエンド型」はファンドが換金に応じない投資信託のことです。
応じないということは、ファンドが資産を取り崩すことができないということです。
換金を希望する場合は、取引所などを通じて他の投資家に売却することによってのみ可能となります。
つまり、クローズドエンド型の投資信託は、上場投資信託などが対象になります。
まとめ
今回は投資信託の種類として、7つの分類方法についてご紹介しました。
投資信託の分類方法を理解することで、どんな投資信託を選べばいいのかイメージできたと思います。
これらの分類は投資信託を選ぶ際の1つの指標にはなりますが、結局何を選べばいいのかよくわからなくなってしまった方もいるのではないでしょうか。
種類で絞って投資信託を選ぶのも良いですが、タイプ別のおすすめ投資信託も次の記事で紹介しています。
ぜひそちらもご覧下さい。