少額投資は意味がない?リターンを期待できるおすすめのやり方を紹介

複数のメリットがあるため少額投資には意味があります

「少額投資は意味がない」と言われることがあります。短期の成果だけを見れば価値がないと感じる方もいるかもしれません。しかし、投資は長期で続けるほど効果が積み上がることが期待できるため、少額でも計画的に続ければ資産形成に役立ちます。

本記事では、少額投資が意味ないと言われる理由を整理し、リターンを期待できるおすすめのやり方を紹介します。これから投資を始めたい人にとって実践しやすい内容です。

目次

少額投資は意味がないと言われる理由

少額投資は意味がないと言われる理由は以下のとおりです。

  • 資産がほとんど増えない
  • 目標額が大きいと少額では届かない
  • 短期的なリターンで評価している
  • 元本割れのリスクが避けられない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

資産がほとんど増えない

投資は元本が大きいほど資産が増えやすく、元本が少ないほど資産の変化を実感しにくい傾向があります。少額投資では短期的には資産がほとんど増えないため、成果を実感しづらいでしょう。例えば、500万円を投資して10%値上がりした場合は、資産が50万円増えることになります。一方で、5,000円を投資した場合の増加額は500円です。

すでに投資を始めている人は、ある程度まとまった金額を運用するメリットを理解しています。そのため、自身の投資成果と比較した時に、少額投資は物足りなさを感じることがあり、意味がないと発言する場合があるでしょう。初心者でも短期的に増える金額が少ないことから、心理的に満足しづらいことが考えられます。

目標額が大きいと少額では届かない

投資をはじめたいと考えている人のなかには、短期間で資産を1,000万円に増やすなど、高い目標を設定している場合があります。少額投資では、利益を得られても目標額と比較すると資産の増加額がわずかに感じられるため、意味がないと思い込んでしまうかもしれません。

しかし、少額投資であっても、投資期間と投資方法によっては、1,000万円の資産を形成できます。そのため、目標額が大きくても長期を前提に運用できるなら、少額投資でも達成できる可能性はあるでしょう。

短期的なリターンで評価している

少額投資に意味がないと言う人は、投資を短期的なリターンで評価している傾向にあります。少額投資は日々の資産の増減額が小さいため、短期では成果を上げられません。短期の結果のみで判断するなら、少額投資に価値を見いだすことは難しいでしょう。

しかし、短期投資は資産を大きく増やせる一方で、損失が発生すると資産を大きく減らしてしまうリスクがあります。そのため、投資のリスクを抑えるなら、時間をかけて長期的に資産を育てる必要があるでしょう。長期的なリターンで評価するなら、少額投資は成果を上げられる投資方法です。

元本割れのリスクが避けられない

少額投資は元本が少ないため、リターンが伸びにくい傾向にあります。しかし、元本割れのリスクは、投資額の大小に関係なく発生します。よって、わずかな利益に対してリスクを取る価値がないことから、意味がないと感じる人もいることでしょう。

少額投資であっても、継続的に投資を続けることで元本が増加します。最初は増える金額が少なくても、続けることで大きなリターンが期待できるようになるでしょう。また、長期的な積立投資により、元本割れのリスクを抑える効果も期待できます

少額投資のメリット

少額投資には短期的なリターンでは計れない複数のメリットがあります。それぞれのメリットを以下にまとめました。

それぞれ詳しく解説します。

  • 初心者もリスクを抑えて始められる
  • 無理のない金額で投資を続けられる
  • 複利効果で少額でも長期で大きな成果を生む

初心者もリスクを抑えて始められる

投資初心者にとって、少額投資は実践しながら学びを両立できる方法です。投資に慣れていなければ、相場の変動に対して不安を覚えることが多く、投資対象の値下がりに動揺する人も少なくないでしょう。精神的な負担から焦って売却して大きな損失が発生すれば、投資をやめてしまうかもしれません。

少額投資は元本が少ないため、値下がりしても損失を抑えられることから、精神的な負担はほとんどありません。実際の市場の動きに触れながら、値動きの仕組みや投資商品の特徴を実践的に学ぶことができます

無理のない金額で投資を続けられる

少額の積立投資は無理のない金額で開始し、継続できる方法です。仮に毎月1万円以上の金額を出せなくても、長く続ければ確実に資産は積み上がります。生活費や貯金を圧迫しないため、家計に負担をかけずに続けられるでしょう。

投資期間の長さは成果に大きく影響するため、無理なく継続できることが重要です。継続すれば少額投資であっても成果につながるため、自分のペースで投資ができる少額投資は、十分な収入と貯蓄がない人にもおすすめです。

複利効果で少額でも長期で大きな成果を生む

少額投資でも長期であれば利益を出せる理由は、複利の効果が働くためです。複利とは、増えた利益を元本に組み込んで再び運用する仕組みです。毎年の利益が積み上がれば、翌年以降の元本として働くため、利益が利益をさらに生む好循環が続くでしょう。

少額投資は利益の増え方が最初は緩やかですが、長期的に継続するほど複利の力により、利益が増えるスピードが上昇する傾向にあります。元本と利益を積み重ねることで、最終的に大きな成果を期待できるようになります。

少額投資のデメリット

一方で、少額投資には以下のデメリットもあります。

  • 投資できる対象が限られる
  • 手数料が割高になる可能性がある
  • 分散投資が難しい場合がある

少額投資で安定した成果を期待するには、投資対象の選び方が重要になります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

投資できる対象が限られる

投資対象には投資の最小単位を示す最低投資額があるため、極端に少ない投資額では投資できる対象が限られるデメリットがあります。

例えば日本の株式に投資する場合、原則として1単元(100株)で取引します。購入するには「株価 × 100」の資金が必要です。予算が10万円以下の場合、株価が1,000円以下の銘柄が主な対象となり、投資対象の選択肢はせまくなるでしょう。

そのため、投資戦略の選択肢が少なくなることは避けられません。少額投資は投資対象が限定されることから、魅力的な投資先に投資できない可能性があります

手数料が割高になる可能性がある

少額投資では、投資額に対して投資商品で発生する手数料の割合が大きくなる場合があります。例えば、10万円の利益に対して100円の手数料がかかるのであれば、手数料は利益の0.1%にあたるため、問題はないでしょう。

しかし、手数料が一定額に定められている場合は、1,000円の利益に対して100円の手数料がかかることになり、利益の10%が手数料として差し引かれる計算になります。

投資対象によっては、投資額が小さいほど手数料が割高になるケースがあります。高い手数料は最終的なリターンにも影響するでしょう。

分散投資が難しい場合がある

少ない投資額は、投資対象の分散を難しくする問題があります。投資では分散が重要であり、株式・債券・不動産・保険商品などの複数の投資先に分けることが基本です。

少額投資は選べる商品が限られるうえに、特定の資産にかたよりやすく、分散が難しくなることも。結果として、投資している特定の資産の値下がりの影響を受けやすくなります

少額投資を成功させるためのポイント

少額投資を成功させるためには、以下のポイントを意識する必要があります。

  • 割合で差し引く手数料の形式を選ぶ
  • 少額でも分散投資できる投資対象を選ぶ
  • 短期的な値動きに左右されずに続ける
  • 定期的に投資額を見直す
  • 余剰資金の範囲内で投資を継続する

それぞれ詳しく解説します。

割合で差し引く手数料の形式を選ぶ

少額投資では、投資額が小さいほど手数料がリターンに与える影響が大きくなります。そのため、できる限り低コストの商品を選ぶことが重要です。低コストの商品なら、手数料が差し引かれても利益の減りが少ないため、少額でも成果を上げやすくなるでしょう。

少額投資の手数料で重視したいことは、投資額の割合で差し引く形式を選ぶことです。例えば、5,000円の投資で一律で500円かかる固定の手数料と比較して、投資額の0.1%を差し引く割合の手数料であれば、支払額は5円になるため割安になります。

少額投資に限らず、投資では手数料の安さにこだわって商品を選ぶことは重要です。しかし、手数料の影響が大きい少額投資の場合は、通常の投資と比較しても手数料の形式が重要になるでしょう。

少額でも分散投資できる投資対象を選ぶ

少額投資は資金が限られているため、複数の商品に分散した投資が難しいです。そのため、少額でも分散投資ができる投資対象を選ぶことが重要になるでしょう。少額から投資できる代表的な金融商品には投資信託があります。

投資信託を購入すれば、少額投資でも複数の投資対象に自動的に分散投資できる仕組みです。投資先の分散が難しい少額投資では、一つの商品で分散投資ができることが前提になります。そのため、投資資金が少ないほど、投資信託以外の選択肢を取ることは難しいでしょう。

短期的な値動きに左右されずに続ける

少額投資は長期を前提にしなければリターンを期待できません。短期的な値動きに反応すると、不安や焦りから売却をしてしまうケースや積立をやめてしまうことも。相場は日々上下し、数カ月単位でも大きく揺れ動くことがありますが、短期の変動は長期的な成長のなかでは、一時的な揺らぎに過ぎません。

そのため、多少の上下があっても継続する姿勢が重要です。短期的な値動きに左右されずに長期的な視点で資産を育てるようにしましょう。

定期的に投資額を見直す

当初は収入や貯蓄に余裕がなく投資額が少ない状態にあっても、生活環境の変化にあわせて投資額を見直すことはリターンを高めることにつながります。収入が増えて余裕ができた場合は、毎月の投資額を見直して、より大きな金額を投資するようにしましょう。

若い世代であるほど今は余裕がなくても、将来的に収入の増加が期待できるため、積立額は必ずしも最初の金額に固定せず、定期的に調整しましょう。投資に対する目標金額が高い人ほど、余裕ができた際に投資額を見直すことが目標を達成できる確率を高めます。

余剰資金の範囲内で投資を継続する

少額投資でもできる限り投資額を増やすほうが大きな成果を期待できます。しかし、金額を増やすほど継続できない可能性も高まるため、無理なく投資できる金額に設定するようにしましょう。

投資額が生活費を圧迫せず、突発的な出費にも対応できる貯蓄を残した、余剰資金の範囲内でおこなうことが望ましいです。少額投資では、投資額を見直してリターンを高めることも重要ですが、それ以上に継続することが大事です。

少額投資のおすすめのやり方

少額投資のおすすめのやり方を3つ紹介します。

  • 少額投資に適した投資信託を選ぶ
  • NISA・iDeCoなどの節税制度を活用する
  • ドルコスト平均法で投資する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

少額投資に適した投資信託を選ぶ

投資初心者が少額投資を始めるなら、投資信託がおすすめです。商品によっては100円から投資可能であるため、少額投資に適しています。投資信託は資産運用のプロが管理しており、多くの企業の株式や債券にまとめて投資できるため、分散投資もできるでしょう。

継続して投資する人が多いことから、自動積立を設定できる証券会社・銀行が数多く存在します。積立設定をすれば自動で投資信託を購入できるため、手間をかけずに続けられるでしょう。こうした点から、投資信託は少額投資に最適な選択肢として支持されています。

NISA・iDeCoなどの節税制度を活用する

投資の利益には手数料だけでなく、税金がかかります。株や投資信託の場合、約20%の税金が課されるため、1,000円の利益を得ても手元には800円ほどしか残りません。しかし、NISAやiDeCoなどの節税制度を活用すれば、投資の利益にかかる税金が非課税になります。

NISAは個人投資家のための税制優遇制度、iDeCoは老後の資金を資産形成で準備するための制度です。以下に2つの制度の内容をまとめました。

NISAiDeCo
投資できる商品株式、投資信託など投資信託、保険商品など
年間の投資上限成長投資枠:240万円
つみたて投資枠:120万円
240,000円~816,000円
非課税保有限度額1,800万円なし
引き出しいつでも引き出せる60歳まで引き出せない

NISAは投資上限の範囲内の投資では税金がかからないため、投資上限を上回りにくい少額投資では全額が非課税の対象になりやすいです。iDeCoは投資の利益だけでなく、投資資金として拠出した金額がすべて所得控除の対象になります。

iDeCoは60歳まで資産を引き出せないため、老後の資産形成以外の目的で使用できません。それぞれ違いがあるため、制度の内容を理解したうえでどちらを選ぶべきか考えるようにしましょう。

ドルコスト平均法で投資する

少額投資の投資手法は、ドルコスト平均法をおすすめします。ドルコスト平均法は、毎月決まった投資対象に一定額の投資を続ける方法です。価格が高い時には少なく、安い時には多く買う調整が働くため、価格変動のリスクを緩和できるようになります。

投資初心者にとって難しいことは、相場の値動きを読むことです。ドルコスト平均法では購入のタイミングを相場にあわせて考える必要がなく、一定の成果を期待できます。長期投資で安定した成果を狙いやすい投資手法であり、継続して成果を出す少額投資との相性もいいでしょう。

少額投資の利益をシミュレーション

少額投資の利益を実際にシミュレーションしていきましょう。ドルコスト平均法で継続して積立投資する場合、毎月の投資額が1,000円・5,000円・10,000円の時に期待できる利益を以下にまとめました。

月1,000円で始める

月1,000円から投資を始めた場合、想定される年間利回りが3%・5%・8%の場合に分けて到達する金額を以下にまとめました。

投資総額利回り3%利回り5%利回り8%
5年60,000円64,647円68,006円73,477円
10年120,000円139,741円155,282円182,946円
15年180,000円226,973円267,289円346,038円
20年240,000円328,302円411,034円589,020円
25年300,000円446,008円595,510円951,026円
30年360,000円582,737円832,259円1,490,359円
35年420,000円741,564円1,136,092円2,293,882円
40年480,000円926,060円1,526,020円3,491,008円

月1,000円の投資から開始して、10年が経過すると資産が約14万円~約18万円に増える結果となりました。40年後には投資する商品にもよりますが、資産が100万円以上に増えることが期待できます。毎月1,000円の少額投資でも長期的に継続すれば、一定の成果を上げられることがわかるでしょう。

月5,000円で始める

月5,000円で始めるケースでも同様の条件で以下に金額をまとめました。

投資総額利回り3%利回り5%利回り8%
5年300,000円323,234円340,030円367,384円
10年600,000円698,707円776,411円914,730円
15年900,000円1,134,863円1,336,445円1,730,191円
20年1,200,000円1,641,610円2,055,168円2,945,102円
25年1,500,000円2,230,039円2,977,549円4,755,132円
30年1,800,000円2,913,684円4,161,293円7,451,797円
35年2,100,000円3,707,818円5,680,462円11,469,412円
40年2,400,000円4,630,298円7,630,101円17,455,039円

月5,000円の投資では、15年を経過すると資産が100万円に到達します。40年後には高利回りが期待できる投資対象であれば、資産が1,000万円を超えることも。20年以内に100万円を用意する目標で投資を始めるなら、適切な投資額と考えられるでしょう。

月10,000円で始める

最後に、月10,000円で投資を始めるケースを上記と同様にまとめました。

投資総額利回り3%利回り5%利回り8%
5年600,000円646,467円680,061円734,769円
10年1,200,000円1,397,414円1,552,823円1,829,460円
15年1,800,000円2,269,727円2,672,889円3,460,382円
20年2,400,000円3,283,020円4,110,337円5,890,204円
25年3,000,000円4,460,078円5,955,097円9,510,264円
30年3,600,000円5,827,369円8,322,586円14,903,594円
35年4,200,000円7,415,637円11,360,924円22,938,825円
40年4,800,000円9,260,595円15,260,202円34,910,078円

月1万円の投資では、10年目の時点で資産が100万円に到達します。年間利回り8%が期待できる高リターンの商品であれば、30年目に1,000万円、40年目に3,000万円に到達する可能性もあるでしょう。

投資の目標が資産1,000万円以上であり、月1万円しか投資できない場合でも、長期的に継続できれば十分に達成できることがわかります。

少額投資に向いている人の特徴

最後に、少額投資に向いている人の特徴を以下にまとめました。

  • 投資経験を積みたい初心者
  • 長期目線で続けられる
  • できる限りリスクを抑えたい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

投資経験を積みたい初心者

投資経験を積みたい初心者にとって、少額投資は最適なスタート方法です。最初から大きな金額を投じる必要がなく、失敗しても損失が限定的なため、安心して実践できます。小さな負担で投資の習慣を身につけられるでしょう。

相場の上下に一喜一憂せず客観的に判断できるようになれば、より大きな資金を投資する場合も冷静に対応できるようになります。最終的に投資で大きなリターンを得たいと考えている人は、少額投資で投資経験を積みながら学びましょう。

長期目線で続けられる

少額投資は短期で大きな成果を得られる方法ではありません。結果を出すには、時間をかけて資産を育てる必要があります。そのため、長期的な目線で地道に投資を続けられる人に向いています。

少額の積立投資では、継続が成果を左右するため、長く続けることが必要不可欠です。そのため、短期的なリターンにとらわれず、長期的な成果を追求できることが重要になります。

できる限りリスクを抑えたい

リスクを抑えたい人にとって、少額投資は適した方法です。1,000万円を投資して10%の価格変動があった場合、上昇であれば100万円の利益を獲得できますが、下落であれば100万円の損失が発生します。一方で、10,000円を投資する場合、10%の価格変動では1,000円しか動きません。

また、ドルコスト平均法による積立投資は購入価格を自動的に平均化する投資手法であるため、購入のタイミングによる高値掴みのリスクを防いでくれます。そのため、少額投資は総合的にリスクを抑えられる投資方法です。

まとめ

少額投資は意味がないと言われる理由の多くが、短期的な成果のみを判断した意見です。
初心者もリスクを抑えて投資を始めやすく、継続しやすいことは短期的な成果だけでは計れない大きなメリットになります。

長期的な目線で投資すれば、少額でも大きな成果を出すことが可能です。少額投資では時間を味方につけることがリターンを上げるために必要になります。しかし、誤った投資先に投資すると、時間を無駄にしたうえでリターンが得られないかもしれません。

当社では、資産運用に関する総合的なアドバイスをしており、具体的におすすめである投資先の紹介もおこなっています。少額投資を通して資産運用を学びたい方は、当社までお問い合わせください。

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