「資産運用」と聞くと、資産運用入門者の方にとっては「リスクが大きくて難しい…」というイメージがあるかもしれませんが、株式投資やFX等のハイリスクハイリターンな金融商品だけが資産運用商品ではありません。
現在では様々な形の金融商品が存在しています。リスクやリターンの大きさを加味して自分に合った商品や運用方法をしっかりと選ぶことが重要です。
今回は資産運用入門者が資産運用をマスターできるように、基本事項からオススメ商品までを徹底解説していきます。
入門者でもわかる資産運用
資産運用とは?
資産運用とは、自分が持っている資産(現金、不動産、株、債券等)を管理、運用し、リターンや資産を増やすことです。資産を増やすという意味では、定期預金や保険も資産運用の一つであると言えます。
注意しないといけないのが、資産運用には大きさは異なりますが、リスクが付き物だということです。
定期預金に関しても、もしも自分が預金を預けている銀行が潰れてしまうと、預金金額によっては満額が返金されない可能性があります。
資産運用の種類には後述しますが、株式投資やFX、投資資金をプロが代わりに運用してくれる投資信託というもの、国債・地方債といった国・自治体が発行する債券等があります。
資産運用をオススメする理由
将来のための資産形成ができる
病気による治療費や介護費・老人ホームへの入居、家のリフォーム等、今後のライフイベントに備えて資産形成をする費用は金額が大きく、貯金だけでは目標金額を達成するのは難しいでしょう。
一方資産運用は年に数%の利率で、長期的に資産を増やすことが可能な為、将来的には目標金額を達成することができる可能性が高くなります。
家計の見直しをすることができる
短期間で収入を一気に増やすことは難しいですが、出ていくお金をコントロールすることはできます。この行いが資産形成の第一歩になります。
家計の見直しは、現在使っているお金の流れを理解する上でとても重要です。
資産運用を行うことで、保険やローンの仕組みを理解することができ、それが支出の削減にも繋がるのです。まずは家計の見直しから始めてみましょう。
お金を増やす貯蓄と投資の違い
貯蓄について
貯蓄とは、定期預金や積立預金のことです。
- 預金で確実に貯められる
- 安全で元本が割れることがない
- 増え方は緩やか
という特徴があります。確実で安全ではありますが、貯蓄だけでは実質的にお金を増やすことは難しいと言えます。その理由として
- 低水準の預金金利 0.001%
- 税金や社会保険の増加 消費税増税等
- 物価の上昇(インフレ)
が挙げられます。先述した通り、貯金だけではお金はほぼ増えません。
近年では、銀行の預貯金の金利額は0.001%と驚くほど低いのです。3000万円預け入れたとしても、金利分はたったの3万円しか付きません。
もはや銀行への預貯金は、大金を預け入れてもほとんど増えることはないのです。
また、税金や社会保険の増加、物価上昇によって今手元にある現金の価値が一年後同じ価値である保証はないと言えます。
投資
次に投資とは、株や投資信託等のことで、
- 貯める以上に増やす
- 元本割れのリスク有
- 大きく増える可能性有
といった特徴があります。こちらは、先述した貯蓄とは違い、リスクは商品によって大小ありますが、資産を大きく増やすことができる可能性も高いのです。
しかし、現在の貯蓄を全て投資に回すのが良いわけではありません。
貯蓄の内訳を、生活費、将来使う予定のお金、当分使う予定がないお金の3つに分けたとすると、使う予定が当分ないお金の部分、つまり余剰資金を投資に回すのが賢明な方法と言えます。
資産運用の始め方
では実際に資産運用を始めるには何をすればよいのでしょうか。一番最初は以下の3つを実践してみましょう。
ではそれらについて詳しく解説していきます。
余裕資産の準備
目標を立てる
セミナーなどに参加する
余裕資産の準備
先述した通り、資産運用を行うためには余剰資金が必要です。
しかし、必ずしも多額の余剰資金を用意しなければならないわけではありません。少額から始めることができるものもあれば、多額の金額が必要なものもあります。
つまり、資産運用を行う方法、金融商品の種類によって金額は変わってくるのです。
自分の貯蓄状況を把握し、余裕をもって投資することができる資金を準備しましょう。
目標を立てる
将来のための資産を増やすためには、しっかりとした目標設定が重要になります。まずは、何歳までにいくら貯めたいのかを考えてみましょう。
資産運用や投資の方法はいくつもありますが、この期間と金額の目標を決めることで月々いくらお金を貯める必要があるのか、がわかります。
また、後述する投資対象の選定においても商品ごとにリスクをリターンの割合が異なるため目標額によって、投資対象が変わってくるのです。
セミナーなどに参加する
資産運用や投資を行う上で重要なのが「情報収集」です。知識が乏しいまま始めてしまうと、挫折してしまうこともあるかもしれません。そこでオススメしているのが資産運用や投資に関するセミナーです。
セミナーには様々な種類があり、特に女性向けセミナーも充実しています。
セミナーに参加するメリットとしては、講師や、同じ思いを持っている参加者に会えることです。
本やインターネットで勉強するのもよいですが、セミナーでは直接講師にノウハウを教えてもらえ、疑問や不安点があればその場で質問することができます。
また、他の参加者とも知り合うことができるので、参加者同士で情報交換することもできます。
そうすることでより効率的で賢い資産運用が可能になるでしょう。
資産運用入門者向けのオススメ商品5選!
それでは以下のオススメの資産運用商品を1つずつ紹介していきます。
これを読んで是非自分に合った商品や運用方法を見つけてくださいね。
投資信託
不動産
株式投資
貯蓄型保険
海外投資
リスクとリターンから見る選び方
まずはコチラの表を見てください。これから紹介する金融商品をリスクとリターンの表にまとめたものです。
後述しますが、リスクが低く、リターンが高い金融商品は存在しません。
また、リスクが高くリターンが低い金融商品は詐欺的商品の可能性もあります。
投資信託
期間をかけて堅実に資産を増やしていきたい方は長期積立型の少額投資信託をオススメします。
株などの投資と違い、大きく損をすることなどはあまりなく中長期でお金を積み立てていきます。
投資信託を購入すると、専門化があなたの代わりに投資・運用をしてくれます。
「運用をプロに任せるから高いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、販売手数料、継続運用費用ができるだけかからない投資信託を選ぶと、元手+αで払うお金は少なくて済みます。
投資信託の流れは以下の図の通りです。投資信託のメリットは
- 専門化が代わりに運用してくれる
- 分配投資も可能
- 少額から投資が可能(1000円~)
デメリットは
- 価格変動により元本割れのリスク有
- 手数料が高い場合も(1~3%、購入手数料、信託報酬等)
などが挙げられます。
不動産
不動産投資には、自分で不動産を購入する「直接投資」と、不動産ファンドに投資をする「間接投資」の2つがあります。
直接投資は間接投資と比べると手間がかかり、リスクも大きいですが、間接投資よりもリターンは大きいです。
間接投資の場合、一口100万円から投資することが可能なので、不動産を購入するだけの資金が用意できなくても、不動産投資を行うことができます。
不動産投資は株やFXなどに比べリスクが少なく、リターンも比較的高いので安全性の高い商品と言えるでしょう。
不動産投資の流れは以下の通りです。
不動産投資の主なメリットは
- 長期安定収入が得られる
- 不動産価格の上昇による売却益も狙える
デメリットは
- 空室リスクあり
- 不動産価格の下落リスク
- 金利変動リスク(ローンで変動金利選択時)
などが挙げられます。
株式投資
株式投資は、証券会社を通じ、会社の株式の売買を行う投資手段です。
リサーチの手間はかかりますが、「資産運用や投資をしている」という実感がわきやすく、その行動自体を楽しむことができます。
ただ、株価は毎日変動し、上がることもあれば下がることもあります。つまり、得をすることも損をすることもあるということです。
投資としてはシンプルなので、比較的誰でも気軽に行うことができます。
また、株主優待などもあるので、自分が普段サービスを利用している会社や、よく買い物をする会社を選んでみることをオススメします。
しかし、株価の値上がりを予測するのは困難な為、ずっと利益を出し続けるのは難しいといえるでしょう。
株式投資の流れは以下の図の通りです。
株主投資の主なメリットは
- 配当金や株主優待券がもらえる
- 値上がりを狙って短期売買で高い収益性アリ
デメリットは
- 値下がりで損失を負うことも
- 発行者の破綻で資産を全て失うことも
などが挙げられます。
貯蓄型保険
最近話題になっているのが、「保険」を使った資産運用です。リスクがとても少なく、安全な保険で資産運用を行うのが注目されています。
銀行預金のように貯蓄もでき、もしもの時に補償を得られます。また、多くの保険会社が資産運用を行うのに良い商品を販売しているのです。
特にオススメなのが「貯蓄型保険」です。
貯蓄型保険とは、学資保険や終身保険、年金保険のことを言い、これらには補償や満期日があります。このような保険で長期的に資産運用を行うことで、年率5%~10%の利回りを得ることができます。
貯蓄型保険の主なメリットは
- 満期保証金か解約返戻金を受け取れる
- 保険料が掛け捨てにならない
デメリットは
- 保険料が掛け捨て型と比べて比較的高い
などが挙げられます。
海外投資
今はインターネットを利用すれば、日本に居ながら海外の銀行や証券会社の口座を管理することができる時代になりました。
「海外投資」と聞くと、難しそうな印象を受けるかもしれませんが、海外には魅力的な金融商品が数多く販売されています。
海外の銀行では元本保証の投資信託が販売されているので、現地通貨建てですが元本割れのリスクなしで、手軽に投資信託を購入することができます。
また、外国の銀行でも日本円の預金口座がある場合があり、為替変動のリスクを回避することも可能です。
海外投資の流れは以下の通りです。(海外の株式、債券に投資する場合)
海外投資の主なメリットは
- 金利が高い
- 為替差益の時期
デメリットは
- 為替変動リスクアリ
- 流動性リスクアリ
などが挙げられます。
資産運用で海外投資をおこなう方法について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください
資産運用で海外投資を行う5つの方法と3つのメリットを解説します!
資産運用を始める際のポイント
資産運用を始める際のポイントについても押さえておきましょう。
以下のことは資産運用においてとても重要です。知らなければ損をする可能性もありますが、知っておけば自分の資産運用に活用することができるのです。
長期投資の重要性を理解
経済の動きを知る
リスク管理を学ぶ
長期投資の重要性を理解
資産運用には長期運用がオススメです。長期運用とは、成長性が高い金融商品に投資をして長期間保有しながら資産を増やしていく方法です。
短期間で金融商品を売買し、資産を増やす方法もありますが、初心者には難しい方法でしょう。知識が必要なのはもちろん、売買のタイミングを見落とさないためにパソコンやスマホから離れずに作業をしなければなりません。
また、リスクが高くなるのも避けられません。資産運用入門者には長期運用をオススメします。
経済の動きを知る
資産運用を行う上で経済の動きは非常に重要です。経済動向の知識や情報を得ることで、自分の資産運用が有利に働く場合があるからです。
近年ではスマホ等でいつでもどこでも手軽に経済ニュースを見たり読んだりすることができるのでスキマ時間を使って経済の動きを知りましょう。
リスク管理を学ぶ
金融商品にはリスクが存在します。株式の場合、会社が倒産してしまうとただの紙屑になったり、会社の不祥事等で株価が大きく変動することも珍しくありません。
また、外貨預金や外国株式の場合は為替変動リスクにも注意しましょう。毎日のように為替は変動しており、時には大きく変動することもあります。
様々な要因や可能性を考慮してリスク管理を行いましょう。
資産運用を行う際の注意点
最後に、資産運用の注意点について説明します。以下のことを知らないでいると損をしてしまう可能性もあります。
しかしこれらを理解しておくとより自分の利益を増やすことができたり、安定した資産運用が可能となります。
リスクとリターンは必ず比例している
元本割れと損切り
NISA口座の開設で利益を非課税にすることができる
損失が出た場合であっても損益通算ができる
では上記について説明していきます。
リスクとリターンは必ず比例している
資産運用を行う上で必ず知っておいてほしいことは、リスクとリターンは必ず比例しているということです。基本的にローリスク、ハイリターンな金融商品は存在しません。
資産運用で高いリターンを得たいと思う場合は、ハイリスクな金融商品を選ばなければならないのです。一方でリスクを避けたい場合はローリスクローリターンな金融商品を選ぶと良いです。
元本割れと損切り
元本割れとは、投資した金額よりも金融商品の価値が下がってしまうことを言います。比較的安全な資産運用をしても元本割れのリスクはあります。
経済の動きによって、突然市場の変動が大きくなる出来事が起こった場合、それまで着実に商品価値を上げていた商品も一気に元本割れしてしまうのです。
そのような時に、「時間が経てばまた価格が上がるだろう」と想定してそのままにしておくと、(塩漬け)さらに価格が下がっていくこともあります。
そのような損失を少しでも抑える為には、「損切り」と呼ばれるポイントを自分自身で設定しましょう。そうすることで、損失額を確定でき、新たな金融商品に投資ができる機会を作ることができます。
NISA口座の開設で利益を非課税にすることができる
資産運用では、節税は非常に重要な項目となってきます。そのため、利益を非課税に出来るNISA口座の開設は資産運用における節税において効果的です。
口座の開設条件は20歳以上である事で、毎年120万円の投資に対する利益が非課税になります。
NISAには20歳未満の人が利用できるジュニアNISAと長期投資がしやすいつみたてNISAがあります。
つみたてNISAはNISAが毎年120万円の非課税枠があるのに対し、非課税枠は40万円でありつみたてNISAの方が非課税枠は少ないです。
しかし、利益が非課税になる期間はNISAが5年に対して、つみたてNISAは最大で20年利益が非課税になります。
つみたてNISAは長期で積み立てた投資の利益を非課税にしたい場合はおすすめの口座なのです。NISA口座の開設は、証券会社に対して申請すれば開設することができます。
NISAとつみたてNISAについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてくださいね。
従来NISAと比較した、つみたてNISA(積立NISA)とは?いつから始まるのか?
損失が出た場合であっても損益通算ができる
資産運用で損失が発生してしまった場合、損失を申告することで節税を行うことができる場合があります。資産運用で発生した損失を翌年に繰り越すことにより、その分だけ節税が可能なのです。
具体的には、2019年に資産運用によって10万円の損失が発生し、2020年に資産運用によって60万円の利益を上げたと仮定します。
10万円の損失を申告しなければ、翌年の課税は60万円の利益に対して行われます。
しかし、損失を申告すると去年の10万円の損失を利益から差し引いた50万円が課税の対象という事になります。
ただし、損益通算は損失が発生してから3年間有効であり、4年後の利益に対しては損益通算を行う事は出来ません。
損失が発生してしまった場合も申告をする事で節税が出来るので、忘れずに申告しましょう。
まとめ
資産運用で大切なのは、しっかりとした現状把握と目標設定をし、それに見合ったリターン、リスクの資産運用方法を選択することです。
これを行うことで、資産運用入門者でも安心して資産運用を実践することができます。
また、上記のセミナー等で自分の知識を増やすことでより効率的で堅実な資産運用ができるはずです。