Premier Trust(プレミアトラスト/通称PA)は海外資産アドバンテージ地域であるイギリスのヴァージン諸島に籍を置く信託会社で、日本にいながら、元本確保でインデックス投資ができるとして日本人に人気の海外資産候補の1つです!
プレミアトラストは2021年にケイマン籍のオフィスが破綻しており、投資していた日本人も被害を被ったそうです。
この記事ではプレミアトラストの企業概要や商品情報に加え、破綻の経緯や過去の不祥事などの事実、そして現在の評判などをお伝えしていきます。
プレミアトラスト 沿革
| 2005年 | アメリカフロリダ州マイアミにてPremier Assurance設立 保険会社であるWEA社を買収し、無いか保険、歯科保険などの健康保険業を営む 「プレミアトラスト」ブランドをアメリカ国内にて販売開始 |
| 2007年 | Premier Trust設立 |
| 2010年 | イギリスのヴァージン諸島に籍を置き、Premier Assurance Groupとなる |
| 2012年 | 全世界へ「プレミアトラスト(海外資産版)」の販売を開始 ケイマンオフィス(Premier Assurance Group SPC)を設立 |
| 2017年 | Premier Assuranceが米国証券取引委員会の調査を受ける |
| 2019年 | ケイマン通貨当局がPremier Trustに対し支払い能力を維持するよう指示 保険契約者から苦情が相次ぐ |
| 2020年6月 | 保険契約の一部をケイマン籍法人からプエルトリコ籍法人へ譲渡 |
| 2020年9月 | Premier Trustが会計監査法人KPMGの管理下になる |
| 2020年11月 | 監査役であるKPMGによってグループ全体が監査を受ける |
| 2021年12月 | Premier Trust清算が完了 |
プレミアトラストが通称PAと呼ばれるのは親会社のPremier Assurance Group(以下PAグループ)に由来しています。
PAグループは、もともとGeneral Electric社の2人のITエンジニアのが設立した会社ですが、この2人が投資資金を利用して個人融資を受け、さらに利益相反していたことが米国裁判所への提出書類により判明しています。
この他、顧客からの苦情が相次ぐ等、PAグループのずさんな経営体制が明るみになり、プレミアトラスト社が清算する形で幕を閉じる運びとなります。
詳しくはケイマン籍プレミアトラストの破綻にて解説しています。
プレミアトラストは信頼できる会社なのか
プレミアトラストを含むPAグループは他の著名な信託会社のように格付機関からの格付を取得していません。その理由はPAグループ自体が運用資金の管理をしていないことにも起因しています。
資産管理は信託会社に一任
PAグループの顧客から集まった資産は、セイブルトラストという信託会社に任せています。セイブルトラストはヴァージン諸島から認可を受けており、半年に一度、ヴァージン諸島への報告義務を担っています。
ヴァージン諸島は世界的金融センターですので、そのヴァージン諸島から認められたセイブルトラストに資産運用を任せている点は高く評価できると言えます。
UBSによる運用・管理
UBSは、スイスに設立された多国籍投資銀行および金融サービス会社であるUBS Group AGのブランドです。PAグループは顧客の資産管理についてUBSと連携を行っています。
①資産管理
顧客の資産はプレミアトラストと分散管理され、セイブルトラストが持つUBSのプライベートバンク口座にて管理運用されます。
プレミアトラストは投資家の資産管理に関与していないため、たとえプレミアトラストが破綻した場合でも、投資家の資産に影響はありません。
②ファンドの提供
プレミアトラストの商品で提供されるファンドは全てUBSが選定しています。選りすぐりのファンドがラインナップされ、その数は300以上にものぼります。
この数はUBSと契約しているファンド数であり、今後も増えることが予想されます。
③証券の監査
UBSはプレミアトラストが提供する商品の運用状況を監査しています。
元本確保型商品については、満期時に定義されたパーセンテージで元本が確保され(例:元本確保140%など)、常にそれを返すことができる状況であるかを監査しています。
プレミアトラストの商品
Provest Principal Protection
プレミアトラストのメイン商品は、Provest Principal Protection(以下 プロベスト・プリンシパル・プロテクション)です。プロベスト・プリンシパル・プロテクションは「積立型&元本確保型」という構成柄、日本人に人気です。
商品概要
| 投資タイプ | インデックス型 |
| 最低積立額 | 200USドル/月 |
| 契約期間 | 15年~25年 |
| 契約可能年齢 | 18歳~80歳 |
| 契約手数料 | 5USドル/月 |
| 口座管理手数料 | 1.9%/年 |
| 信託報酬(ファンド管理費) | 2%/年 |
元本確保の割合
| 満期年数 | 元本確保の割合 |
|---|---|
| 10年満期 | 投資金額の125% |
| 15年満期 | 投資金額の140% |
| 20年満期 | 投資金額の150% |
| 25年満期 | 投資金額の160% |
契約期間中に減額・停止・一部取崩し・滞納がなければ、上記の通り既定のパーセンテージの元本を確保するという設計です。
ロイヤリティボーナス
| 経過年数 | ボーナス加算額 |
|---|---|
| 10年 | 10年間積み立てた元本の10%を加算 |
| 15年 | 5年間積み立てた元本の8%を加算 |
| 20年 | 5年間積み立てた元本の8%を加算 |
| 25年 | 5年間積み立てた元本の8%を加算 |
複数のインデックスファンドに分散投資
プロベスト・プリンシパル・プロテクションの魅力は最低益金を確保しながら、複数のインデックスに分散投資でき、より大きな利回りを狙っていけることです。
具体的には、以下の8つのインデックスファンドから通貨によって4~6種類(各最低20%選択可能)のファンドを選択するすることができます。
| インデックスファンド銘柄 | 対応通貨 |
|---|---|
| S&P 500 | USドル、ユーロ、ポンド |
| S&P Asia 50 | USドル、ユーロ、ポンド |
| EURO STOXX 50 | USドル、ユーロ、ポンド |
| MSCI ACWI IMI | USドル |
| MSCI Emerging Markets IMI | USドル、ユーロ、ポンド |
| FTSE | ポンド |
| MSCI EAFE | ユーロ |
| MSCI WORLD | ユーロ |
例えば、USドルを選択した場合は5つのファンド、ユーロを選択した場合は6つのファンドを選択することができます。
Premier Principal Protection
Premier Principal Protection(プレミア・プリンシパル・プロテクション)は、「一括型&元本確保型」という構成の商品です。契約期間中に減額・停止・一部取崩し、滞納がなければ、満期時100%の元本保証があります。
商品概要
| 投資タイプ | インデックス型 |
| 口座開設費用 | 45USドル |
| 最低拠出額 | 10,000USドル |
| 契約期間 | 5年、7年、10年 ※満期後、25年まで投資可能 |
| 契約可能年齢 | 18歳~80歳 |
| 契約手数料 | 50USドル/年 |
| 口座管理手数料 | 5年の場合、0.15%/月 7年の場合、0.14%/月 10年の場合、0.13%/月 |
| 信託報酬(ファンド管理費) | 0.125%/月 |
ロイヤリティボーナス
| 満期年数 | ボーナス加算額 |
|---|---|
| 5年 | 元本の1.5%を加算 |
| 7年 | 元本の3%を加算 |
| 10年 | 元本の5%を加算 |
ファンド選択についてはプロベスト・プリンシパル・プロテクションと同様です。細かな違いはありますが、プロベスト・プリンシパル・プロテクションの一括投資版と言っていいでしょう。
Provest Plan
Provest Plan(以下プロベスト)は300を超えるファンドの中から最大10種類(各最低10%選択可能)のファンドに積立分散投資できる商品です。
商品概要
| 投資タイプ | ユニットリンク型 |
| 最低積立額 | 200USドル/月 |
| 最低追加金額 | 10USドル |
| 最低一括追加金額 | 600USドル |
| 契約期間 | 15年~25年 |
| 契約可能年齢 | 18歳~80歳 |
| 初期口座期間 | 2年間 |
| 積立停止 | 初期口座期間終了後、可能 |
| 一部取り崩し | 100ドル単位で可能 |
| 契約手数料 | 5USドル/月 |
| 口座管理手数料 | 1~10年目:積立元本の1.9% 11年目以降:積立元本の0.75% |
| 信託報酬(ファンド管理費) | 1.5%/年 |
| 運用委託費 | 0%~2% ※IFAによる |
アロケーションボーナス
月の拠出額によって下記の通りのボーナスが加算されます。
| 拠出額 | ボーナス割合 |
|---|---|
| 200~299USドル/月 | 2%/年 |
| 300~449USドル/月 | 3%/年 |
| 450~599USドル/月 | 4%/年 |
| 600~1124USドル/月 | 5%/年 |
| 1125USドル~/月 | 6%/年 |
ロイヤリティボーナス
| 経過年数 | ボーナス加算額 |
|---|---|
| 10年 | 10年間積み立てた元本の10%を加算 |
| 15年 | 5年間積み立てた元本の7.5%を加算 |
| 20年 | 5年間積み立てた元本の7.5%を加算 |
| 25年 | 5年間積み立てた元本の7.5%を加算 |
Premier Plan
Premier Plan(以下プレミア)は300を超えるファンドの中から最大10種類(各最低10%選択可能)のファンドに一括で分散投資できる商品です。
| 投資タイプ | ユニットリンク型 |
| 口座開設費用 | 45USドル |
| 最低拠出額 | 10,000USドル |
| 契約期間 | 5年、7年、10年 ※満期後、25年まで投資可能 |
| 契約可能年齢 | 18歳~80歳 |
| 契約手数料 | 50USドル/年 |
| 口座管理手数料 | 5年の場合、0.15%/月 7年の場合、0.14%/月 10年の場合、0.13%/月 |
| 信託報酬(ファンド管理費) | 0.125%/月 |
ロイヤリティボーナス
| 満期年数 | ボーナス加算額 |
|---|---|
| 5年 | 元本の1.5%を加算 |
| 7年 | 元本の3%を加算 |
| 10年 | 元本の5%を加算 |
ケイマン籍プレミアトラストの破綻
ネット上では「プレミアトラスト 破綻」といった情報が出てきますが、その真相はどうなのか調査してみました。
きっかけはプレミアヘルス社の計画的清算
PAグループはヴァージン諸島に本籍のある会社ですが、同じくイギリス領土のケイマン諸島にもオフィスを置いていました。ケイマンオフィスでは元本確保の積立年金プラン(以下ケイマンプラン)などを提供しており、日本人投資家の契約も多数あったようです。
ケイマンにはプレミアトラストの他、兄弟会社で医療保険事業を営むプレミアヘルスがありました。プレミアトラストの破綻については、このプレミアヘルス社の計画的清算がきっかけであるという見解があります。
破綻の概ねの流れは以下の通りです。
| 2020年6月 | ケイマンプランのうち初期口座契約分(契約から2年以内)がアメリカのプエルトリコにある子会社へ移管(プエルトリコプラン) |
| 2020年9月 | ケイマン籍プレミアトラストが取締役の不祥事により会計監査法人KPMGの管理下になる |
| 2020年11月 | プレミアヘルス社が業績不採算を理由に計画的清算に入る 監査役であるKPMGによってグループ全体が監査を受け、これによってケイマン籍プレミアトラストも清算を余儀なくされる |
| 2021年5月 | 清算人がKPMGからTENSOに変更 (ケイマンプランがプエルトリコへ移管されたことについてKPMGから反論があった経緯あり) |
| 2021年12月 | ケイマンでの清算が完了 ケイマンプランの契約者へは破綻時の時価で中間配当を配分されることになったが、プエルトリコプランへ移管した契約については、中間配当は積立を再スタートさせるための元本として扱われることになる |
解約を決意した契約者も多数
2020年6月にプエルトリコへ移管できたのは時価額ゼロとみなされた初期口座分のみです。その他の契約についてはケイマンでの清算が開始されてから契約者に対し通知がされました。
契約者は今回の清算に際し、以下のいずれかの選択をする必要がありました。
- プエルトリコプランに移行し積立を継続する
- 契約を解消する
プエルトリコプランに移管する場合は破綻時の時価額を頭金にスタートさせることになり、これまでの拠出金の2/3~半分程度の額になる契約もあったそうです。また、プエルトリコプランでゼロからのスタートになるため、初期口座から積立し直しする必要がありました。
ボーナスなどのリカバリーオプションが設定されていましたが、これをきっかけに契約を解消した投資家もいらっしゃいます。
僕はこの度海外資産を利用した積立のひとつとして投資していたプレミアトラスト(PA)のPPプランを解約、清算することにしました。15年満期(140%元本確保)契約で今年で運用5年目だったので、満期まであと10年という感じで順調でした。
https://mimura.blog/investment/premirtrust-hatan/
意味わからん破綻するまでは。
破綻の直接の原因ではありませんが、ケイマン籍プレミアトラストの旧経営陣は横領などの不祥事を起こしています。このことも、投資家に損切させるきっかけになったようです。
なお、ケイマンプランの破綻により解約することになった投資家の方が2023年になってやっと1回目の解約返戻金手続きに進んだ旨の投稿をしていました。
プレミアトラストからM1スペシャルティへ
この件で破綻したのはケイマン籍のプレミアトラストのみで、ヴァージン諸島のプレミアトラストは変わらず運営しています。
そして、プエルトリコプランはM1スペシャルティに名称変更してサービスを継続しています。しかし、M1スペシャルティのサイト上には、プレミアトラストとの関連は一切記載されていません。

プレミアトラストの評判・口コミは?
プレミアトラストの口コミや評判を調査してみました!
ポジティブな口コミ
プレミアトラストでは世界中のインデックスを利用できることでS&P500だけでなく、世界中に分散しながら、元本確保をしながら、より高い運用利回りを狙えるところは大きなポイントです。
https://1stpenguin.info/premier-trust_ita/
プレミア・トラスト(Premier Trust)社の商品では、PAグループ傘下のリンクペイ社(LyncPay)が、投資家であるあなたへのレポーティングや管理の機能を担っています。
https://midas-minds.com/premier-trust-principal-protection/#2_Premier_Trust7
上記の機能はすべてオンライン化されていますので、手続きのために海外に渡航したりする必要はありません。
ネガティブな口コミ
株式投資などと比較すると手数料が高くなるため、自分で運用できてしまう人にとってはメリットを感じにくくなります。
https://www.investorside.org/premier-trust/
彼ら(旧経営陣)は間抜けだった。本当に間抜けだった。お客さんの首を絞め、それ以上に自分たちの首を絞めた。 海外資産を利用した投資業界におけるIFAと投資家たちからの信頼を失ってしまった。
https://kaigaihoken-kenkyu.com/actual-circumstances/
口コミまとめ
調査してみると、渡航の必要がなくオンラインで海外資産を利用した投資ができる、世界中のインデックスファンドに投資できる点を評価しているコメントが見られます。
しかしながら、手数料がやや高めに設定されているという意見や、先の不祥事で企業としての信用力を問う声もあります。加えて、ケイマンプランが破綻したことにより、ネット上ではネガティブな意見が目立つようになりました。
投資先を選定する際に「信用力」は最も重視されるべき事項です。不祥事や破綻といったインシデントがあった企業を投資先候補として据えて良いのか、疑問が残ると言わざるを得ません。
まとめ
プレミアトラストがオンラインで契約可能な点を評価する声もあり、商品や投資の仕組みも一見すると充実した良いものに見えます。
しかしながら、破綻によって投資家の資産を半分ほど減らした過去があり、現在も全額返金には至ってません。また、破綻前には米国証券取引委員会の調査によって、旧経営陣が顧客の資産を横領し、その利益を隠ぺいしたことが明らかになっています。当時の経営陣は既に解雇されていますが、そのようなずさんな経営を許してしまう企業への不信感は拭えません。
商品自体がどんなに良いものに思えたとしても、信用できないところへ投資してはいけません。海外資産を利用した投資もインデックス投資も、たくさんの選択肢がありますので、他の企業を検討することをおススメします。
プレミアトラストについてのお問い合わせはINVEEKまでお気軽にお寄せください。

