EXIA合同会社(以下総称エクシア)は、代表社員の菊池翔(きくち かける)らによって設立された投資会社で、本体であるEXIA合同会社と子会社のエクシア・アセット・マネジメント株式会社などからなるグループ企業です。
社員権の販売を名目に出資金を募っていましたが、2022年には子会社が業務停止命令を受けるなど、事業は事実上破綻していたと思われ、エクシアおよびその幹部らに対し、全国で出資者からの返金要求の訴訟が多発しています。
エクシアは事業再生できるのか、また出資者からの返金要求に応じるのでしょうか。この記事ではエクシアの企業概要、詐欺手口、ネット上の評価や口コミを紹介していきます!
エクシア沿革(台頭から業務停止まで)
2007年 | エクシア・アセット・マネジメント株式会社設立 |
2015年 | エクシア合同会社設立 |
2016年 | エクシア・デジタル・アセット株式会社設立 |
2017年 | シンガポールにEXIA Private Limited設立 同年、EXIA Private Limitedが事実上、活動停止状態になる |
2021年 | 六本木グランドタワー15階へ本社移転 |
2022年4月 | エクシア合同会社が「今月の評価額返還上限額到達のお知らせ」発表 ※出資者に対し、配当、返金が出来ないという内容であり、これが引き金のとなって全国で訴訟が相次ぐ |
2022年10月 | 東京地裁の「証拠保全」を拒否 |
2022年11月 | 錦糸町の雑居ビルへ転居 同月30日:エクシア・デジタル・アセットに業務停止命令 |
「証拠保全」とは、簡単に言うと裁判などに用いる証拠を事前に確保することですが、被告に対して執行の強制力はありません。あくまで協力の元に成り立つ「証拠保全」を拒否したことにより、裁判官の心証を悪くしたうえで「提示命令」によって結局は証拠を提出することとなりました。
なお、本件の判決はまだ出ていないようです。
業務停止命令は時間の問題だった
2022年11月にエクシア・デジタル・アセットが関東財務局より業務停止命令を受けていますが、そもそもエクシア・デジタル・アセットはそれ以前の4期にわたって赤字状態であり、業務停止に陥るのは時間の問題でした。
エクシアは業務停止命令を避けるべく、本体から資金を増資(資金援助)することによって赤字補填をしてきたのですが、いよいよ資金ショートに陥り業務停止命令を余儀なくされたということです。
このような危うい資金繰りをよくここまで続けられたものだと思いますが、当然それら資金の元は出資者からの出資金です。
エクシアへの業務停止命令や全国の訴訟問題については、こちらの記事にまとめています。
エクシアの投資詐欺手口
社員権販売とポンジ・スキーム
エクシアの基本的な手口は、社員権販売とポンジ・スキームです。
ポンジ・スキームとは、古典的な投資詐欺手法の一種で、投資家から資金を募り、高い利回りを約束しますが、実際には運用を行わず、新たな出資者から得た資金で前の出資者に配当金を支払う仕組みです。この過程を繰り返し、初期の出資者には利益が支払われるように見えますが、実際には新たな出資者の資金で賄われているだけです。
エクシアはまず、投資家に社員権を購入させ、それを出資金としました。集めた資金はシンガポールにある子会社の「EXIA Private Limited」に貸し付け、運用させ、そこで生じた運用益と貸し付けの返済金がエクシア本体に入ります。
集めた資金を子会社へ
エクシアには他に「エクシア・アセット・マネジメント」と「エクシア・デジタル・アセット」という2つの子会社が存在し、これら子会社を通じて資産や株式の売り買いして利益を上げていました。この利益の一部を出資者に還元していくので、運用がうまく回っているかのように見えるというのがエクシアの仕組みです。
また、海外子会社に資金を送ることで資金の流れが複雑化し、当局が追跡しにくい状況をつくり、被害者の資金の回収が難しくなりました。
エクシア本体は合同会社
追跡の目を潜っていた、もう1つの大きな理由は、エクシア本体が合同会社だったことです。
通常、金融取引業者が出資者を募るのは非常に難しいのですが、「合同会社」にすることで、金融取引会社などに課せられる、あらゆる縛りから解放され、賛同者を集めやすくなります。
金融取引業の免許は子会社に取得させ、実質的にファンドに等しいエクシア本体は合同会社という形態を取り、金融取引業などの免許は取らないことで、当局の監視の目を逃れていました。
※法改正により、合同会社の社員権の募集は業務執行社員以外が行う場合、金融商品取引業の登録が必要となった。
この手口でエクシアは、およそ1万2000人の出資者から、723億円を集めたと言われています。
菊池翔氏について
基本情報
名前:菊池 翔(きくち かける)
生まれ年:1977年
出身地:北海道札幌市
経歴(自称)
1996年 | 東京モード学園を卒業 |
2008年 | FX専業トレーダーとなる |
2009年 | 利益率2500%トラックレコード達成 |
2011年 | 国内ファンドのアドバイザーに就任 |
2012年 | 海外ファンドのアドバイザーに就任 |
2013年 | 英国法人設立 |
2014年 | 海外証券の為替トレーダーに就任 |
2015年 | エクシア合同会社設立 |
2016~2021年 | 赤字を一切出さずに、年利10~30%維持 |
合同会社エクシアの代表社員である菊池翔氏は“天才的なトレーダー”として才能を開花させたという伝説の持ち主との説もあります。
1977年生まれ、北海道札幌市出身、東京モード学園を卒業後、6年半の間にFX取引を独学で学んだそうです。2008年にはFX専業トレーダーとなり、翌年に利益率2500%トラックレコードを達成、ファンド法人のアドバイザーなどを経て2015年にエクシアを設立しました。(自称)
本名は菊池 頼平(きくち よりひら)
2023年2月2日の文集オンラインの記事のなかで、菊池氏の名前が「頼平(よりひら)」だったことが綴られています。記事によると、東京モード学園卒業後に立ち上げたネイルサロンの経営に失敗し、多額の負債から逃れるために改名したということです。
入れ込んでいたキャバクラ譲
エクシアが詐欺行為を繰り返していた最中に交際していたとして注目されたのが、キャバクラ譲であり、モデル、インフルエンサーとしても活動している”ひめか”です。
ひめかさんは菊池翔氏から多額の金品を受領しており、その様子をSNSにアップしていました。しかし一連の報道を経て、2023年1月16日に自身のインスタグラムを通して、菊地翔氏との交際騒動について説明し、謝罪しました。
なお、現在ひめかさんのインスタグラムからは、菊池翔氏に関係する投稿はすべて削除されています。自身のSNSだけでなく、ネット上でも菊池翔氏との関係が分かるものはほとんど見ることはできません。
どうやら弁護士を雇って削除させているようです。人気インフルエンサーとしての職業柄、汚点になり得る過去は清算すべきものかもしれません。
元副社長の暴露
EXIAの元副社長である伊藤大輔氏は、2022年5月にX(旧Twitter)アカウントを開設して以降、EXIAと菊池氏についての暴露投稿を行っています。
彼の主張をまとめると下記のとおりです。
- 伊藤氏はエクシアの共同創設者であり、創設当初の出資者は伊藤氏が集めた
- 創設当初は本当にFX投資運用会社だと思っていた
- 次第に菊池の言動がおかしくなり、ポンジ・スキームのシミュレーションを始めた
- 菊池は会社には出社せず、本当にトレードしているのかも不透明だった
- 伊藤氏は会社の資金を横領したという罪を着せられ、EXAを追放された
伊藤氏の主張は本人手記のnoteにもまとめられています。
出勤停止後のエクシアの動き
2022年4月の出金停止後のエクシアの動向から、事業再生の可能性を見ていきます。
「EXIAレルム」発表
2022年5月頃、出資者を従業員とする新プラン「EXIAレルム」を発表。
契約締結にあたり守秘義務はなかったようで、出資者およびその関係者によって雇用条件などもネット上にあげられています。
豪華オフィスへの入室許可というアドバンテージを掲げてエクシアの営業社員を募集する内容でしたが、実は金融商品取引法違反対策であったことが判明しました。
取引ルール 私募ファンド(二項有価証券)
募集上限人数:1ファンドにつき、合計499名まで
※当社以外でも同時に募集している場合があり、他販売会社との合計人数499名が上限。
https://info.monex.co.jp/nikoyuka/procedure.html より
そして、半年と経たずに豪華オフィスからも退去することになりました・・・
経営新体制を発表
2022年11月28日、エクシアは公式HPにて「経営体制変更のお知らせ」をリリース。そこには、菊池氏が代表社員から退く旨と、契約内容見直しを含めた新経営体制を敷くことが綴られていました。
ですが、2023年8月1日付のプレスリリースには依然として「代表社員 菊池翔」の署名があります。
経営新体制を発表したものの、現在の経営体制など依然として謎に包まれた部分が多いのは否めません。
会社所在地として公表されている住所に訪問した人の話では、当住所は不在だったと語られています。
エクシアは今後事業再生できるのでしょうか。また、出資金は返金されるのでしょうか。今後も動向を注視していきたいと思います。
ネット上の口コミ
当初から危ぶまれていた
見識のある投資家の間では、エクシアは創業間もない頃から、”ポンジスキームの可能性が高い”と言われていました。
特に『定期預金金利比較-口コミ人気ランキング』に書かれていた解説が非常に分かり易いので、紹介させて頂きます。
2017年6月の月間返戻率実績は2.73%で、最大月間返戻率実績は37.96%ということですね!「年間」ではなく「月間」ですからすごいです。トレード履歴を見る限り「FX取引」のようです。ここでにわかに怪しくなってきますね・・・。株式投資で長期間儲ける人がいても、FX投資で長期間儲けている人を見たことがありません。
最大の懸念点は実はエクシア社自身ではなく実際に運用を行っているグループ会社の方です。(EXIA PRIVATE LIMITED)
EXIA PRIVATE LIMITED社で本当に投資家の資金が運用されているのか、あるいは溶かされてしまっているのではないかというのが疑問点なのですね。
シンガポールでは誰でも決算書を見ることができるようで、EXIA PRIVATE LIMITED社の2017年~2018年の決算はこのようになっていました。
Total assets=資産は4,236シンガポールドル、1ドル=80円とすると約34万円しかありません。
Total liabilities=負債も115,821ドル、つまり約927万円しかありません。
またAccumulated losses=繰り越し損失も全く利益が出ていないためか負債と同額の115,821ドル=約927万円です。つまりは債務超過ですね。
要するに「EXIA PRIVATE LIMITED社での運用実態はない」ということです。
加えてエクシア本体の2018年決算とも全く辻褄が合いません。
そうしたわけでスキーム図およびこのEXIA PRIVATE LIMITED社の決算情報に間違いがなければエクシア合同会社はポンジスキームの可能性が高いと言えそうです。
他にも、ネット上にはエクシアを怪しむ声が多数あげられています。
エクシアが利回り30%とか意味分かんないこと言って揉めてるみたいだけど、決算見る限り普通に元本払い出してるだけだよね。
https://x.com/yukipyo77/status/1319118025476370433?s=20
そもそも菊池翔氏を含めエクシアの幹部は、金融業界において何の経験も経歴もない素人集団である。たまたま時流にのって、返戻金という出資金の再分配の仕組みがハマって、金集めがとてつもなく上手くいった。
https://rocfund.org/exia-suspicious/
恐らく1年から2年後ぐらいに代表者の方及び幹部の方々は逮捕されると思います。もう700億円を超えているという話だったので、さすがに捕まりますよね。
https://cocozas.jp/coco-the-style/5848/
口コミまとめ
調査してみると、やはり当初からエクシアの手法を怪しんでいた投資家が多いようです。投資に詳しくない人が見ても、38%近い月間返戻率実績は怪しいと感じるのではないでしょうか・・・
それでも1万2,000人もの人が騙されてしまうのは、口コミにあるように時流にのった仕組みと巧妙な見せ方によるものなのかもしれません。いずれにしても、これだけ高い返戻金が簡単に手に入る投資話は異常だと気づくべきだったでしょう。
まとめ
創業当初から訝しむ声の多かったエクシアですが、騙された出資者が多かったことも驚きです。代表の菊池翔を中心に、エクシアは法の目を掻い潜り、およそ1万2000人の出資者から、723億円を集めたと言われています。
2022年4月の出金停止後、会社存続の為にあらゆる手を尽くしているようですが、未だ再生の目途が立っているとは思えません。
今後の動きも引き続き注視し、情報が入り次第アップデートしていきます。
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