「走る芸術品」への投資、クラシックカーファンドの魅力とリスクに迫る

近年、金融市場が不安定な中で、オルタナティブ投資(代替投資)の一つとして「クラシックカー」が注目を集めています。単なる趣味や道楽と見なされがちだったクラシックカー収集は、今や富裕層を中心に堅実な資産形成の手段となりつつあります。

本シリーズではクラシックカーファンドの魅力や実際にクラシックカーファンドを取り扱う企業の情報をお伝えしていきます。第一弾の本記事では、クラシックカーファンドの世界を紐解き、その仕組みから具体的な投資のメリット、そして潜むリスクまでを4つの章に分けて詳しく解説します。

目次

なぜ今、クラシックカー投資が熱いのか?

クラシックカーが投資対象として注目される最大の理由は、その希少性と高いリターンにあります。限定生産された歴史的な名車は、現存する数が限られており、その価値は年々上昇する傾向にあります。

実際に、英不動産コンサルタント会社Knight Frank(ナイトフランク)のラグジュアリー投資指数によると、クラシックカーの価格は過去10年間で185%も上昇しており、これは美術品や高級ワインといった他の実物資産を大きく上回るパフォーマンスです。

経済の先行きが不透明な時代において、インフレに強く、株式や債券といった伝統的な資産とは異なる値動きをするクラシックカーは、魅力的な分散投資先として認識され始めています。

参照元:https://www.reuters.com/business/autos-transportation

クラシックカーファンドの仕組みと国内外の事例

個人でクラシックカーを所有し、価値を維持・向上させるには、専門知識、保管場所、高額な維持費など、多くのハードルが存在します。そこで登場するのが「クラシックカーファンド」です。

クラシックカーファンドは、複数の投資家から資金を集め、その資金を元に専門家が選定した複数のクラシックカーを購入・管理・売却し、得られた利益を投資家に分配する仕組みです。これにより、個人では難しい希少車への投資やリスク分散が可能になります。

国内の事例

日本ではまだ数は少ないものの、「プレミアムカーファンド」のように、スーパーカーやクラシックカーを対象としたオペレーティングリース形式のファンドが存在します。投資家は小口で出資し、リース料や売却益から配当を受け取る仕組みです。

また、NFT(非代替性トークン)を活用して、クラシックカーの所有権を小口化・証券化し、より手軽に投資できるような新しいサービスの開発も進んでいます。

海外の事例

欧州ではクラシックカー投資がより盛んで、様々なファンドが組成されています。

Azimut Automobile Heritage Enhancement (イタリア)大手金融機関による、フェラーリなど歴史的価値の高い車両に特化したエバーグリーン型(無期限)ファンド。
Hetica Klassik Fund (スイス) 30年以上前のクラシックカーを複数台保有し、7年間で年率9〜15%のリターンを目指すクローズドエンド型ファンド。
Rally (アメリカ)クラシックカーだけでなく、アートやワインなども含めたコレクターズアイテムを証券化し、一株単位で売買できるプラットフォームを提供。少額からの投資が可能。

投資前に知っておきたい、メリットと注意点

クラシックカーファンドへの投資は大きなリターンが期待できる一方で、特有のリスクや注意点も存在します。

メリット
  • 高いリターン: 過去の実績が示す通り、他の資産を上回る価格上昇が期待。
  • 分散投資: 株式や債券など伝統的資産との相関性が低く、ポートフォリオのリスク分散になる。
  • 専門家による運用: 車両の選定、購入、保管、メンテナンス、売却までプロに一任。
  • 小口投資: ファンドによっては、個人では手の届かない高級車へ少額から投資が可能。
注意点
  • 流動性の低さ: 株式のように簡単に売買できるわけではなく、最適なタイミングで売却するには時間がかかる。多くのファンドでは半年から数年単位の長期保有が前提。
  • 専門性の高さ: 車両の真贋や価値を正しく評価するには、高度な専門知識とネットワークが不可欠。信頼できる運用会社を選ぶことが極めて重要。
  • 最低投資額: 多くの本格的なファンドでは、最低投資額が1,000万円以上に設定されており、富裕層向けの金融商品となっている。
  • 市場環境の変化: 経済状況や金利の動向、環境規制(特に電動化へのシフト)などがクラシックカーの価格に影響を与える可能性がある。

趣味と実益を兼ねる、賢いクラシックカー投資の始め方

クラシックカーファンドは、単なる金融商品ではなく、「走る芸術品」という文化的な価値を持つ資産へ投資する、ロマンあふれる選択肢と言えるでしょう。高いリターンが魅力である一方、その運用には専門性と長期的な視点が不可欠です。

本格的なファンドへの投資を考える場合は、運用会社の過去の実績や運用戦略、手数料体系、そして何よりもどのような専門家が車両の管理に関わっているのかを徹底的に調査することが成功の鍵となります。

趣味としての情熱と、投資としての冷静な判断。その両輪をうまく回すことで、クラシックカー投資はあなたの資産ポートフォリオに彩りと大きな成長をもたらしてくれるかもしれません。

次の記事では、クラシックカー投資のパイオニアと言われる独立系資産運用グループ「Azimut」について解説し、彼らのポリシーや顧客一人ひとりに最適なソリューションを提供する哲学、そのなかで、なぜ「クラシックカーファンド」を選択したのか、お伝えしてきます。

クラッシクカーファンドについてのご質問はINVEEKまでお気軽にお問い合わせください。

キーワード検索
カテゴリ検索
目次