イギリスのEU離脱(ブレグジット)の影響は?現在の市場状況を踏まえ、イギリス不動産投資を検討すべき理由とメリット・デメリットについて解説

イギリス不動産投資

実はイギリスは不動産投資に関する法整備がとても進んでおり、制度上は外国人でも一戸建て投資が可能です。戸建て住宅へ投資することによって、インカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(物件の売却益)を狙うことができます。

しかし、あくまで制度の上での話であり、実情は障壁が伴うものです。また、昨今のイギリスの状況を考慮しても、イギリス不動産投資を検討しても良いのか、気になるところですね。

この記事では、昨今のイギリス国勢事情や不動産投資の特徴を踏まえ、メリット・デメリットについて解説します。

目次

イギリスのEU離脱(ブレグジット)の影響は?

ブレグジットとは英語表記「Brexit」で、英国を表す「Britain」と、離脱という意味の「exit」の二つの英単語を合わせた造語です。2020年1月31日に英国は欧州連合(EU)を離脱しました。

ブレグジット直後は海外資本が減少するも、安定の兆し

ブレグジット直後、外国からイギリスへの投資はブレグジット後に減少傾向にあり、UCL(University College London)の調査によると、2020年時点では離脱前と比べ37%減少と予想されていました。

しかし、現在はイギリスへの対外投資が徐々に増え、今後も安定的な成長が見込まれています。

セーフティネットとして機能する独自の財政ルール

イギリスは財政責任庁(OBR: Office for Budget Responsibility)が財政機関として政府から独立しており、独自財政ルールがセーフティネットとして機能しています。このことから、今以上の財政悪化は考えにくいと予測されます。

ロンドン市場では楽観的観測

2024年2月3日のロンドン株式市場でFTSE100種総合株価指数は7,901ポイントで引け、終値ベースで2018年5月につけた史上最高値を更新しました。インフレの鈍化や一連の利上げの終わりが近いという観測から楽観的な見方が広がっています。

現在のイギリスの不動産市場の状況

ブレグジット後も不動産価格は上昇を続けてましたが、2024年現在は下落傾向が見られます。これには、イギリスの住宅ローン金利上昇という内的要因と、ロシアの資金凍結という外部要因があります。

住宅ローン金利の上昇

イギリス中央銀行は、2021年の12月から13回にわたり公定歩合を引き上げています。公定歩合引き上げは当然、住宅ローン金利にも影響します。

住宅ローンの金利が上がったことにより、住宅ローンの審査が通らず住宅を購入できない人が出てきました。不動産購入者が減ったことで、需要が減少し、不動産価格が下がり始めたのです。

ロシアの資金凍結

ロシアのウクライナ侵攻により、英国政府はロシアから資金の流れを完全にストップしています。実はロシアは中国と並び、イギリスの不動産価格を下支えしていたのですが、そのロシア資金の流動がなくなってしまいました。

もしウクライナ侵攻が終わりを迎えたとしても、ロシアの資金が再び市場に戻ってくるまでには、かなりの時間を費やすでしょう。

イギリス不動産投資は検討すべきか、財政への懸念は?

2023年現在、不動産市場含め、イギリスマーケットは不安定な状況に変わりありません。それでも、イギリス独自の財政ルールが「抑え」として機能しているため、財政破綻の可能性は低いと思われます。

国内のインフレ率が下がり次第、固定歩合も下がり、住宅ローンの金利もさがるので、不動産需要も戻ってくるはずです。イギリス人は、物件は賃貸より購入という考えが強く、今後もイギリス人の不動産購入は減ることはないでしょう。

イギリス不動産市場は、今後も検討する余地が十分にある投資先の1つです。以上の状況を踏まえ、イギリス不動産投資のメリット・デメリットについて解説します

イギリス不動産投資のメリット

不動産価格は過去20年にわたり上昇傾向

イギリスは過去20年以上(2023年は下落傾向が見られますが)住宅価格が上昇しています。

2020年5月時点で89,230ポンドだったイギリスの全国平均住宅価格は、近年の新型コロナウィルス拡大やブレグジットがありながらも、大きく下落することはなく2023 年 5 月の時点で 285,861 ポンドとなっており、約3倍に上昇しています。

【イギリス住宅価格推移】

イギリス政府統計よりデータ抽出

2000年5月から2023年5月の価格差が285,861 ポンドー89,230ポンド=196,631ポンドですが、これを日本銀行「基準外国為替相場及び裁定外国為替相場」に基づき、1ポンド=154円換算(現在価値)で計算すると3,028万1,174円であり、この20年でなんと3,000万以上値上がりしたことになります。

このようなイギリス不動産価格上昇の背景には政府の市場介入があります。

イギリスでは政策的に住宅ローン金利が低い状況が続いており、これが住宅購入を促進しているのです。イギリスは退職金制度が無いため、年金代わりに家賃収入を得られるよう、政府が住宅購入を支援する構造となっていたからです。

移民・留学生の増加

イギリスはもとより移民の多い国とされていますが、日本経済新聞の記事によると、2022年には過去最多の60万人もの純移民が計測されています。

また、イギリスは昔から留学先として人気の国であり、国の状況が不安定である今も多くの留学生が入国しています。就学後、そのまま職につき定住する人も少なくありません。

このような背景もあり、特に都市部において住宅供給不足が続いています。

法整備が進んでおり、外国人でも不動産投資が可能

イギリスは、不動産に関する法整備が進んでおり、外国人であっても土地を所有することが可能です。

実は海外では外国人の土地購入に制限をかけているケースが多いです。例えば東南アジアで不動産投資を行う場合は土地所有が認められていないため、集合住宅(コンドミニアム)への投資が一般的です。

またイギリスでは、不動産の取引時に「ソリシター(Solicitor)」と呼ばれる弁護士が、買主・売主の双方に付きます。そして、買主・売主の双方がイギリスの法律に基づく厳しい審査を伴う購入プロセスになっているため、安全に投資を進めることができるようになっています。逆に、このような法整備の進んでいない新興国での不動産投資では、税金などでトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

ここまで聞くと、イギリスでの不動産投資はとても魅力的に思えますね!では、逆にどんな障壁、デメリットがあるのでしょうか。

イギリス不動産投資のデメリット

イギリス経済の先行きが不透明

イギリスはコロナパンデミックが続くなか、2021年1月1日にEUを離脱しています。これにより一時的に外国人流入が減少し労働需要による所得アップを後押しし、結果的に住宅価格上昇にも寄与したと言われています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリサーチによると、時のトラス政権による大規模なインフレ対策が嫌気され、国内金融市場の長期金利、住宅ローン金利を上昇したことを述べ、家計がローン返済に窮することで、個人消費は減ると共に、住宅金融機関は多額の負債を抱える可能性があると指摘しています。

さらに国際通貨基金(IMF)は2023年4月公表の世界経済実通しの中で、イギリスの成長率見通しをG20で最低の落ち込み幅になるとしています。

現在、世界的に見てもイギリス経済が不安視されていることは軽視できない事実として捉えておきましょう。

銀行口座開設が出来ず、融資を得ることが出来ない

イギリスでは非居住者の外国人は銀行口座を開設することは出来ません

口座を持っていない、ということは銀行から融資を受けることが出来ません。では、日本の金融機関から借り入れられるのか、というとそれも出来ません。日本の金融機関では、イギリスの不動産を担保に融資をしてくれる金融機関がないからです。

そのため、イギリスで不動産投資を行うためには基本的に自己資金でかつ、現金で費用を用意する必要があります

イギリスで戸建て住宅への投資を行う場合、最低でも3,000万円ほどの資金を準備しておく必要があり、これが、イギリス不動産投資を行う上で最大の障壁と言っても過言ではないでしょう。

投資時の税金や費用を理解し、英語でのコミュニケーションが必要

国内、海外に関わらず、不動産投資を行う際には、税金についても理解しなければ適切な投資は出来ません。特に海外においては、日本にはない独自の制度を設けている可能性がありますので注意しましょう。

イギリス不動産投資では、以下のような税金が必要になります。

  • 物件購入時:土地印紙税
  • 物件保有時:Council Tax(カウンシル税/日本で言う住民税にあたり、居住者が支払う)
  • 物件売却時:キャピタルゲイン税18%(イギリス国内で所得税率40%以上の場合は28%)

また、イギリス国内で所得がある場合は所得税を納める必要がありますが、日本人がイギリス不動産へ投資する場合、経費などを差し引くと多くのケースで所得税課税対象外(年間所得11,000ポンド/約180万円以下)となります。

この他に以下のような費用が必要です。

  • 登記費用
  • 物件調査費(不動産鑑定士)
  • 弁護士費用
  • 不動産会社の利用費

イギリス不動産投資を行う際には、これらの税制、必要経費を理解したうえで、英語でコミュニケーションを取る必要があります。⽇本語で対応できる不動産会社にサポートをお願いする場合、購⼊⾦額の1〜3%が相場です

イギリスでの不動産投資にはこのようなメリット・デメリットがあることをまずはしっかりと理解しておきましょう。

まとめ

ブレグジット直後はイギリス経済の先行きが不安定とされていましたが、現在はその影響も限定的となり、楽観的観測が広まっていますので、検討余地のある投資先と考えていいでしょう。

イギリスでは、積極的に移民や留学生の受け入れており、今後も人口増加が予想されていますので、住宅需要の増加が見込まれます。また、法整備が進んでおり、外国人でも安心して投資できる点が非常に大きなメリットですね!

一方、費用、税制面での障壁が高く、更に英語でのコミュニケーションも必要です。それらの障壁をクリアにするためには、信頼できるアドバイザーへ相談することをお勧めします。

イギリス不動産投資についてご検討の方は、INVEEKまでお気軽にお問い合わせください。

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