Convoy Financial Services Limited(コンボイ・フィナンシャル・サービス・リミテッド)は1993年設立された香港最大のIFAおよび MPF スキーム仲介会社です。Convoy Global Holdings Limited(コンボイ・グローバル・ホールディングス・リミテッド)の完全子会社で、同社の金融アドバイザリー部門と位置付けられています。
2017年には親会社の汚職事件により投資家の信頼を失ったコンボイですが、現在の経営状態はいかがでしょうか。この記事では、コンボイグループの概要や近年の動きなどを紹介いたします。
コンボイグループ 沿革
| 1993年 | Convoy Global Holdings Limited(コンボイ・グローバル) 設立 同子会社としてConvoy Financial Services Limited(コンボイ・フィナンシャル)を設立 |
| 1998年 | コンボイ・フィナンシャルがファイナンシャルプランニングサービスを開始 |
| 2010年 | コンボイ・グローバルが香港証券取引所に上場 |
| 2017年 | 相場操縦の疑いでコンボイ・グローバルのQuincy Wong Lee-man(クォン・リー・マン)会長を含む4人の役員が逮捕される |
| 2018年 | コンボイ・グローバルが企業再生を行う ⇒金融アドバイザリー、製品製造、フィンテックの3つの中核小売事業に再び焦点を当てる コンボイグループのブランド再構築キャンペーンを開始 ⇒翌年ブランドロゴを刷新 |
| 2020年 | オンラインプラットフォーム「OnePlatform」サービス終了 |
| 2021年 | 5月4日付でコンボイ・グローバル上場廃止 |
コンボイ・グローバルは2017年のクォン会長らの逮捕の前後で筆頭株主が変わり、経営体制が大きく変化しました。また、ブランド再構築キャンペーンの一環として、体制の変化と併せホームページを刷新しています。
コンボイグループはオンラインで証券取引ができる独自環境である「OnePlatform」を運営していましたが、2020年でそのサービスを終了しました。

その他、コンボイの基本情報はINVEEKのIFAページをご参照ください。
相場操縦の疑いでトップを含む役員4人が逮捕
2017年、コンボイ・グローバルの会長だったQuincy Lee Man(クォン・リー・マン)を含む役員4名が、証券先物委員会(Securities and Futures Commission/SFC)と独立汚職防止委員会(Independent Commission Against Corruption/ICAC)の共同捜査により逮捕されました。
事件の発端は、コンボイによる一連の不透明な取引でした。ICACは、クォン氏らがコンボイの資金を不正に利用し、個人的な利益を得ていた疑いがあるとみて捜査を開始しました。
またクォン氏らには、融資の承認と引き換えに、顧客から賄賂を受け取っていた疑いもありました。ICACの捜査は、コンボイの株価に大きな影響を与えました。逮捕のニュースが流れると、同社の株価は急落し、取引は一時停止されました。
逮捕後、コンボイは、新たな経営陣を任命し、コーポレートガバナンスの強化に取り組み始めました。社外取締役を増員し、内部監査部門を強化することで、透明性の向上を図る等しましたが、これらの取り組みにもかかわらず同社の業績は悪化し、株価は低迷を続けました。
最終的に2021年に上場廃止となりました。
コンボイは信頼できる会社なのか
汚職事件によって投資家の信頼を失ったコンボイですが、香港最大の独立系金融グループだけあって人的資本や資金力は堅持しているようです。
香港金融当局のライセンスを取得
コンボイは香港の金融当局であるInsurance Authority(IA)の認可機関です。
ライセンス番号: FB1360(Convoy Financial Services Limitedとして)

Mandatory Provident Fund (MPF/強制積立基金)の登録業者
Mandatory Provident Fund(MPF/強制積立基金)とは、日本の年金制度に相当するもので、従業員の老後生活費確保を目的に2000年より導入された制度です。正社員およびパートタイム社員を雇用している全ての企業に加入の義務があります。
MPF商品は複数あり、MPFを取り扱う保険会社や銀行から直接加入する方法と、保険代理店を通して加入する方法があります。コンボイはMPF登録事業者(ライセンス番号:IC000105)であることが公式ホームページに明記されています。
2,000名以上の金融アドバイザーを抱えている
コンボイが香港最大のIFAであることの証明の1つとして、同社が2,000名を超える金融アドバイザーを抱えていることが挙げられます。彼らは最先端の専門トレーニング、十分に整備されたインフラストラクチャ、強力な技術サポートを活用し、香港および中国本土の多様な顧客基盤に比類のないサービス体験を提供することに尽力しています。
また、Convoy Globalの2020年アップデート情報によると、グループ全体でのべ40万人の顧客がいることが発表されています。
新規事業への積極投資
コンボイは現在の収益額など公開していませんが、各国の新規事業へ積極投資していることから、非常に高い資本力を維持していることが推察されます。
| 2015年 | Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(日本ウェルス銀行)の香港進出に出資 ⇒2021年にサービス終了 |
| 2018年 | イギリス仮想銀行に出資 |
| 2019年 | 自動資産運用のロボアドバイザー(ロボアド)サービスを提供する企業へ、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)と共同で4,500万ポンド(約64億4,300万円)を融資 |
汚職事件のあった2017年以降にも海外の企業に積極投資しています。ただし、上場廃止した2021年以降、他企業への投資の動きは見られません。
近年は企業情報がリリースされていない
コンボイの公式ホームページには財務状況や企業情報を掲載するページがありますが、2019年のリリース以降、更新がストップされており、近年は企業情報を一般公開していないようです。
コンボイ取り扱い商品
コンボイの取り扱い商品については公式ホームページには明記されていませんが、香港最大規模のIFAであることから、多様な商品を扱っていることが推察されます。
コンボイ・グローバルの2020年アップデート情報によると、グループ全体で1,800を超える商品を扱っていることが発表されています。
まとめ
コンボイは2017年、経営者による汚職事件によって、投資家の信頼を大きく失いました。しかしながら、現在も香港最大のIFAというポジションを堅持しており、その資本力も未だ衰えていないようです。
経営陣が変わり体制が刷新されたことで、信頼回復に努めているようですが、表立って大きな動きは見られません。財務状況なども一般向けには公開されていないため、投資先として信頼に足る企業なのか、今ひとつ判断材料に欠ける印象があります。
検討の際は、信頼できるアドバイザーに相談することをお勧めします。
コンボイに関するお問い合わせはINVEEKまでお気軽にお問い合わせください。

