20代の方でも公的年金について漠然とした不安をお持ちの方は少なくないでしょう。老後はまだ遠いといえど、世代間格差の広がりは縮まる様相を見せないことは理解している方が殆どです。
2019年6月、金融庁の金融審議会が公表した報告書「老後資金2000万問題」。老後は公的年金以外に老後資金を2000万円以上用意する必要があるという衝撃的な内容が話題になりました。
その対策として政府は『マクロ経済スライド』を施行し、賃金や物価の改定率を調整して年金の給付水準を調整する仕組みをつくりました。
しかし、日本の人口構造として現役世代の人数が少なく、被保険者人口の方が多いことから若年層ほど納めた年金額に比べて受け取る金額が少なくなってしまいます。いわゆる支払い損の状態を作り出してしまうのです。
実際、「社会保障を支える世代に関する意識調査」でも20代~40代で年金を頼りにしている層は3割程度にとどまっており、多くの人が老後費用は自助努力が必要なことを自覚しています。
貯蓄は早く始めるほど貯まるのは自明の理です。20代うちから始めて将来周りと差をつけましょう!とはいえ、20代の方は賃金も低く、生活費を賄うのに精一杯という方も多くいらっしゃるでしょう。そんな方でも始められる資産の増やし方をご紹介いたします。
今20代の人の年金はどうなってしまう?
今の年金の現状
現在の年金制度は『賦課方式』といって現役世代が納めた保険料が年金受給者の支払いに充当される仕組みとなっています。
しかし、少子高齢化によってその均衡が崩れていくことが予想されます。
厚労省が5年に1度発表する「財政検証」という調査データをご存知でしょうか。2019年の最新のデータでは、所得代替率は61.7%です。「所得代替率」とは現役男性の平均手取り収入額に対する年金額の割合によって算出される額です。
2019年、厚労省がいくつかの経済成長のパターンごとに将来の所得代替率の予測見通しを立てました。約20数年後、経済成長が順調に進んだ場合でも所得代替率は51.90%、最悪のケースだと所得代替率は36%~38%にまで落ち込むのです。
将来の年金額の目減りが具体化を帯びてきました。
20代の今、少しの自助努力で老後が明るくなる!
年金額が減少することに悲観してばかりはいられません。今出来ることを考えましょう!
給料の殆どを趣味や遊びに使っている20代の方、いませんか?
頭ではわかっているものの、若いうちはあっという間だから今を楽しもう!貯蓄は後で考えればいい、という考えの方も少なくはないでしょう。
20代の方にとって、老後のことは中々想像もつかず考えが及びにくいことです。
しかし、結婚して家族が増えると生活費の支出が増えるので貯蓄ペースは落ちます。
また、結婚後に貯蓄を増やすため資産運用を学ぼうとしても、仕事と家庭生活を送るのに精一杯で資産運用のことは後回しになり、結局何も出来なかったということに陥りがちです。
20代で独身の方は自分のためだけにお金を使えるので貯めやすく、豊富にある時間で資産運用のスキルを身につけられます。
年金に頼らない!20代から資産運用を始めるメリット!
複利効果で雪だるま式に資産を増やせる。
まだ働き始めたばかりの20代は収入も少なく、投資に回せる資金も少ないでしょう。しかし、少ない元本資金でも長年こつこつと複利運用することで大きな効果を得られることができます。
単利 | 銀行の普通預金等のように元本に対してのみ利息がつく金利計算方法 |
複利 | 元本と元本に対してついた利息を合わせて運用する金利計算方法 |
仮に運用に失敗しても十分とりもどす時間がある。
目先の失敗を恐れて中々運用に踏み出せないという方もいらっしゃると思います。
資産運用では、20代はある程度リスクをとっても挽回できるだけの時間の余裕のある世代とも言われますが、ギャンブルのような賭け事とは違います。
資産運用はこれからのご自身の長い人生が豊かで実りあるものにするために必要なものです。短期的な値下がりに一喜一憂するのでなく長期目線で資産を育てていくことを念頭においてください。
長期で安定的に運用していくのであまり大きくリスクをとるのではなく、都度調整していくことができるようにしましょう。
トレンドに敏感な若い層なら株価の動きも読み取りやすい。
資産運用で成功を収めるのに重要な条件のひとつが情報収集です。
刻一刻と変化するマーケットの状況・社会情勢についていける20代の方は有利です。金融商品の中には景気による影響を受けやすい銘柄の株(景気敏感株)もあります。
歳をとってから資産運用を始めるのはリスクが大きい。
歳をとってから資産運用を始める場合、運用できる期間が短いので、20代と同じ程度の額で安定的に運用してもリターンは少ないです。かといって大きな額で運用した場合、それこそギャンブルと同じ状態になります。
歳をとってから資産運用をした人よりも若いうちに資産運用をした人のほうが非常に有利です。
新型コロナ感染拡大の今、不動産投資がおすすめ
資産運用を始めたいと思われている20代の方にお勧めしたい商品が「不動産投資」です。
昔は敷居が高く感じられた不動産投資ですが、今は金融緩和政策などの影響で長い低金利が続いています。低金利ほど返済額は低くなるので絶好の機会と言えます。また、昔は年収がある程度高い人でないと不動産ローンを組めませんでしたが、現在は年収400万程度でも融資可能となっています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界的に経済が低迷している昨今、景気の影響を受けにくい商品です。
経済が低迷していても、すぐに入居者が引越すわけではないので住居の借り手がいなくなり賃貸相場が悪くなるような、不安要素がありません。毎月安定した家賃収入を得ることができます。
不動産投資における収入は不動産の賃料収入なので大きく利益を得ることはできませんが、長期で安定した収益を得るのに最適な商品と言えます。
不動産投資については以下の記事で詳細にご説明しておりますのでご参考ください。
老後の前にやってくるライフイベントにも備えたい
分散投資でローリスク・ハイリターンを狙う
分散投資とは一つの資産だけに集中して投資をするのではなく、投資先を複数に分けて運用することです。
投資の世界で「卵を一つのカゴに盛るな」という有名な格言があるのをご存知でしょうか。
下の卵の絵をご覧ください。資産を一つに絞った場合、その資産の値動きのみに左右され、すべて共倒れになってしまいます。
受け皿をいくつか用意することでリスクを回避できるのです。
とはいえ、受け皿を分けてリスクを分散しても、全て割れるところが数個割れるように防げただけ。
結局のところ、多かれ少なかれ損失を被るので資産運用はやめたほうがいい?と思われる方もいるでしょう。
しかし、この格言にはまだ続きがあります。残った卵はその後雛にかえり、親鳥に成長して卵を産みます。
つまり、分散投資で一部割れてしまった卵でも残った卵のおかげでどんどん新しい卵を産みだしていくのです。
値動きの異なる2種以上の資産を組み入れる
分散投資では値動きの異なる種類の業種や資産を組み入れることで互いの欠点を補います。
例えば、株と債券は反対の値動きをするので分散投資に最適です。また、日本の景気が低迷していても海外が好調な
場合もあるので為替の動きにも注目しましょう。
長期投資で時間分散し投資資産の分散!相乗効果でメリット大
値動きのある金融商品を毎月決まった金額で購入すると投資額は一定になるため、価格変動のリスクを抑えることができます。
毎月の金額安くなったらたくさん買うことになり、高くなったら少量しか買えないという仕組みが成り立つために投資金額が一定になるのです。
前述の分散投資と時間分散の手法を合わせることで相乗効果が期待できます。
時間分散を行う代表的な投資手法である「ドル・コスト平均法」については以下の記事で詳細にご説明しておりますのでご参考ください。
「今人気の海外積立投資(オフショア投資)について、メリット・デメリットと正しい始め方!」
20代の今、お金を働かせる意識を持とう。
20代の今、お金を働かせるために。
- 将来のライフプランとセットで計画
- 経済の勉強を目的に楽しむ資産運用を!
- 自分のお金を自分で動かせるから楽しい
- 長期・分散投資で安定運用を狙おう!
将来のライフプランとセットで計画
人生での大きなライフイベントの一つが結婚です。平均的には男女ともに30歳前後で結婚し、その数年後に子どもが産まれます。
そのライフプランをもとにキャッシュフロー表を作成すると、何歳でいくらぐらいの資金が必要か等がみえてきます。
20代の時に予想をたてた計画が必ずしも予定通りに行われるとは限りませんが、必要な資金を「視える化」することで
無駄遣いを減らそうという意識、資産運用にも積極的に乗り出したいという意欲がわきます。
早急に結果を求めず、経済の勉強をするつもりで!資産運用を楽しむ。
資産運用をするにあたり、資産を減らさず、資産を増やしたいという気持ちが湧くことでしょう。
そして、その気持ちからどうすれば、うまく運用できるか?ご自身で調べるようになり、経済についての勉強するようになり、日々社会情勢に目をむけることで今までよりも世の中に対する視野を広げられることでしょう。
ご自身が得た金融の知識によって資産を増やすことに成功すると更に勉強することが楽しくなります。
まずは経済の勉強をするつもりで、資産運用を楽しんでみましょう。
老後の生活費は年金でいいや、とお考えの方、年金は国が運用しているお金です。自分のお金を自分で動かせるから楽しいのです。
まとめ
20代から年金だけに頼らない資産運用についてご紹介しました。
分散投資・複利運用で比較的低リスクな少額から始められるな商品もよし、
一方で20代は若く時間はあるので、注意した上である程度リスクをとった挑戦をしてみてもいいでしょう。
また、資産運用を考えることはライフプランを考えることに繋がり、節約の意識も芽生えるのでメリットばかりです。
初心者で何から始めればいいのか分からない方は難しい本を読むよりも、プロの専門家の生の声の方が知識として残りやすいです。
同じ立場の参加者もいるので連帯感がうまれ、やる気も更に増します。
フットワークが軽く新しいことへのモチベーションが高い20代の今こそ、一歩踏みだしてみましょう。